フィンランド面接→就職!
2018年3月から2023年5月までフィンランドで働いていました(現在はフランスで働いています)。日本法人を経由してフィンランド企業Nに就職した経緯については以下の記事にまとめました。
上記の記事では日本法人入社からフィンランド就職まではさらっと書きましたが実際にはいろいろ試行錯誤をして約5年かかってようやくという感じでした。その試行錯誤の一部としてオウルに出張した話やポーランドのポジションの面接を受けた話も書きました。
2017年7月にポーランドヴロツワフのポジションに応募して書類選考通って面接まで行けたのでけっこう期待してたこともあり、不合格だったのがショックでした。でもそんなことはスウェーデン企業に転職した時から何回も経験してたのですぐに立ち直り、また良さそうなポジションを見つけては応募を繰り返す日々が始まりました。
N社ソフトウェア開発セクターで大々的な組織変更
2017年11月にN社のソフトウェア開発セクターで全世界的な組織変更がありました。何年か前からアジャイルでの開発にシフトしてたのですが、この時アジャイル開発に特化したSpotifyモデル的な組織構造に移行しました。
SpotifyモデルではSquad(分隊)というチームを基本単位として運営が行われます。Squadの主な定義は①9人以下のメンバーが②同じ場所で働き③一つの開発をチーム単体で行うということ。そのためプロダクトオーナーやデザイン担当もSquad内に1人ずつ必要となります。(アジャイル組織の一つSpotifyモデルについてはこちらの記事などご参照ください。)
この組織変更で各地域で大規模な人員不足が発生しました。各チームが同じ場所で働くということは同じ職能の人を各拠点に置かないといけません。
そういうわけで社内転職サイトに空きポジションが山のように登録されました。すぐにフィンランドのオウルとポーランドのヴロツワフのポジション合わせて11件に同時に応募しました。
オウルのポジションで書類選考通過
そんな感じで応募したのが2017年11月10日だったのですが、その約2週間後の11月21日にオウルのポジションのラインマネージャーのA氏からメールが来ました。いわく「うちのポジション二つに応募してきたけどフィンランドに移る気はあるのか?」と。すぐに「Yes!」と回答。それでビデオ面接に進むことに!(ちなみにそれ以外の9件は書類選考通りませんでした。)
日本法人で働くメリットの一つとして社内の動きがわかることがあります。この時も組織変更のニュースを知ることで千載一遇のチャンスを掴むことができました。
あと、海外の企業に応募する場合、日本企業での就活で言われるような何件も同時に応募したら印象悪いとかいうことはありません。まず部署ごとに担当が違いますし、同じ部署に複数応募したら後で「どのポジションが実際はベストなの?」と聞かれるだけです。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たると言いますし、バンバン応募すべきです。
ビデオ面接でコーディングテスト初体験
2017年11月28日16時からフィンランドオウルと日本の間でビデオ面接。相手はA氏ともう1人女性マネージャーのV氏。まずオウル側から仕事の内容の説明があり、その後CVに沿って自分のこれまでの経験を説明しつつC++使えることと携帯電話通信仕様に精通してることをアピール。いくつかの質問に答えた後に人生初のコーディングテストが始まりました。
オウルのポジションは完全なソフトウェア開発職でC++を使えることが必須条件だったのでそれを確認するため。
こちらの画面をシェアしつつ、コーディングテストのサイトにアクセス。テスト開始のボタンにAvaa(開け)と書いてあったので「フィンランド語勉強してたからこれわかる」と言ったらV氏が「じゃあ面接もフィンランド語でする?」と冗談っぽく言ってきたのでこちらも笑いながら拒否。🤣
コーディングテストの内容はいわゆる競技プログラミング的なアルゴリズムを問うものではなくC++コーディングの基本的な文法がわかれば答えられる内容だったけどもうだいぶ長いことコーディングしてなかったのであまり答えられず。なので面接終わった時の感触は「落ちたな」でした。
面接後のやりとりとリロケーションパッケージ詳細
でもせっかくの機会を逃すまいと3日後に「最近コーディングしてないからコーディングテストいまいちだったけど実際開発する時は勘を取り戻せると思う」とか余計なことを付け加えつつ状況問い合わせしたら、A氏から「オファーの検討をしている。来週連絡する」との回答。オファー?まじか!
