妻と縄 111.初めての男
夕陽に背を向けながら私たちは歩いた。
彼の手が私の肩に乗り、私の腕は自然に彼の腰に回った。
角を曲がったところで私の実家が見え、私は慌てて離れた。
彼の家は私の実家の斜め前だ。
彼が鍵を開けている間、私は辺りを見渡した。
ドキドキする。
こんな所を見られたら、何を言われるか分かったものじゃない。
ドアが開き、彼が手招いた。
私はもう一度周囲を見渡し彼の家に入った。
ドアを閉めた途端、彼は私を抱き寄せた。
「ああ、カズミ、会いたかった」
「ホント?」
「ああ、本当だよ。