書籍「夢をかなえるゾウ」を読んで
年末年始休暇で時間があったので、「夢をかなえるゾウ」を読んでみた。
元々存在自体は知っていたのだが、これまでなんとなく手に取る気になれなかった。
理由は二つ。
一つ目の理由として、自己啓発本というものに胡散臭いイメージを持っていたこと。
二つ目は、あまりに人気なものや流行には乗っかりたくないという自分の天邪鬼な性格によるものだ。
だが家族に強く勧められたため、ものは試しと読んでみることにした。社会人三年目がそろそろ終わろうとする中、自分はこのままでいいのだろうか?という思いが芽生えていたことも、その後押しとなった。
読み始めてみると、これが思いの外面白かった。
自分同様、「変わりたい」と願う主人公。
自堕落だが時折鋭い言葉を投げかけるインドの神ガネーシャ。
二人、いや一人と一柱の登場人物が織り成す物語に引き込まれ、気づけば一日で読み終えていた。
内容としては、成功した偉人たちが心がけていたことと、その意味の解説がメインだ。
成功のためにガネーシャが主人公に課す課題は多岐に渡るが、その根底には「人を喜ばせることで価値が生まれ、対価としてのお金や名声が付随する」という思想が一貫して流れている。これは考えてみれば当たり前のことだが、ハッとさせられた。
普段の生活や仕事において、果たして自分は他人のことをどれだけ思いやれているだろうか?自分さえ良ければいいという、独りよがりの考え方をしていないだろうか?
例えば仕事で取引先から案件の引き合いを受領した時。振り返ってみれば仕様や設計など、ついつい自社の負担を軽くすることを優先してしまうことが多かったように思う。確かに先方の要望をつっぱね、自社が楽な仕様に落とし込む方が都合がいい。「いい営業だ」と工場から評価されるようにもなる。だが顧客の立場に身を置いて考えると、そのような会社とこれからも付き合っていきたいと思うだろうか?過去に実績がない、難しいからと断り続けていれば、そのうち誰でもできる簡単な仕事しか振ってもらえなくなってしまうのではないだろうか。そうなってしまえば待っているのは決して明るい未来ではない。誰でもできる仕事というのは付加価値がないため、単純な価格競争に陥りやすい。また場合によっては技術の発達により、気づいた時には自社ができる仕事が全く残っていないという事態にもなりかねないのだ。
今後は仕事でも日常生活でも、相手を思いやり、相手の立場に立って考え、要望を汲み取れるよう努めていきたいと思う。読後に手始めとして、飲食店で店員さんが片付けやすいよう食器を重ねて通路側に寄せる、親戚の集まりで小さい子がいる時には今まで以上に進んで世話をする、等実践してみた。実際にやってみると、小さなことでも人のために何かをするというのは気持ちがいいものだった。
まずは小さなところから始めていき、社会に貢献できるような人になりたい。そう素直に思わせてくれた、自分の転機となり得る読書だった。