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BtoBtoX事業における理想のデザイン組織を考える
パートナーと共に、新たな金融サービスを創出する。
上記のミッションを掲げ、BtoBtoC、BtoBtoBの事業を展開しているマネーフォワード Xは、金融機関を始めとしたパートナー企業と多様な金融サービスを共創しています。
私は2017年6月にマネーフォワードに入社し、マネーフォワード Xに所属し続けてもうすぐで4年になり、マネーフォワード Xの成長と共にXのデザイン組織も少しずつカタチを変えてきているなと思います。
最近デザイン組織のマネジメントに関わるようになってきたこともあり、今回はBtoBtoX事業におけるデザイン組織の現状と歴史を踏まえて、理想のカタチを考えたいと思い、この記事を書いてみることにしました。
マネーフォワード Xのデザイン組織の現状
マネーフォワード XにはUXデザイン部というデザイン組織があり、UXデザイナーのグループとUIデザイナーのグループに分かれています。
グループが分かれている背景には、サービスによって活躍するデザイナーの強みや役割が違うことが関係しています。
ただし、明確に領域を分けているわけでもありません。例えば、新卒でUXデザイナーとして入社したメンバーが、今はプロダクトのUIデザインも担当していたりします。
マネーフォワード Xのサービスは、UXデザインのコンサルティングと、プロダクト開発の2つに大きく分かれます。
デザインコンサルティングでは、上流からUXデザイナーがリサーチから分析、コンセプト設計までを数ヶ月間主導することが多く、その後のUIデザイン、実装につながるフェーズからUIデザイナーも入っていく場合が多いです。
UXデザイナーの働き方については、こちらの記事に書かれています。
プロダクト開発は、例えば『通帳アプリ』を開発して、多様な金融機関に提供しています。 『通帳アプリ』のようなマネーフォワードが主体となって開発するプロダクトのデザインは、UIデザイナーが主導しています。
UIデザイナーのメンバーについては、こちらの記事で紹介されています。
最近は少しずつUXデザイナーも関わり、プロダクトのグロースのためのリサーチをしていこうとする動きもあります。
こちらのデザイナー向けの記事でも、マネーフォワード Xについてわかりやすく紹介されています。
マネーフォワード Xのデザイン組織の歴史
私が入社した2017年、デザイナーはUXデザイン部の現在の部長と私の2人で、『マネーフォワード for 〇〇』(金融機関のお客様向け『マネーフォワード ME』)のデザインをしていました。
「マネーフォワード Xの標準的なサービスづくりのアプローチを開発し、アプローチ自体を強みにする。今後パートナーとの共創の際にも導入し、アプローチを理解したメンバーの育成も行う。」
2018年5月頃、当時の私の上長の言葉から、UX/サービスデザインのコンサルティングのサービスが立ち上がります。
当時の私の上長は、エンジニアからビジネス職へ軸足を移してきた方で、UX/サービスデザインの考え方にも理解がある方だったので、UXデザインを学んできた私にとって、とても頼りになる存在でした。
UXデザインやデザイン思考のアプローチをベースとして、初期の頃からマネーフォワード MEの開発に携われていた方にサービスづくりの知見をヒアリングしたりしながら、「MFSD(Money Forward Service Design)」
と名付けたメソッドをまとめて、パートナー企業とワークショップでユーザーの課題や価値を整理したり、アイデア展開をしたり、ユーザーインタビューやユーザーテストができるようになっていきました。
共創のためのUXデザインのポイントについては、UXデザイナーのリーダー、ちゅうさんのセミナー動画でも紹介されています。
ちょうどデザイン思考やデザイン経営という考え方が広まってきていたこともありますが、MFSDが立ち上がったのは、デザイナーだけではなく、ビジネス職のメンバーでもUXやデザインの思考への理解があったことが大きかったと思います。
徐々にデザイナーが増え、MFSDを活用した共創プロジェクトの知見がたまってきたので、メンバーのUX/サービスデザインのスキルを向上させるためのトレーニングプログラムをつくってみたり、ナレッジ共有会を通して、プロジェクトを成功させるためのポイントを整理する活動なども行ってきました。
マネーフォワード Xの理想のデザイン組織
マネーフォワード Xの今後の事業の方向性は大きく2つあります。
この事業の方向性を踏まえて、理想のデザイン組織とは何かを考えてみました。
一つは、マネーフォワードだからこそできる、蓄積されたデータの活用と、多様な金融体験のリサーチでわかってきたユーザーの価値をつなげることで、新たなサービスをつくっていける組織なのではないかと考えます。
マネーフォワードのバリューには「User Focus」があり、デザイン組織の役割としても、ユーザーの本質的な課題を理解してサービスづくりにつなげることは重要だと思っています。
もう一つの理想は、メンバーそれぞれが学び続けることで、新たに身につけるスキルや専門性を掛け合わせ、ユーザーや社会、組織のメンバーのためにデザインを活用できることなのではないかと考えます。
時代によって求められるスキルは変化していくことを考えると、好奇心を持って学び続ける必要があります。
また、不確実な時代に新たなサービスを共創するためには、構想を描いて実現していく過程で、多様な専門性を掛け合わせて価値をつくれる組織でありたいと思います。
おわりに
今回はマネーフォワード Xのデザイン組織の歴史を振り返り、BtoBtoX事業における理想のデザイン組織について考えてみました。
マネーフォワード Xの事業の特徴である、パートナー企業との共創、データ活用による付加価値の拡大という視点から、データ活用とユーザーの価値をつなげること、学び続け多様な専門性を掛け合わせて価値をつくることが理想のデザイン組織の一つのカタチなのではないかという考えに至りました。
今後、私個人の見解だけではなく、他のメンバーと一緒に理想のデザイン組織とは何か、どうすれば理想のデザイン組織をつくれるかを考えていきたいと思います。