【リフレクション】デザイン活動と研究のためのデザインリサーチ:Xデザイン学校2022 アドバンスコース#2
今回はデザインとリサーチについて考える機会になった。
デザインとリサーチの関係は切り離せない。
デザイン活動と研究のためのデザインリサーチ
デザインの定義を広げて考えられるように、リサーチの定義も広く捉えられる。
リサーチには、ユーザー/UXを対象としたユーザー/UXリサーチと、デザインの視点である、ヒト、モノ、ビジネスを対象としたデザインリサーチ、何かを明らかにする研究のためのデザインリサーチがある。
研究のためのデザインリサーチは、論文というかたちで知見のエコシステムをつくることに貢献する。
デザイン研究の領域は幅広い。
研究には大きく3つのパターンがあり、リサーチの対象の軸を何にするかで分けられる。
事例研究:世の中にある事例を調査する
論理/実験研究:実験することで仮説を検証する
実践/作品研究:自ら経験したプロジェクトや作品制作の成果物とプロセスを振り返り、知見をまとめる
いま自分が取り組んでいる「IT企業におけるコンセプトデザインのための構想力の育成方法の研究」は、論理研究になる。
構想力の育成方法を提案するために、育成方法の仮説を検証していく。
論理研究は、検証方法をよく考えないと論理の正しさを証明するのが難しい。
実践研究は、自分が関わっているデザイン活動の振り返りから知見を整理するから、社会人にとって取り組みやすい研究と言えるかもしれない。
知見が整理できれば、プロジェクトチームの学びにつながり、論文にすることで社会にも知見を残せる。
デザイン活動と研究のプロセスは、基本的には同じ構成になる。
目的設定:明らかにしたいことは何かを考える/問題(リサーチクエスチョン)の設定
予備調査:仮説を設定するための探索的な調査、探検、観察/先行研究の調査
仮説設定:問題に対する仮の答えを推論、言語化する
検証:仮説の正しさを確認するための検証方法を計画し、実験する
結論:検証結果から明らかになったこと、知見をまとめる
このプロセスがモデル化されているのが、川喜田二郎さんのW型問題解決モデルだ。
W型問題解決モデルは、思考と経験を行き来するデザインやリサーチの活動を通じて知見を残す(知識の収納庫)ことで、個人、組織、社会にとっての学びを進めるプロセスが表現されている。
時間をかけて主観力に影響を与えるアート
『アート思考――ビジネスと芸術で人々の幸福を高める方法』の輪読では、アートの視点について考える機会になった。
アートは、言語として表現できないことを視覚以外の身体感覚も活用して形にして伝えるという側面がある。
物事は、何事にも深い意味や異なった解釈が幾重にも折り重なっているもので、わからないものに対して、何かを感じるだけでなく、自分なりに粘り強く考え続けることがアート思考であると書かれていた。
アート作品を鑑賞するとき、アーティストの表現している感触を追体験できないと感じることもあるかもしれないが、自分なりに考え続けて新しい解釈や気づきがあると、自分の生き方や視点が変わることがあるのかもしれない。
そして、蓄積された知識から独自の観点がつくられ、自分なりの目的や価値を見出せるようになるのかもしれない。
構想力の育成方法の研究との関連を考えると、構想力の要素の一つである主観力(主体的に独自の観点で目的や価値を見出していく能力)に関係してくる。
アートと接することで得られる、生き方に与える深い影響は、何年後かに実感できるものであるなら、主観力を高める方法にも即効性はなく、ある程度の時間をかける必要があるのかもしれない。
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