[随想詩] 輝く懺悔の唄
目が醒めたら頭の中で、空がまばゆいほどに輝いていたんだ。
「きいいいぃぃぃーーーん」て耳鳴りみたいな音が、聴こえることあるだろ。澄み渡る冬の空を、ジェット機が一直線に雲を残して飛ぶときみたいにさ。
ベッドの中で体が、そのまま浮き上がっちまいそうなほど、軽くて、手足が自在に動くんだ。余計な緊張なんてまったくない、ヨガの達人になったかと思ったぜ。
けど、人生って難しいもんだな。
起き上がって気持ちよく、紅茶でも入れようと思ったら、缶の蓋を開けた手が滑って、茶葉を部屋中にぶちまけちまったんだ。
浮かれすぎていたのさ。
注意深さが足りなくて、輝く朝も台無しだ。
頭の奥に幕が降りて、一気に生きる希望が失せちまった。
大袈裟な話だと思うかい?
けどよ、人生なんて結局そんなもんだろ。
騙されて全財産を失おうが、津波で孤児になろうが、ホントは茶葉をその辺にぶちまけたのと、これっぽっちも違いはないのさ。
罰当たりなことを言ってるのは百も承知よ。
そのくらい訳の分からない感情のもつれが、心の奥底でとぐろを巻いているんだ。
百万匹の透明なヤマタノオロチが、冬の青空を埋め尽くして、ひっそりと暴れ回ってるってことよ。
乱暴なことを言ってすまんな。
許してほしいなんて思ってもいないさ。
こんなアンポンタンに、人様からの赦しなんて、似合うわけがないからな。
ぶちまけた紅茶の香りに包まれながら、ひざまずいて、両手を胸の前で組んで、天の神さまに祈るだけさ。
いつも人の神経を逆なでばかりしている、頭のネジが一本足りないこのウスノロ男に、どうか束の間の心の安らぎをお与えくださいってな。
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