息子の自傷行為
末っ子長男息子の話。
元々、瘡蓋をカリカリしたりする癖がある。
蚊に食われを掻き壊してとびひになってしまったり。
お陰で1年中、足はぼろぼろだ。
江ノ島あたりに流れ着いた流木かな?と、思うときがある。
ぶん殴られないとダメなんだ
息子は言う。
思い通りに行かず、癇癪を起こしてパニックになる。
癇癪から、パニック。
わたしへの暴力。
殴る、蹴る、髪を掴んで地面に叩きつけようとする。
そこから、自傷行為へと移る。
自分の頭を叩き、髪を引っ張り、顔面を殴る。
鼻血が噴き出る。
止めても止めてもやる。
『俺は馬鹿だ。俺はダメなんだよ!!俺、ぶん殴られねぇとダメなんだ。○○のパパ(元旦那)にぶん殴られてぇんだよ!!』
泣き叫びパニックを起こす。
胸が痛む。
涙が出て止まらなくなる。
わたしは無力を痛感する。
自力で癇癪を抑えきれずに、元旦那にぶん殴られたいと言う息子。
元旦那は怒りで息子を抑止するような人だった。
怒鳴って一喝して、息子の感情はいつも強制終了させられる。
ゲームのリセットボタンみたいに。
未だにトラウマは根付く。
息子は馬鹿じゃないよ
息子が暴れると、夫は言う。
息子を諭すように、沢山の話をする。
勿論、パニックを起こしてる最中の息子の耳には届かない。
全力で抱きしめて、何度でも話をする。
時に暴言を吐かれ、殴られ、蹴られようとも。
それでも夫は諦めずに、息子を抱きしめて息子と向き合う。
息子と本気でぶつかり合う。
そんなことを何ヶ月も繰り返す。
息子に少しずつ変化が生まれてきた。
強制終了のその先に
息子は次第にパニックになる前に、泣きながら自分の気持ちを伝えることが出来るようになってきた。
『俺、悲しいよ。ツライこともあるんだよ。』
息子は夫に自分の気持ちや今までのことをポツリポツリと話すようになったのだ。
元旦那にされたこと、言われたことが悲しかったこと。
辛かったこと。
発達遅滞の息子が一生懸命に話をする。
辿々しく、聞き取りにくい言葉達を夫はひとつずつ取り零すことがないように、必死に集めていく。
わたしの知らない世界がそこにはあった。
少しずつ少しずつ
息子は変わりつつある。
わたしは元旦那と実母の顔色を伺い、なにかに怯えながら子育てをしてきた。
今までの教育の尻拭いを夫が必死にしてくれている。
感謝の気持ちと共に申し訳ない気持ちにもなる。
でもね、夫は言うのだ。
『俺とあなたの子だよ。』
息子だけに限らず、夫は本当によく子ども達の話を聞き、沢山の話をしてくれる。
そんな夫をわたしは心から尊敬している。
子ども達には数々のトラウマが根深くあった。
これもまたわたしの知らない世界だったのだ。
凸凹だけど愛がある
実は、夫自身も育ちが不十分な所がある。
夫も苦しみもがきながら生きている。
わたし達は凸凹だ。
歪にゆがんだ個々の生き物が凸凹を埋めようと、今必死に生きている。
間違うこともあるだろう。
でも、必死に生きている。
愛ってなんだろう。
考えると分からなくなる時がある。
答えはまだ出ないのかも知れない。
でも、わたしは諦めたくないし、きっと夫も諦めたくないだろう。
凸凹なりの愛を。