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レコーディング日記㊱スピーカーの選び方
音響機材の中でも特に重要な機材なのが「スピーカー」です。
スピーカーの選び方次第で、出来上がる作品やステージの印象がかなり変わるからです。
今回はそんな「スピーカー」の選び方についての記事です。
スピーカーの用途を決める
スピーカーと言ってもその用途によって、様々な種類があります。
ステージの音を客席に届けるメインスピーカーや、ステージ上で演者が音を聞く為のステージ用モニタースピーカー。
またはレコーディングの際にエンジニアが聞く為のスタジオ用モニタースピーカーから、ホームシアター等で使われる汎用型のスピーカーもあります。それぞれの規模感や用途に合わせて、出せる音量や調整できる機能も多種多様です。
まずは自分がそのスピーカーをどういった場面で使うのかを明確にします。
家で編集作業をする為に使うのか、500人規模の会場でステージの音を客席に届けるのか、はたまた路上演奏の時に使うのか。
家で編集作業をするのに、500人規模の会場用スピーカーを使っては、音量が大きすぎて、機能の1割も使えないです。
路上演奏であれば電源が確保できない為、バッテリー駆動型である必要があります。
用途に合わせて最適なスピーカーを選べる様に、どんな時にどんな場所で使うかを明確にすることが大事になります。
スピーカーの特徴を知る
今回は例として「家での編集作業に使うモニタースピーカー」を選ぶと仮定しましょう。
さて皆様は最初に、何を基準にスピーカー選びを始めますか。
予算やサイズ、メーカーや機能等、いろいろと気になる点があると思います。
決まりはありませんが、私はまず予算の幅を決めます。
どんなに良いスピーカーを見つけても、予算からかけ離れていては
探している時間が無駄になるからです。
下限についても決めはしませんが、余りに安いスピーカーは選びません。それは音を再生する為に必要な最低限の機能しか持っていない事が多く、
音質面で薄い音しか流れない事が多いからです。
ちなにみこの記事の写真にしているスピーカーは、私が初めて勤めたスタジオで使っていたモニタースピーカー「Fostex NF04R」です。
適度な低音とクリアな音色で、とても使いやすかったです。
次に機能を確認します。
必要な出力があるか、コネクターの形状や電源の有無を確認します。
今回のモニタースピーカーであれば、パワード型が良いと思います。
パッシブはアンプが必要になる為、機材が増えてしまいます。
家であれば電源の心配はない為、スペース的にもパワードが良いでしょう。
次に出力ですが、こちらも30~50Wあれば充分です。
サイズについては小さいと有難いとは思いますが、スピーカーから音を流すユニットが小さいと、低音がいまいち出ないので、小さすぎない方がお勧めです。
自分の特徴を知る
ここが一番知られていない点になります。
低音が強調されたり、音色が柔らかかったり硬めだったりとスピーカーによって音に特徴があります。
それはメーカー自体の特徴である場合もあり、ユーザー側の好みが分かれる点です。
洋服でいえば、好きなブランドが違うのと同じです。
このメーカー特有の音色やスピーカーの特徴を知ると同時に、そのスピーカーを使う自分自身の特徴も知る必要があります。
この特徴の組み合わせを意識せずに選んだスピーカーの場合、表現したい音が作れないというケースに繋がります。
もう少し具体的にいうと、自分が気持ち良いと思える作品を作成した後、
他のスピーカーや環境で音を再生すると、思っていたのと違う音になっている場合があるという事です。
例えば、自分自身は低音が強調された音が好きだったとします。
その場合、自分が気持ち良いと感じる編集をすると、作品自体は低音が強調され過ぎて、他のスピーカーで聞くと低音がキツイ聞きづらい作品になります。
だからと言って、低音を抑えめで編集をした場合、自分が気持ち良いと思えない状態で作品を作らなければならず、完成度自体が下がってしまいます。
何より、自分自身が不完全燃焼になります。
ここで特徴の組み合わせを意識します。
スピーカーを選ぶ際に、低音が強調されるスピーカーを選びます。
そうすることで、自分が家で聞く時は低音が強調された状態で音が流れますが、編集している作品自体の低音を上げている訳ではないので、完成した作品は低音が強調されすぎていない、バランスの良い作品となります。
これで他のスピーカーで来ても、イメージ通りの音で流すことができるのです。
もちろんこの例はかなりシンプルにお話していて、実際は特徴の組み合わせは何通りもある為、多くのスピーカーを聞き比べる必要があります。
しかし、特徴の組み合わせの概念だけでも掴んで頂ければと思います。
まとめ
スピーカーに限らず、自分の機材はいわば商売道具ともいえる大切なパートナーです。
演者にもリスナーにも喜ばれる作品やステージを提供する為にも、唯一無二とも言えるパートナーを見つける事が大事なのです。
自分とパートナーとの特徴を理解し合い、最高の作品作りができる環境を整えていきましょう。
ではでは☆
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