チームを組むということ
俊雄です。
先日開催されたワンピースカードゲームチャンピオンシップ2022九月予選にて、ベスト32に入賞することができました。
大会が多いに盛り上がったこと、チームで上位層にランクインする選手が多くいたことから、TLではチームを組んで練習したいという憧れが散見されるようになりました。
実は私も、今大会にはチームで調整して練習を続けていました。結果、チーム内から二人出場して二人ともベスト32という優秀な成績を残すことができています。
現代のゲームは複雑化しており、個人での練習・調整では限界があるため、本気で上位を目指すなら調整チームによる多角的な視点と試行回数の増加を獲得することは必須条件と言っても過言ではありません。
そういった背景から、今大会で私たちのチームが行った練習方法などを共有し、「チームを組むとはどういうことか?」「誰とチームを組めばいいのか?」「チームでどのような練習をするのか?」以上三点について解説するのが本記事の趣旨です。チームを組むことに漠然とした興味がある方の一助になれば幸いです。
1.チームを組むとはどういうことか?
チームを組めば強くなれると思うな
「いいなぁ、チーム作りたい!」CS終了後、何度も見かけた言葉です。
決勝トーナメントの様子がYouTubeで生配信され、上位層の姿が浮き彫りになりました。チームを作って結果を出した選手が多く、また「チームで練習」という言葉の真剣さ、その先にしっかり結果を残す格好良さに漠然と興味を惹かれる人が多いのも当然のことでしょう。
では、チームを組むメリットとはなんでしょうか。なぜ上位プレイヤーはチームを組むのでしょうか。
私が考えるメリットは大きくわけて二つ。一つ目が意見を出し合い即座に実行できる環境。二つ目が試行回数の増加です。
まず一つ目の「意見を出し合い即座に実行できる環境」についてです。
私たちのチームではチャットグループを作成して日々情報共有に努めました。フラッグシップ上位入賞レシピ、海外の大会優勝リスト、非公認大会のデッキ分布、新しいプロモカードの能力。共有した情報はすぐさまメンバー内で意見交換し、これまでチーム内で試していない構築があればその日の夜にはリモート対戦で実践。対戦後はプレイングや使用感を話し合い、使用候補デッキに加えるか検討。情報共有して一日も経たないうちに新デッキの評価を決定していました。
これがチームを組んでいなければどうでしょう? Twitterで見つけた興味深いリストがあっても、カードが足りなかったりちょうど参加できる大会がなかったりすれば試してみるだけで数日が経過してしまいます。もしカードがすぐに揃い、運良くその日のうちに大会参加できたとしても初対面の対戦相手にデッキの相談をするのはなかなか難しいはず。初めて回す不慣れなデッキのせいもあってそこそこの結果に終わり、結局デッキが弱いのか自分がうまく回せていないのか。このデッキを練習し続ければ勝てるようになるのか? もっと良いデッキがあるのか? 帰り道の電車の中、浮かぶのは疑問ばかりで答えを得るには長い時間がかかるでしょう。また、その答えが正しいと後押ししてくれる人もいません。
二つ目の「試行回数の増加」も同様に評価することができます。
一人で大会に出て五試合取り組んだとしましょう。ここで得られる経験は当然五試合分です。その中の一戦でひどい手札事故が起こってしまいました。この時、それが五回に一回ほど起こる事故を妥当に引いたのか(すなわち、そんなに頻繁に事故を起こすデッキを使うのは間違っていると判断するべきなのか)、五十回に一回の事故を運悪く引いてしまったのか(すなわち、今回の事故は運の悪い下振れだと切り替えてそのデッキを使い続けると判断するべきなのか)その場では判断不可能です。なぜなら、たった五回分しか試行回数を重ねていないからです。
これがチームの場合、状況は一変します。二人組で同じデッキ同士で練習すれば同じ時間で二倍の試行回数を稼ぐことができます。四人ならさらに倍。複数のプレイヤーが口を揃えて「このデッキは強い」と考えるならそれは十分採用に値する評価ですし、誰もが弱いと判断したデッキの底力を引き出す効果的なプレイングをメンバーの一人が発見し、評価を見直す可能性も上昇します。
以上二点から、私が考えるチームのメリットとは「効率を上げる」に集約できます。一人なら一ヶ月経ってもわからないデッキの回し方が、チームなら三日で把握できます。自分ひとりでは何度も大会に出ないと全てのデッキを試すことなどできませんが、チームメンバーで役割を分担すればそれぞれのデッキのおおよその強さはすぐに把握できます。
しかし、ここで重要なのはあくまでも「効率が良くなる」に過ぎないということ。チームを組むだけで誰でもチャンピオンシップ予選で8-0できるようになるわけではありません。チームを組んだ途端に最強デッキのレシピが降ってきて、突然負け知らずの有名選手になれるわけでもありません。あくまで効率がいいだけ。愚直に練習し続ける人が強くなる。これを忘れてはいけません。
2.誰とチームを組めばいいのか?
大前提:チームを組むのは面倒くさい
さて、チームを組む理由を理解できたところでさっそくチームを組んでみましょう。Twitterで仲良くしているあの人にしようか? 大会でしゃべってLINEを交換したあの人は? Discordで調整サーバーを立てて人を募集するのはどうだろうか?
