リア充という特権階級 第八話(車の場合)
アキラは奈良へ帰省するため、オンラインムービングを呼んだ。オンラインムービングは、自動運転車のレンタルサービスだ。家の前まで迎えに来てくれ、目的地まで運んでくれる。
車内はリムジンぐらいの大きさがあり、歩いて動けるぐらいの高さもある。リビングにいるように、ソファーに座って映画を見たり、食事したりして過ごすことができる。
近頃は、自動運転車しか走っていないため事故はほとんどなく、シートベルトを締める人もいない。道の段差は、前方のカメラが認識しタイヤを引っ込めたり出したりすることで、ほとんど揺れることもない。
浜松に差し掛かったころに、注文していたうな丼をドローンが運んできて走っている車の屋根にとまって置いていった。昼飯はビールを飲みながらうな丼だ。
信号もなくなって、車同士がぶつからないように交差できるタイミングを見計らって行きかう。今は、自動運転車しか道路を走れないため、狭い車体の車はなくなった。昔は、よくあんな狭い車内で我慢できたものだ。
通勤も、迎えに来る自動運転車に乗っていく。大きいため、普通の家には置いておけないためだ。電車で通勤することがなくなったため、どこからでも電車でアクセスしやすい場所にオフィスを置くことがなくなり、丸の内や六本木などのオフィス街はなくなった。
アキラは、200キロで走る自動運転車で、東京から奈良まで3時間で到着した。