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『チェンソーマン』 (1) 【犬とチェンソー】 第1話「犬とチェンソー」 動機、猫、内面


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P10
このシーンだけで
世界観 —— 悪魔がはびこる世界(ヤクザが闇市で悪魔の死体を取引する?)
主人公 —— デビルハンター
境遇 —— ヤクザに借金がある
が分かる。
ジャンプの読者の想像力を信頼している、秀逸。
腎臓、右目、3804万円の借金、主人公は欠如しか提示されていないので
発展、上昇していくしかない。





《SAVE THE CAT》とは私が名づけたシーンだ。基本中の基本のシーンなのに、なぜか最近あまり見られない。このシーンでは、観客は初めて主人公に出会い、主人公がなんらかの行動を起こす——危機一髪のところで猫を救うとか。このシーンによって観客は主人公の性格が分かり、しかも共感し好きになる。

スナイダー『SAVE THE CAT の法則』





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冒頭、主人公「デンジ」が「ポチタ」に声をかける。
これだけで「SAVE THE CAT の法則」は成立している。
「ポチタ」は
欠如だらけの「デンジ」の重要な契機、ターニングポイントになるに決まっていて
実際、そうなる。
「ポチタ」以外にはなにも持たない。
原始的三大欲求のみでは、「デンジ」は動かせない。
(これまでの借金生活以上の行動をしない)
よって、「ポチタ」を危機におちいらせなけれならない。
(「デンジ」の危機における自衛のみでは動機が弱い)




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P19
回想。
案のじょう、「危機一髪のところで」救っている。
(漠然と「危機一髪」だが、これだけではあまりに雑なので
おそらく「ポチタ」の銃創らしい傷にも意味があるのだろう)







おそらくバディになる「パワー」も

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P177
「危機一髪のところで猫を救う」をやっている。
「デンジ」のみ、「パワー」のみなら
きわめてシンプル、陳腐な行動理念だが
対比、共有させることで
多少は効果的になっている。



B級ホラーに似ている。
「エヴァンゲリオン」のように
既成ジャンルをつめこんでパロディー化したことに独創性がある。
主人公は孫悟空、ルフィ、炭治郎以上の内面を持たない。
持つ必要がない。

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