[俳諧さんぽ] 藪萱草 春を想って色を見る
久しぶりにタイに来ている。
猛暑の日本の夏を逃げ出してきたので、雨が暑さを洗い流してくれる雨季のタイは、返って涼しく過ごしやすい。
昨年の9月末から半年以上も日本にいたのはこれもまた相当久しぶりのことで、それまではインドが長かった。
そんなで、すっかり日本の季節感に慣れたところだったのが、涼しめとはいえ、ねっとりと絡みつく南国の空気の中にいると、季節感覚が吹っ飛んでしまう。
そんなとき、noteで知り合った友がヤブカンゾウの花の写真を載せているのを見て、いよいよ別の時空に放り込まれた。
逆光気味でやや暗い色に写っているその縮れたラッパは、麗しくも鮮やかな橙(だいだい)色の夏の衣装をまとっているのだが、しかしそのときぼくが思ったのは、春に芽吹くカンゾウの緑の新芽の旨さのことだった。
八重のヤブカンゾウも一重のノカンゾウも、割と探しやすく、まずまずの量が取れるので、春先の新芽を何度かゆがいて食べたことがある。
しゃきしゃきと歯ごたえよく、いくらかのぬめりとほんのりとした甘みがあり、酢味噌などで和えて食べるのがよい。
調べて見ると蕾や花も食べられるとあるので、そのうちそちらも試してみたい。
今年の春は浜松市の山間部・春野町にいたので、一体何年ぶりだろうか、フキノトウの天ぷらを新しい隣人にいただいたり、酢味噌炒めを作って食べたりした。
四季豊かな日本の春の醍醐味であった。
そんなこんなで、騒がしい日本のニュースをよそに、故国の春を想う雨模様のタイの昼前なのである。
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