『Project:;COLD』が見せた、リアルタイム・インタラクティブコンテンツという可能性
どうも、とったんです。
『Project:;COLD』、という作品を知っているだろうか?
アニメ?ゲーム?ちょっと違うかも。
Vtuber関係?割と近いかもしれない。
『Project:;COLD』とは、「現実と仮想が交錯する不可逆性SNSミステリー」である。
ストーリーは基本的にSNS、Twitterやyoutubeで展開する。
「都まんじゅう(みやまん)」という学生ガールズバンドが彼女たちの学校の文化祭でライブを行う。それに向けてyoutubeの「都まんじゅうチャンネル」でメンバーが自己紹介動画やラジオ動画を上げたり、ツイッターでメンバー個人のアカウントを運用して盛り上げようとする。
視聴者(体験者?)は彼女たちの様子をSNSを通じて断片的に知ることが出来る。また、彼女たちにリプライを送ればごくまれに返事をくれたり反応してくれる。
そんなある日、みやまんのリーダー・佐久間ヒカリは「血の人形・再来事件」という事件に興味を持ち、メンバーで調べてみようということになる。
しかし、調べていくうちに彼女たちに恐ろしいことが起こり始める・・・。
というのが、メインストーリー。
この作品はリアルタイムで物語が進んでいく。
進行状況はTwitterでツイート。重大な決断・告知などはyoutubeで動画として投稿される。
そして時折、謎解き要素が出てくる。
みやまんのメンバーたちでは解けない謎を視聴者である我々(「融解班」と呼ばれている)が代わりに解くことで物語が進む。
この作品は断片的な情報が多い。
例えば、Twitterでなにかをほのめかすツイートをしてそれについて詳しく言及しなかったり、投稿された動画の中で今まで一切出てこなかった用語が急に登場したり、情報に穴が多いのだ。
視聴者は他のところ(例えばツイート、ホームページなど)から情報を拾い集め、考察し、推測するのである。
『Project:;COLD』は仕掛け要素がかなりあって、例えばみやまんのメンバーが通っている高校、「六泉ヶ丘高校」を実際に検索してみると学校のホームページが用意してある。そこに謎解きに必要な情報が書いてあったりするのだ。
また、主要キャラのTwitterアカウントには裏アカが隠れて存在している。(架空のキャラなのにこの生々しさよ・・・。)
この裏アカはあのキャラの・・・と想像しながら探し、そこから情報を得る必要があったりもする。
また、youtubeに上がっている作品の主題歌、「勘ぐれい」のPVの中で出てくるQRコードを実際に調べてみると・・・みたいな隠し要素がいっぱいある。
このように、SNSやインターネット上に存在する断片的な情報を集め、推測し考察して真相を明らかにしたり、都まんじゅうのメンバーたちのドラマを観測するのが『Project:;COLD』である。
とまあ、ここまで作品の紹介文を書いてきたが、2月7日をもって現行のストーリー『case.613』は完結した。解決編は生放送形式で投稿されているので気になる人はアーカイブを見るなどしよう。
かく言うぼくも後追い組なので本当の意味でリアルタイムの熱狂を味わえたかと言われたら微妙である。この作品の肝はリアルタイムである点とインタラクティブである点がかなり占めている。
結構粗削りな部分があり、解決編の展開は多分リアルタイムで見てたらポカーンとしてたと思う。
それでも、この『Project:;COLD』という作品が打ち出した「実績」はかなり大きいはずだ。
インターネットをフルに利用した情報収集の楽しさ、SNSの特性を生かした相互干渉、欠けた情報を埋める考察、集合知の恐ろしいほどの回答能力、これほどまでに魅力のあるコンテンツ中々ないと思う。
ぼくが期待するのは続編、もしくは後追い企画である。
例えば(これはどこまでそのタブーに踏み込んでいいか分からないのだが)、「Vtuber」をめぐる物語にこのシステムを組み込んでみる。
その新人「Vtuber」のTwitterアカウント、youtubeチャンネルが出来る。
探せば中の人、いわゆる「魂」のアカウントも存在する。
で、ある日投稿された動画の声がいつもと違う・・・「魂」が変わってることに気づく。その「Vtuber」の所属プロダクションのTwitterで「魂」の変更と前任者の死亡が報告される・・・。そしてその「Vtuber」を担当した「魂」はみんな死んでいく・・・みたいな。
もしくはみやまん的なフォーマットを引き継いで、大学の仲良しサークルが事件に巻き込まれ、裏アカなどを通じて欲やいろいろが入り混じった歪な関係だったことが浮き彫りになる・・・みたいな。それ、ぼくが昔から書きたいって言ってた奴やん。
とにかく、ぼくが言いたいのはこんな面白コンテンツをスルーするのはもったいないぜ!って感じです。
ちなみに総監督の人によると、参考にしたのは「カゲロウプロジェクト」だそうです。ぼくはてっきりVtuberグループのア・・・おや、誰か来たようだ。
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