そして面接からちょうど1週間後の12月5日にA氏から「HRと給与やリロケーションパッケージについて議論している。詳細が決まったらオファー出す。あと数日(a few days)かかる。」というメールを受領。
でもその後さらに1週間たってもオファーは来ませんでした。その一方で12月13日にA氏からメールでフィンランドに移る時のリロケーションパッケージの詳細が送られて来ました。そしてその内容の充実ぶりに驚きました。以下はその概要です。
①リロケーション先の国への事前訪問のための本人と家族1人の往復航空券費用と宿泊費と食費支払い
②引っ越し会社手配と費用全額支払い
③リロケーション先の国での一時宿泊先の費用最大30日まで全額支払い
④リロケーション先の国での住居と教育機関探しのサポート
⑤リロケーション先の国での本人と全ての家族のビザと滞在許可取得のサポート
⑥リロケーション先の国での最初の年の税金の還付処理のサポート
⑦元の国での出国に関する税務関係の処理のサポート
⑧本人と全ての家族の片道の航空券費用支払い
⑨最初の年の年収の25%に当たる金額をリロケーションペイメントと称して支払い
海外への転職は初めてで、引っ越し費用その他は全部自前で払う必要があると思ってたので、これは本当にありがたかったです。
後で知ったことですが、海外のとくにグローバル企業において国をまたいでの転職に際して似たようなリロケーションサポートをしてくれる会社はたくさんあります。なので転職の際には
https://relocate.me/などでその会社が提供してるサポートの内容を確認しても良いかもしれません。
オファー受領!その後の給与交渉
そしてその翌日の12月14日についにA氏から最初のオファーを受け取りました!やったー!🎉
オファーの内容はシンプルに給与などの待遇のみ。
なお、提示された年収は(半分予想してましたが)日本で当時もらっていたものよりだいぶ低いものでした。給与交渉をする前に、まずオファーくれたことに謝辞をのべてから、このレベルの年収だとフィンランドでの税率はどれくらいになるかと、オウルの平均的なアパートの家賃はどれくらいかを質問しました。ちなみにアパートの家賃については以下のリンクで見てみるように言われました。
家具なし物件:
https://www.vuokraovi.com/vuokra-asunnot/Oulu?locale=en
家具付き物件と短期滞在用アパート:
https://www.kotimaailma.com/en
https://www.forenom.com/
翌月曜日の12月18日に「給与を上げる余地はあるのか?今回のオファーの金額はフィンランドのジョブグレードの中で決められたものだと理解しているが、もし可能なら今日本でもらってる金額に近い金額にしてもらえないか?」とメールで問い合わせしました。それに対して「今回提示の金額はHRと決めたもので、フィンランドのサラリーレンジと日本のものとの間には大きなギャップがある。なので調整できたとしても日本での今の年収には及ばない」と回答がありました。
そこで「日本の金額から下がることは理解した。ただ現状は低すぎるのでせめて月1000ユーロ上げることはできないか?」と聞いてみました。3日後の12月21日にA氏から回答があり、「給与の上昇はリロケーションパッケージの金額にも影響するため全体的な金額がものすごく大きくなる。日本のCompa-ratioに合わせて月収を1000ユーロ上げた。これがこちらが提示できる上限だ。」とのこと。つまり、こちらの提案そのままでした。この交渉によって月1000ユーロ、年にして12000ユーロ給与が上がりました。
なのですぐにオファーを受けると回答しました。その後1月16日にフィンランド のHRから連絡がありフィンランド在留許可申請の準備のやりとりが始まり、1月18日には在留許可の申請で必要となるInvitation Letterと雇用契約証明を受け取ることができました。
以上がフィンランドオウルのポジションの面接から給与交渉までの流れでした。長い記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございました!