脊柱の細かなアライメントチェック
暑い。部活動を思い出します。
ランドマーク
脊柱にはランドマークと言うものが存在します。
目印の様なモノです。
頚椎
C1である環椎、C2である軸椎、そしてC7である竜堆が存在します。
胸椎
T3である肩甲棘、C7である肩甲骨下角、それから腕下垂位の際の肘の位置がT12であります。
腰椎
L4である※ヤコビー線
※左右の腸骨稜を結んだ線
これらはあくまで参考値です。その他の姿勢やアライメントにより異なります。
健常者の方であれば積み木の様に綺麗にそろった脊柱を想像しますが、実際のところ綺麗に整った脊柱は先ずないとされています。
それは僅かな側屈や回旋が起きているとされています。
先ずは全体を総じての身体の流れを見ていきましょう。
足関節や股関節、寛骨に脊柱とすべてを含めたアライメントチェックをしましょう。
評価方法
胸の前で手をクロスします。
内ももにやや力を入れ、足を閉じます。
両方の足に均等に体重が掛かるよう、立ちます。
その状態から左右へ回旋しましょう。
この時、顔も一緒に回りましょう。
回りずらい方があると思います。
今回は左回旋が不得意と言う体で、進めます。
全身は繋がっている
この際にキネティックリンクにより全身が繋がっているという証明を見る方法をご紹介します。
左回旋時は右足関節は回内し、左足関節は回外します。
右股関節は外旋し、左股関節は内旋します。
右寛骨は前傾し、左寛骨は後傾します。
この事を用いて右足関節を回外させた状態で左回旋を行ってみて下さい。
滅茶苦茶回り辛い事を実感できると思います。
てかもう回れないですよね(笑)
左回旋が苦手な方が無理やり左回旋を行い、腰椎部分にストレスが集中し腰を痛めていたとします。
もしかしたら一見関係なさそうな、右足関節の回内可動域を確保するだけで、左回旋可動域の改善や腰椎部分へのストレス軽減に繋がります。
全身を通してのアライメントチェックが出来たら次は下半身の影響を限りなく減らし、上半身のみを見てみましょう。
上半身のアライメントチェック
膝立ち姿勢になります。
足関節の影響はゼロ、股関節や骨盤がわずかに影響すると思います。
同じように胸の前で手をクロスし、左右に回旋しましょう。
この際も左右の膝にかかる荷重を限りなく均等にしましょう。
膝立ちでも尚、左回旋が不得意だとしましょう。
お次は正座です。
正座ですとL4-L5辺りから、股関節や寛骨以下の影響はほぼゼロになります。
L3から上の脊柱の評価になります。
先ほどと同様、胸の前で手をクロスし左右に回旋します。
ここでも左回旋が不得意だとしましょう。
今度は更に制限を掛け狭い範囲での評価を行います。
正座状態から肘を地面につけ、手と手をくっつけましょう。
その状態から左手を結帯動作しましょう。
この時手の平はパーです。
この姿勢ですと上部胸椎から上の組織の評価になります。
回旋時は両ひざに掛かる体重は均等にし、腰や肩の位置がブレない様にします。同時に頭も回旋します。
脊柱の動きのみを評価する為です。
この姿勢での評価をした際は左回旋が不得意ではあるものの、これまでの評価と比較すると左右差が小さくなったとしましょう。
都合よく(笑)
これまでの評価の結果をまとめると
足関節や股関節、骨盤や下部胸椎-腰椎にかけては右回旋が得意であり、上部胸椎にてそのカウンターが取られているかも知れません。
ヒトの脊柱は一般的にはカウンターが起こります。
どこからカウンターが取られているかは人それぞれ、個人差が生じます。
最後に首のみを見てみましょう。
正座で行います。
目安として鎖骨胸骨端と肩峰の真ん中を目印として、どこまで左右で回旋が出来るかを評価します。
頚椎回旋時は側屈や伸展、身体の動きなど代償が出ないようにします。
ここでも左右差が無いor差が小さくなっておりカウンターが取られているとします。
全身のアライメントに若干のゆがみが生じている事になります。
通常、脊柱が右回旋している際は左側屈が起きています。しつこいようですが、多裂筋の働きによるものです。
脊柱起立筋は細かい動きが苦手です。一方多裂筋は椎体一つずつに付着しており、細かな動きを得意とします。
これまでのテストを元に評価すると
下部胸椎から下は左側屈しており、上部胸椎から上は右側屈している事になります。
要するにS字の様な。
アプローチとしては回旋を行いながら、椎体を押し込む方法が簡単かつ、良いと思います。
上部胸椎を右回旋させるなら、椎体を左に押し込みましょう。
主にTh8ないしはTh9辺りを境に動きが変わることが多いです。
最も胸椎後弯が強いポイントでもあります。
恐らくTh8-Th9辺りでカウンターが起こりやすいので、苦手な回旋方向へアプローチすると良いでしょう。
腰椎に関しては左回旋が苦手ですので、左回旋を行いつつ椎体を右方向へ押し込みましょう。
この際、脊柱起立筋の過発達等を感じる場合があります。
これはインナーが使えていない一つの証拠でもあります。
多裂筋や腹横筋、腹斜筋群などです。
起立筋群が発達していると椎骨を中に押し込んでしまいますので、棘突起の触診が難しくなります。
腰椎分離症やすべり症、ヘルニア患者さんなどに多く見られる傾向です。
本来であれば胸最長筋や腰腸肋筋下部繊維は殆ど膜組織であり、そこまで強い働きを持ちません。
またこれら筋群は脊柱を反らせるよりも、骨盤後傾に伴う上半身が前にこれ以上倒れこまないように最後の砦として支えてくれる筋肉になります。
これらの特徴が見られる方に対しては呼吸系のエクササイズや、ダイアゴナルでの多裂筋活性がオススメです。
骨盤前傾を誘導する手技も効果的だと思います。
おわり