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“仕事を楽しく”をモットーに社会問題を解決するNPO法人しごとのみらい理事長 竹内義晴さん

“仕事を楽しく”をテーマとして、ビジネスパーソンに現代を生きる上で必要な知識・スキル、そして新しい働き方の仕組みといった様々なサービスを提供している竹内義晴さんに今、感じている問題意識と今後の展望についてお伺いしてきました。

竹内義晴(たけうち よしはる)さんプロフィール
1971年生まれ。新潟県妙高市出身。
コミュニケーションの専門家、ビジネスコーチ、カウンセラー、ライター。
特定非営利活動法人しごとのみらい理事長。「仕事を楽しくする」が活動のテーマ。職場の人間関係やコミュニケーションの問題によって生じる、モチベーションやメンタル的な課題を解決し、ビジネスパーソンが楽しく働けるよう、コミュニケーションの講演・研修、講座、コーチング、カウンセリングに従事している。
また、サイボウズ株式会社にて、ブランディングやチームワークメソッドの研究開発を行う複業家でもある。「パラレルワーク」や「リモートワーク」など、これからの仕事のあり方や働き方を実践している。
元は技術肌のプログラマー。ギスギスした人間関係の職場でストレスを抱え、心身共に疲弊。そのような中、管理職を任されコミュニケーション力の必要性を痛感。コミュニケーション心理学やコーチングを学ぶ。ITと人の心理に詳しいという、異色の経歴を持つ。
著書に、『職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)』『うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム) 』『感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)』などがある。Webメディアを中心に執筆経験も多数。トライアングルコミュニケーションモデル開発者、米国NLP協会認定NLPトレーナー、ITコーディネーター。


「地方にビジネスセンターをつくりたい」

記者 本日はよろしくお願いします。

竹内 義晴さん(以下、竹内 敬称略) はい、よろしくお願いします。

記者 竹内さんはNPO法人しごとのみらいで職場の人間関係やコミュニケーションの問題を解決して、ビジネスパーソンが楽しく働くことを支援されていますが、今注力されているのはどういったことでしょうか?

竹内 今は、地域のリソースを使って研修事業をやりたいなと思っていて、地方にビジネスセンターをつくりたいと考えています。例えば1泊2日で来て頂けたら1日目はコミュニケーションの研修をして、2日目は農業体験をするといった内容です。

会社で「研修をする」といったら、会社の会議室でやることが普通だと思うんです。会議室の研修もいいとは思うのですが、ワクワクする感じはありません。だからといって、農業体験みたいなプログラムじゃ、単に楽しさだけ、癒しだけで終わってしまいます。
会社がお金を出すのですから、福利厚生だけではなく、実務に役立つこともちゃんと学ぶけど、体も動かす。夜は温泉に入ったり、お酒を飲んだりもする……みたいな、楽しいのがいいなと思っていて。

地方は色々なリソースがあって、農業体験は研修としてかなり良いと思っています。私自身、田んぼや畑で米や野菜を作っているのですが、無心になって苗を植えるとか、ストレス改善にも良いです。

また、これを職場仲間でやるとチームワークにも良いと思っています。農作業をする際には立場とか関係なく課長と平社員が一緒なので、そこには上下がなくなっていきます。「大変すね!」みたいな、そんなコミュニケーションが自然と生まれるので、チーム作りにはかなり良いなと考えています。

あと、農業をやっている人が年々減っているので、こういったツールで幾分でも農業を守れたらいいなと思っています。

ビジネスセンターには宿泊施設も用意して、フリーランスの方が働く拠点にしてもらってもいいし、都市部で抱えたストレス状態を回復させるセンターになってもいいなと思っています。農業体験で栽培した野菜もセンターのレストランで使ったり、働きながら色々と改善させる総合ビジネスセンターみたいなものを将来つくりたいですね。

記者 地方でビジネス研修っていうのはかなり新しいですね!そして、かなり具体的な計画ですね。

竹内 最初の頃は、ここまで具体的ではなかったんですけど、せっかく地方にはリソースがあるんだから何か活かせないかとはずっと考えていました。あと、僕の父親が農業をしているんですけど、60世帯近くあるなかで、うちしか農業をやっていないんです。中堅世代で今後を担う世代が地域の中にほとんどいないっていうのをリアルに感じて、これをなんとかしないとまずいと、総合的に考えた結果、構想が徐々に膨らんでいき形がはっきりしてきました。


「楽しく働きながら社会問題を解決する」

記者 地方人口が減っていることもかなり問題ですよね。

竹内 はい。ですから、地方の企業に都市部の人が副業で来てくれたら良いなと思っています。
地方企業って人材不足も多いんです。例えばマーケティングとか広報をフルタイムでやれる人を雇えている企業なんてほとんどありません。
ですが、もし都市部でそういう経験をした人が地方の会社の困りごとに対して、週2日とかで副業することができたとしたら、地方の会社にとっても良いし、地元に帰りたいけど帰れない、けれど地元に思いを寄せている人にとっても地元に役立つことができるので良いんじゃないかと考えています。
その拠点として、先ほどお話ししたビジネスセンターがあって、そこに来て、もし良ければ泊まってくれてもいいし、そこで働いてくれても、そこから会社に行ってくれてもいい。そんなセンターができたら最高ですね。

