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1本で何役もこなせるデジタルペンはあるのか

iPhoneとiPadでは使えるデジタルペンの方式が違う

 新型コロナウィルスの感染者増加に伴って緊急事態宣言。4月になっても仕事開始にはなりませんでしたが、そこそこ仕事の打ち合わせだけはあって短い時間でも出掛けなければならなくなります。そんな時は電車でiPad。緊急事態宣言のおかげか電車の中は人も少なく座れますので、もう迷うことなくiPadを取り出します。でも、座れなかったらやはりiPhoneを取り出し片手で使うわけですが。ふとiPadとiPhoneを併用していると、ちょっと細い操作をするのにiPhoneでもデジタルペンがほしくなります。そのときは片手では無理で(iPhoneを持つ手とペンを持つ手が必要)両手を使わないといけませんが。

 でも昔iPhoneで使ったデジタルペンといえば、太めで不格好なスタイラスでした。iPadで使うApple Pencilとスタイラスを比べると、ペン先は太く、あくまでも指でタッチする代わりに使うものであって、文字を書いたり絵を描くというものではない感じでした。
 その代わりに値段は数百円からあり、利点は電池が要らないというところ(だから安価)ですが、指だって電池は要らないですから。しばらくして使わなくなってしまいました。

 スタイラスといえば、こちらの記事では「ペン先が丸いタイプ」「静電容量式」に分類しています。ペンというよりも指の代わりなので、ペン先の素材の良し悪しでいろいろ差別化。お勧めはよく100均ショップで売っているようなペン先がゴムでなく誘電繊維などのもの。ペン先は摩耗するのでゴムでは耐久性が劣るということです。  

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太めで不格好なスタイラスは静電容量式。ペン先の素材で差別化。

 スタイラスはiPadでも使えますが、残念ながらApple PencilはiPadでないと利用できません。これはiPhoneとiPadでは、それぞれで使えるデジタルペンの方式が違うからです。やはりスタイラスではApple Pencilの代わりにはならないし。

iPhoneとiPadを1本のデジタルペンで使いたい

 iPhoneとiPadの2台持ちの人がスタイラスを使うとすると、Apple Pencilとの2本を持ち替えて使わないといけません。でも、Apple Pencil一択で高止まりしていたiPad用デジタルペンは「もしや?」という互換製品の登場で、価格が流動的になってきました。もしかすると技術革新によってiPhoneとiPadの両方で使えるデジタルペンが出てきたりしないでしょうか。
 そこで迷った時のAmazon詣ですが、ありました。おまけに「ベストセラー1位」「タブレットPC用タッチペン の 売れ筋ランキング1位」の製品がiPhone・iPad両対応のデジタルペンでした。

 これらは前述のスタイラスとは違って充電タイプなので、こちらの記事では「ペン先が細い」「静電発生式」というタイプ。値段は2千円台から5千円くらいまで。充電端子がUSBかUSB-Cか、Lightningかで利用者が分かれてきますが、この1位の製品はLightning。鶏が先か卵が先かですが、iPhoneユーザーや普通のiPadユーザーに支持されているのでしょう。iPadよりもiPhoneのユーザーの数の方が圧倒的に多いわけですから、数あるApple pencil互換製品の中でランキング1位になるのは当然のことだったといえます。
 以前の記事の中で「もしもiPadだけでなくiPhoneでも使えて、Apple Pencilのように細かい文字も書けるのであれば、今後はApple Pencilのライバルになるかもしれません」なんて書きましたが、実際には既にそんな製品が存在し、この価格クラスのApple Pencil互換製品の中で一番売れていたのでした。

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充電するタイプは静電発生式。細いペン先が利用できる。

iPad専用も多い細いペン先が利用できる静電発生式

 ちなみに私が1月に買ったiPad専用の互換製品は本日(2020/04/12)はランキング内ギリギリの100位でした。今も気分を変えたいときにApple Pencil の代わりに使ったりしますが、当初思ったBluetoothをオフにする手間よりも、たまに充電するときにMicro USBのケーブルを探すのが鬱陶しいです。
 このiPad専用で2018年以降のiPadに対応した製品の性能はドングリの背比べだと思いますが、同じような価格でiPadだけでなくiPhoneでも使える製品があるのであれば、やはりそちらの方に手が伸びるような気がします。

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同じ細いペン先でもiPad専用もある。1月に購入した製品は現在100位。

 これらの製品は「静電発生式」なので充電しなければ使えませんが、そもそもApple Pencilも充電しなかれば使えません。手軽なスタイラスと比べると充電しなくても良いという手軽さを失いますが、Apple Pencilの代用品がiPhoneでも使えるメリットは大きいと思います。ただ気になるのは、iPad専用と比べた場合の描画の精度です。

