自分たちの組織にふさわしいデザインスキルを設定するアプローチの実験
社会環境の変化と共にデザインの定義が拡張され、多様なデザインアプローチが提唱されている。
企業ではデザイン人材を育成することが求められており、事業/組織の変化に合わせて自分たちの組織にふさわしいデザインスキルを設定し続けることが重要になる。
スキルごとの定義、粒度、境目は曖昧なため、自分たちの組織やチームに必要なデザインスキルを自分たちで設定することで、納得感やスキルを高めるモチベーションにもつながる。
そのような背景から、自分たちの組織にふさわしいデザインスキルを設定するアプローチを実験するワークショップをやってみた(「Xデザイン学校公開講座:夏の研究ワークショップ」にて開催)。
この研究では、UXの5段階モデルに基づいてデザインスキルを定義している。
ワークショップで参考にするデザインスキルの整理
参考となるデザインスキルがあることで、スキルを設定しやすくなるのではないかと考え、文献調査によってデザインアプローチの全体像、デザインスキルの観点、スキルの構成要素の例を整理した。
ワークショップのアウトプットイメージと流れ
最初に、チームでどのような事業をしている企業を想定するかを決めて、業務プロセスを設定するところから始める。
次に、業務ステップごとに想定するアウトプットを設定する。
アウトプットごとに必要なスキル要素を展開する。
最後に、スキル要素をグルーピングしてスキル名をつける。
ワークショップの結果
Aチームは、テクニカルスキルとポータブルスキルを分けるために、専門性が感じられるようなテクニカルスキルの名前をつけていたところが特徴的だった。
Bチームは、テクニカルスキルとポータブルスキルを分けずに、一部のスキルを表現系、思考系というフレームで整理していたところが特徴的だった。
振り返りアンケートの結果
満足度(5点満点):平均4.4点
学びになったことについては、下記のようなコメントが見られた。
自分たちで必要なスキルを設定すること
スキルを言語化するのは難しい
自分のスキルを内省する機会は設けているが、他の方のスキルの考え方を知るきっかけになった。頂いた資料をもとに自社のスキルと自身のスキルを見直したい
ワークを進めていく中でスキルの細分化やここをもう少し解像度高くみていきたいと気づけた
(転職しても活用できる)スキルの考え、スキルのグルーピングが勉強になった
考察
今回のワークショップでは、2時間程でたたき台としてのデザインスキルを設定した結果、チームごとのスキル設定の特徴、スキルを設定する際のポイントがいくつか見られた。
参考となるデザインスキルがあることで、自分たちの組織に必要なデザインスキルが設定しやすくなると考えられる
何を専門スキルとするかは組織によって異なるため、テクニカルスキル(デザインの専門スキル)とポータブルスキル(職種に関係なく必要なスキル)を分けずにデザインスキルを設定する場合もある
スキルを考える中で、例えば「本質的な気づきを見つけられる」というような、センスと捉えられる能力が出てくることがある。センスは多様な経験を積むことで磨くことができると考えると、コンセプチュアルなスキルとして設定できる可能性がある
組織によって馴染みのある言葉は異なり、スキルのイメージを言語化することが難しいことがある。その場合はスキルを活用する業務の具体的なシーンを共有することで、その組織にふさわしいスキル名を設定しやすくなるのではないか
今後も事例を増やしながら、自分たちの組織にふさわしいデザインスキルを設定するアプローチをブラッシュアップしていく。
参考文献/記事
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