折々の歌詞(121)
夢ならばどれほどよかったでしょう/未だにあなたのことを夢にみる/忘れた物を取りに帰るように/古びた思い出の埃を払う
米津玄師
「Lemon」(2018)「夢にみる」まさにそのことを「夢ならば」と願っているのは奇妙。意味内容は了解できるので許容するにしても、安易な「夢」の繰り返しが音韻的効果を生むことはなく、「夢ならば」「夢にみる」おたがいに類型を強調しあっていっそう陳腐にしている。「忘れた物を取りに帰る」という動作が「埃を払う」に対応しているはずはなく、比喩として成立していない。