Where is my mind?
彼は夢みがちな冒険野郎だった。人からどう思われているのかではなく、極力自分のモノサシで物事を考え、評価するように貫いてきた。社会やグループからはみ出すことを恐れない積極的な姿勢とガッツを兼ね備えていた。
しかし、彼にも一つ、確実に冒険出来ない分野があった。それは料理であった。カレーなら人参、玉ねぎ、じゃが芋、肉。チャーハンなら卵、海老、ネギ。いつでも彼は書かれた通りの具材、書かれた通りの手順で作った。
彼は料理に関しては大の保守的だった。彼の言い分としては、腹ペコの状態で時間と労力を注いで作るのに、わざわざ冒険して不味くなる可能性を入れ込むなんてあり得ない、とのことだった。
一緒に住むルームメイトは彼の料理に関する姿勢とは真逆だった。市販のカレールー2つを大胆にミックスさせ、生姜やひき肉、よくわからない香草のようなものを入れた。なぜそのような冒険をするのか彼には到底理解できなかった。シンプルでいいじゃないか。そもそも彼は甘辛いとか甘酸っぱいとか2つの味覚が混ざることも苦手だった。
レストランに行っても彼は同じものばかり頼んだ。時に違うものも頼んだが、それには彼の中で相当な勢いが必要だった。美味しく効率よくタンパク質が取れて、かつ3種の神器とも言える白米を摂取出来るハンバーグ定食が彼にとってはベストだった。
自分は料理に関しては保守的と認識し始めて数ヶ月が経ったある日の夜。仕事帰りの道すがら彼はふとこう思った。
(「果たして保守的なのは本当に食事だけだろうか?音楽。これも冒険してない。最近は同じものばかり聴いてる。しかも最近に始まったことではない。ま、開拓とマンネリの波はあるけども。あとは人付き合い。これも選り好みしてかなり保守的。うーん、その他にも自分の日常や行動からは保守的な香りがプンプンするわ…」)
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♪カッツー・カッツー・カッツー・カッツー♪
オレは人生の開拓者 時に人生に突っ込むのさ なのにこのざま (ざま!ざま!) 飯1つで完全パラノイド 音楽好き自負するアンドロイド
Rock'n'roll? / ロックンロール?
Don't make me laugh. / 笑わせんじゃねー Who cares? / 知ったことか No matter what / なんだっていい
Where is my mind? / オレの心はどこだ? Where is my mind? / オレの心はどこだ? Where is my mind? / オレの心はどこだ?
Someone tell me. / 誰か教えてくれ Don't tell me. / 何も言うな Just nod. / 単に頷いてくれ。
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まぁいい。焦ることはない。全ては気付くことから始まる。気づいた時点でオレは既に保守的マインドの負のスパイラルから一歩踏み出しているのさ。
保守的最高。冒険最高。両者のバランスをいつだって再検討しよう。がんじがらめでも僕は自由。いつだって自分をポジティブに疑え。がんじがらめでも僕は自由。がんじがらめでも僕は自由だ。ありがとう。ご機嫌よう。ロックンロールイズネバーダイ。僕の心はここだよ。