漫画『美味しんぼ』62話 作品屈指の謎回

解説不要の名作料理漫画、『美味しんぼ』。海原雄山や栗田ゆう子といった個性的なキャラクターが入り混じり、毎回何かが起こる。そして誰かが怒る。

個性的なキャラが多ければ主人公の存在感が霞んでしまいそうだが、そうでもない。山岡士郎こそ個性の塊である。っていうか山岡さん、口が悪すぎ……。

ユニークな展開も多く、ネットでもネタにされる場面が多数あるので「ちゃんと読んでいなくても知っている」という人も多いのではないか。僕もそんな感じだった。「ラーメン三銃士」なんかはネタを通り越して異様な雰囲気が漂っているが。

そんなぶっ飛びエピソードが多い中でも、ひときわ異彩を放つ謎の回がある。6巻6話(全体の62話)「日本のコンソメ」だ。

詳しいストーリーは省略するが、「超能力会」なる催しにて、能力者のクリスさんが山岡のポケットの中身を透視したり、「物品移動」と称して飾ってある絵画を宙に浮かせたり(ミュウツーみたいなサイコキネシス?)、冒頭からトップスピードだ。

その後は食事シーンに移り、モブが食べ物(その回はお吸い物)にケチをつける→山岡がケンカふっかける、というテンプレ進行。どうやらクリスさんは良い人で、日本のお吸い物に興味津々。なんやかやがあって、お吸い物の材料を見るために能力を使い、日本全国津々浦々(鹿児島県、北海道、銀座など)を回るということになったのだ。

省略して文章にしても、よく分からない。他にもツッコミどころが満載である。どうやってこんな構成を思いついたのか。

クリスさんの能力はとにかく凄くて、場所だけではなく時間も飛び越える。モブが「(あの)タイムスリップですか」というリアクションをとっているので、恐らく使うのは初めてではない様子。クリスさん、一体何者?? 曰く、「誰でも能力を鍛えればできるようになる」らしい。

このタイムスリップ能力は最強クラスだと思うが、体得出来たらとても便利だ。

こんな話を真面目にやってしまうから『美味しんぼ』って凄い。

名作に最大限のリスペクトを込めて。

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