 先の記事ではApple Pencilは「筆圧感知タイプ」「デジタイザー」というタイプになるので、「静電発生式」とは少し異なり互換性はケースバイケースになります。iPhoneでも使える代わりにApple Pencilの使い心地が犠牲になるとしたらちょっと残念ということです。それでも値段がApple Pencilの3分の1以下ならそれはそれで十分なようにも思います。

iPad優先で細いタイプかiPhoneでも使えるディスク形か

 「静電発生式」の特長はペン先が細いというところにあるので、指でタッチする代わりに使う「静電容量式」とは元々用途が違うと思います。細いペン先は指でタッチする代わりでなく、文字を書いたり図を描くためのものです。

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 iPhoneとiPadで使えれば良いということで、もう少し軸足をiPhone側に移せば、さらにもっと安い製品もあります。千円を割る価格で、細いペン先を諦めつつ、「ペン先が丸い」スタイラスよりも文字を書いたり図を描くのに適しているのがペン先が「ディスク形の静電容量式」のデジタルペン です。

 ペン先にプラスチックの円盤(ディスク)が付いているのが特徴で、一見奇妙なペン先に見えますが、円盤を透かして細いペン先が見えるので、「ペン先が丸い」スタイラスよりもはるかに文字を書いたり図を描くのに適しています。最近は100均ショップでも売られていたりします。

 また、静電容量式なので充電しなくても利用でき、ここがポイントなのですが、この方式はiPhoneやiPadの画面を指でタッチするのと同じなので、iPhoneとiPadの両方で利用できるというわけです。ただし、問題になるのは指でタッチする精度なので、Apple Pencil並みに細かい文字を書くのには適していないということなので、まあ、そこはAmazonなので、安いものならさっそく人柱として使ってみて確認しようと思って見つけたのがこんな製品でした。

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 選択のポイントはiPhoneとiPadの両方で利用でき、iPad専用よりも安価で、外出先で使うことを前提に胸ポケットに挿して使ったりすることが多めなのでキャップ付きというところでしょうか。

「おっ。これっていい感じ」で4月が始まった

 さて、以下がiPad専用よりも安価で、iPhoneとiPadの両方で利用できるデジタルペンの使い勝手です。とりあえず、iPhoneの使い勝手は今後の課題としてiPad Pro 11インチで使った感触ですが、何となく良い感じ。

 手書きOCRやPDFメタ編集をする時には、もっと精密なApple Pencilを使ったりすることになると思いますが、電車の中でiPhoneとiPadの両方で使うのならこの1本で十分に思います。また、Apple Pencilと比べたら電車の中で落としても泣かないくらいの価格ですから、そこはApple Pencilよりも良いかもしれません。

 Apple PencilやiPad専用の「ペン先が細い」タイプと、「ディスク形」のタイプではかなり書き味が違うけれど、誘電繊維側のペン先でもこのくらいなら難なく書けてしまうのがちょっと意外でした。手書きOCRのアプリが増えてくるまでは、まだまだ出番が多い「手書きキーボード」なら、これで十分かもしれません。

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「手書きキーボード」で書くにはスタイラスでも十分

 軽妙な「手書きキーボード」と相性が良いのが、私の場合、実は重厚長大な外部キーボードだったりします。それはどちらもカーソルキーが使えるからです。外部キーボードに切り替えると、文字入力が捗る「ライブ変換」が使えます。  

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「手書きキーボード」と相性が良い外部キーボードでライブ変換

 外部キーボードは使えないとき、ソフトウェアキーボードが使えても「手書きキーボード」が使えないとき(両手が空いてないときとか)、または両手でガチで文字入力したいときには、最近また「ATOK」の出番が増えてきました。これは外部キーボードがiPadの標準装備という感じになってきて、それに準じたソフトウェアキーボードが使いたくなってきたからでしょうが、何といってもカーソルキーが使えます(ソコか)。その代わり💦みたいな絵文字や標準辞書に登録した語句が使えなかったりするとイラッとしますが。  その時はかな入力などに切り替えればよいのです。

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「ATOK」はカーソルキーが使えるソフトウェアキーボードとして便利

 どこにも持ち歩いて使えるのがiPadの身上なので、外部キーボードとソフトウェアキーボードが使い分けられるのが、iPadらしさなのだなぁと最近思っています。そこに至るまでに10年掛かったといえばそうなのですが、Apple Pencilの登場も互換製品の登場もその紆余曲折が生んだ結果なのです。

 したがって、Apple Pencilとは少し違う、でもいろいろ工夫して使うことができるデジタルペンがいつの間にかiOS・iPadOS環境で増えたというのもこの10年の収穫だと思います。ただ、この手の書く道具というのは慣れが必要です。

 道具に振り回されても仕方ないので、自分で便利と思える使い方を見つけることが、タブレットの使いこなすポイントなのではないでしょうか。また、自分なりの定番の使い方ができるようになったら、それはそれで良いかもしれません。

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