邦楽『When You Sleep』(J) 救いがあってもなくても

たまに、無性に聴きたくなる。そんな時に聴けるって、便利な世の中だなぁとつくづく思う。

冬の、とても冷える夜。この曲を聴きながら、よく仕事終わりにトボトボ歩いて家に帰ったものだ。J(LUNA SEA)の『When You Sleep』。タイトルからしてまさに「夜」という感じ。しかも、冷えた夜って感じ。

曲自体は冷え冷えしてるわけではなく、冬の夜に灯る焚き火のような、切なさと優しさと暖かさがある。だからこそ冬に聴きたくなるのかもしれない。疲れている時なんか特に。

この曲は彼のキャリアでは珍しく、とても内向的だ。というかこの曲が入っているアルバム自体がそうなのだけど。

僕はLUNA SEA時代から通して、彼のこういったメロディックだったり、ダウナーな感じの曲がとても好きだった。あまり多くはないけど、妙に印象に残る曲ばかりだ。なんとなく、そこはかとない弱さを感じる。

この曲が、その集大成ではないか。

歌われているのは諦めや絶望だけど、それでも希望があると信じたいと、そう歌っているように聴こえる。この曲の彼の声は、訴えかけるものがある。

そして何よりメロディがいい。それまでで一番暗く、切なくてそして綺麗なメロディだ。

彼はLUNA SEA時代から稀代のメロディメイカーだった。だけど語られるのは『ROSIER』や『TONIGHT』みたいな激しいロックな一面の方が多い。

だけど、語られるべき彼のもう一つの側面が、この陰鬱さなのだ。この振り幅があるから、彼の作品は素晴らしい。

疲れた時に寄り添ってくれる曲があるというのは、とても幸せなことだ。

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