……もしあなたがこうした考えでメンバーを探しているようでしたら、すこし考えを改めた方がいいかもしれません。おそらくそのままでは、二週間も経たないうちにあなたのチームは解散か自然消滅することになります。
さきほど述べたように、チームを組むことで得られるのは効率の上昇です。
チームに入っているだけでは何も発生しません。情報を共有し、意見を交換して、実践を早いサイクルで何度も繰り返すことで初めて、チームの価値が現れます。
そのために必要なのは、メンバー間の熱意と実力。この二つが高いレベルで拮抗していることです。
「下手だけどチームに入ればなんか強くなれそう」「チームで回っている情報だけは欲しいな〜」「チームって合宿みたいで楽しそう! チームに入ってみたい!」こうしたプレイヤーが集まってもチームは何も機能しません。むしろ、人数ばかり増えて意見の交換がやりにくくなったり上手い人の主張がかき消されてしまったりと、デメリットが目立つようになってしまいます。絶対に勝ちたい人と楽しく遊びたい人でチームを組むことは不可能です。
また、真剣に勝ちたいと思っている人ばかりが集まっても実力に大きな差があると問題です。上位選手が下位選手を指導・サポートするような場になってしまい、上手い人が損をしてしまう不健全な環境を作ってしまいます。そのような状況では下位選手は上手い人に頼り切りで自ら研鑽する気概を失ってしまいますし、得られるものがない上位選手はすぐにチームから離れてしまうでしょう。
結論:ネットで募集した人の寄せ集めでは無理
残酷なようですが、これが現実です。自分は今回、十年来の友人二人と、彼らから紹介されて数年前から仲良くしている師匠とでチームを結成しました。お互いのことをよく知ったメンバー同士でコミュニケーションにも難が無く、快適に練習を続けることができました。これはネットで適当に募集した人とでは到底できないことでした。
私たちはチーム内の目標をチャンピオンシップ優勝と位置付け、優勝を狙った練習を重ねました。予選突破できればいいな、ではなく絶対に優勝。優勝できるデッキを探して、優勝できるプレイングを目指しました。結果としてベスト32止まりとなってしまったわけですが、チーム結成時の目標を最後まで全員で共有できたのは今回のチーム練習で最も成功した部分です。そしてここもまた、ネットで集めた急造メンバーでは難しいと言えるでしょう。
本気でこの人と勝ちたいと思える仲間を見つけることは、普通にひとりで練習してうまくなるよりずっと難しいことです。巡り合い、出会い、運の要員も大きくあります。「勝ちたいからチームメンバーを探そう」と考えるのではなく「この人と勝ちたい。だからチームを組みたい」と思える仲間が見つかること。これが一番大切なのかもしれません。
3.チームでどのような練習をするのか?
「本気で勝ちたいならチームを組むのが最適だが、チームを組むのは難しい」がここまでの結論です。より良いメンバーの探し方は他に紹介してくれる方、サービスを提供してくれる方に譲ることとして、ここでは運良くチームを組めた時、どのように練習すれば良いかをまとめます。あくまで私たちのチームがやっていた練習方法で、これが最適解だ! という話ではないことをご承知ください。
カードは全部揃えろ
特にワンピースカードゲームのような、始まったばかりのカードゲームではこれが重要です。私たちはチーム結成初日にカードプールに存在する全てのカードを四枚ずつ集めました。新しいプロモが出るようならこれも即座に四枚。これは組みたいデッキがあったらすぐに試せるようにするだけでなく、このカードが高騰した、あのカードが値下がったという情報をいちいち取り入れずに済む効果があります。カードの値段変動は勝率に寄与しません。高くなろうが安くなろうが全部揃っているからどうでもいい。カードの値段を気にする前にプレイを気にする、集中を削がれない環境作りにつながるのでおすすめの戦略です。
すべてのカードを試せ
カードをすべて揃えると、この選択肢が取れるようになります。シャンクスを4枚入れた赤単、ヤマト入り緑単、8キッド四枚+7キッド四枚の構築、10カイドウを最速で出すことだけに集中した紫、すべて試すことができました。filmシャンクス、赤単ウタも回しました。知らないカードは一枚もありません。使われてしんどいカードも、使って楽しいカードも、全部回した経験があります。たったそれだけのことですが「相手がよくわからないことをしてきたらどうしよう」という恐怖感から解放され、リラックスして大会に臨むことができました。すべてのカードを把握している分プレイングを早く行えるので、時間制限に引っかかる可能性も下げられます。チームを組むなら、是非試してほしいです。
あとはとにかく練習あるのみ
その先はとにかく練習、練習、練習の日々です。すべてのプレイングに疑問を持ち、メンバー間でプレイ思想をすり合わせ、現環境で最も勝率の高いデッキ、プレイングを模索し続けます。今までやったことのないプレイをあえて試してみたり、弱いと思っているカードをわざと四枚採用したリストを回してみます。得た感触を共有し、フィードバック。リストを調整し、さらに練習を重ねる。そうしていくうちにいつの間にか、あなたの実力は、そしてチームの実力は、確実に伸びていくはずです。
以上、チームを組むことについての私の意見、考えです。次のフラッグシップバトル、チャンピオンシップ予選に向けて皆さんの参考になれば幸いです。また、大会でお会いした時はどうぞお手柔らかにお願いします。
それでは最後に、ワン☝️😁ピース✌️😁‼️