記者 確かにそんなセンターがあれば素敵ですね!
また、竹内さんの地方人口減少に対する想いも非常に深いものを感じました。

竹内 人口が明らかに減っていくのに、今、何も手を打たなかったら本当に持たなくなるだろうなと思っています。
それは都市部の会社も同じだし、地方ももちろんそうだと思っています。
今までは、ただ時間をかけて働いて、お金をもらえていれば幸せだったかもしれない。だけど、働く人がいなくなれば会社も回らない。たぶんこれから人が減っていくので倒産する会社も増えてくる。人口もどんどん減って、地方が今まで維持してきたものも持たなくなってくると思います。おそらくこれから15年くらいのことだと思っているので、なんとかしたいですよね。
そして、このなんとかしたいというのは、“仕事を通してなんとかしたい”って思うんです。

例えば、さっき言ったような都市部と地方を副業でつなぐみたいな仕組みをつくることができたとしたら、地方の企業にとっても良いし、都市部の企業にとっても良い。今までだったらフルタイムで働いていた人が、副業的な要素でお互いの働き方をシェアするみたいなことができたら人材不足を補うかもしれないし、働きたくても働けなかった人達が働く機会を持てるかもしれない。
そういうことができていったらいいなと。

今までなら人を動かすというのは観光事業とかでやろうとしていたけど、それって一時的だと思うんです。観光で1回は楽しいかもしれないけど、1回行ったら2回は行っても3回は行かないと思うんですね。本当に気に入ったら毎回通うとは思うんですけど。

でも、仕事だったら通うと思うんですよ。なぜなら仕事だから。
地方創生で移住を推進していたけど、そもそも仕事がなければ移住なんてできない。でも、都市部に拠点を残しながら副業みたいな形にするんだったら、楽しく働きながら問題を解決できるかもって真面目に考えていますね。

自分が色々な働き方を経験してみて思うことですが、こんなふうに多様な働き方を実現させて、それぞれの人が持っている強みを活かすことができたら、今起こっている問題は解決できるんじゃないかと、そんなふうに思っています。


「皆の強みを活かしたコミュニティ」

記者 これから先、社会人にどんな生き方・働き方を提供していきたいと考えていますか。

竹内 働く人たちがそれぞれの強みを活かしていくことで問題を解決していく、そして、その問題を解決していくプロセス自体を楽しんでいるというのが理想かな。その中には大変なこともいっぱいあるだろうけど、そういうことも集っている人たちと会話したり、コミュニティがあることで自然と乗り越えられちゃうみたいな集合体をつくっていくことが理想ですね。
自分の才能が活かされていると感じれば、誰もが自然と努力できるでしょうし、そもそも本人が努力しているつもりもなく働けたらすごく良いと思っています。

記者 そんなコミュニティができたらとても素敵ですね!

竹内 はい。こんなコミュニティになれば色々な問題が解決できるし、しかも楽しくできる。自分一人で抱えなくてもいい。私は苦手だけど〇〇さんが得意だからお願いねって任せられたら、その〇〇さんは喜んでやって、〇〇さんが苦手なことを僕が得意なら代わりに喜んでやれる。それが企業という形であれば結果が沢山出ると思います。

記者 確かに自分の能力が活かされていると感じながら、お互いのチームプレーで問題を解決していけたら最高だし、仕事も楽しくなっていきますね。

竹内 はい、“仕事を楽しく”というと色々な捉え方をされるんですけど、私の伝えている“楽しさ”っていうのは、たぶん楽とかより、言い換えると“充実している”とか“自分の才能が活かされている”とか、そういったものの中で感じる何か、“個々人が抱く充実感”みたいなものですね。

ビジネスセンターの話で、都市部と地方の人が副業でつなげることができたら、それぞれの強みを活かした働き方を実現できる一つの仕組みになると考えているので、これは進めていきたいですね。

記者 ありがとうございます。竹内さんがされているコーチングのお仕事やビジネスセンターのお仕事など、すべてが“仕事を楽しく”という一貫した意志から生まれているものなんだなと改めて感じることができました。

本日は素敵なお話、本当にありがとうございました!


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竹内義晴さんに関する情報はこちら

●特定非営利活動法人 しごとのみらい のホームページ


【編集後記】 
今回、インタビューの記者を担当した美談年民です。
“仕事を楽しく”をテーマに様々な活動をしている竹内さん。一つの課題に対して多角的な視点でかつ本質的な解決策を提示する姿が印象的でした。
幅広い視野から整理されたアイデアを沢山伺わせて頂き、現代が抱える慢性的な社会問題も竹内さんの仰る通り解決していけるものだと希望を持つことができました!
本当にお忙しい中素敵なお話をお聞かせ頂き、ありがとうございました。

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この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。


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