【京都 楊谷寺】今年の紅葉で最も思い入れのある一枚
楊谷寺さんの上書院で撮ったこちらの写真です。
どうしてこうなった
本年、楊谷寺さんの紅葉ウィークでは拝観前の30分貸切という枠がありました(8時から9時で1日2枠)。
しかし、車に乗らない身としてはその時間に楊谷寺さんへ辿り着くということ自体が大きなハードルです。
タクシーという手もありますが、コロナ後タクシーの数が激減しています。かつて、事前にアプリで予約をしたにも関わらず、結局配車は直前のため「お車のご準備ができませんでした」と連絡を受けたトラウマが…。そのとき、私の心には「もうタクシーが呼べば来る時代ではないのだ」という教訓が深く深く刻まれたのです。
しかし。
「Leap before you look」(見る前に飛べ)
先に予約をしました。
さて、行く方法を考えなければ。
ミッションは、8時半までに楊谷寺さんへ行くこと。
直前は不安なので余裕をもって到着することが望ましいでしょう。
ひとまずGoogle先生に聞いてみることにしました。最寄り駅は阪急長岡天神かな…。
すると、びっくり。
Googleマップの経路を検索したところ、公共交通機関欄も徒歩欄も空白でした。
予想の範疇ではありましたが、前途多難です。
やはりタクシーに賭けるしかないのか…。
タクシーを検索しつつ、楊谷寺さんの公式HPを見に行きました。
アクセスのページには、まず「お車でお越しの方」。デスヨネー。
次に「バスでお越しの方」。いや、しかしこれはツアー用のやつ。
そして、「電車でお越しの方」。続くのは、「※平日はハイキングで歩きかタクシーになります」。
歩いて行って良いんや!?
曰く、最寄駅は阪急西山天王山駅。歩いて1時間ほど、山登りとなるとのこと。
大丈夫です!道があるなら!
Googleマップでの案内が出ない時点で、歩行者が通れない道があるのかと懸念していたんですよね。
歩いて1時間ということは、1時間歩けば着くということ(小泉構文)。
全然余裕です!
まったくひるまなかったと言うと噓になりますが、本当に行けないんじゃないかという危機感に駆られていましたので、確実に行ける方法が見つかったことに歓喜しました。
しかも、徒歩ということはですね、実質無料ですから(実質というか事実無料)。
行ってみた
そんなわけで、徒歩で行きました。
片道1時間ですが、トラブルに備えて、7時に西山天王山駅着でスタートしました。
ちょうど山々が朝日に照らされる時間で、西山が美しく輝く姿を楽しみながら進むことができました。
さて、道についてですが、山へ入るといわゆる歩道はなくなります。幸い朝が早かったので車の往来は少なめでしたが、もし歩いて行かれる方は車に十分ご注意ください。
きちんと舗装された道で歩きやすかったです。
一方、やはり坂道ですので体力面に自信がある場合のみ徒歩を選択されるとよろしいかと思います。そもそも車という選択肢があるなら車が良いです。
結果として、無事、楊谷寺さんに到着しました。
事前にご連絡いただいた手段で入山。
そして、上書院へ。
この上書院というのが、かつては限られた方しか立ち入れなかったという特別な場所なんですね。
その下にある浄土苑が名勝庭園ということもあり、上書院から眺める景色はとても素晴らしいです。現在では、その素晴らしさを多くの人が楽しめるようにと、ご縁日の毎月17日、もしくは紅葉期間などの特定の時期に特別公開してくださっているのです。
私はこの上書院に初めて入るというわけではありません。入るたびに季節折々の風景に感動したものです。特に、一昨年の紅葉は見事なものでまた来たいと思いました。それがあっての今回だったのです。
しかし、今までとは大きく違いました。
部屋全体に光が入った状態は初めてでした。
部屋の外の紅葉はもちろんですが、上書院そのものが息をのむ美しさだったのです。
そして、もちろん紅葉も。
今年は遅いと言われている中早すぎるかなと心配していましたが、十分に見頃と言える色付きでした。
本当に来てよかったと思いました。
さらに、実はこの紅葉期間に向けて自分の装備にも新顔を迎えていました。
RF10-20mm F4 L IS STM。
2023年10月27日に発売されたばかりの超広角レンズです。注文が殺到したようで発売日には届かなかったのですが、なんとかこの日に間に合いました。
この光差し込む上書院を最大限に切り取ることができる強い味方でした。
この写真の主役は紅葉であると思います。
ただ、それと同じくらいこの美しい上書院を広く撮りたかった。
掛け軸まで入っているのがお気に入りです。その道の素養はまったくありませんが、「南無阿弥陀佛」、とてもお寺らしくて良いなと思いました。
時間ギリギリまで撮影し、その後も境内の紅葉を楽しみました。
境内の他の場所は、その日時点ではまだやや見頃には早かったのですが、その分色付きのグラデーションが楽しむことができました。
心から満たされる拝観でした。
朝早く静かなので、本殿のお参りも心穏やかにご挨拶できたのも良かったですね。
唯一難点があるとすれば、あまりに満たされ過ぎまして、パワーみなぎってしまったようで、帰りも歩いて下りました。
正直言うと拝観にいらっしゃった方のタクシーが空車で下山していましたので、全然乗れたんですが、余韻で噛みしめてまして。
タクシーに乗るとか考える余裕がなかったんですよね。
そして、しばらくするとさすがに我に返ったんですが、その頃には「ここまで歩いたんだからもういいか」という気持ちになりまして。
念のために言っておきますと、心ここにあらずといっても車には細心の注意を払っておりましたので悪しからず。
その後
その後、せっかく歩いているんだからと長岡天満宮へ方向転換をし、さらに、見頃を求めてJRで泉涌寺方面へ向かい、さらに見頃を迎えたという情報から夜は清水寺のライトアップに参上したのですが、それはまた別のお話。
というわけで、歩いたことも含め忘れられない思い出の詰まった1枚となったのでした。