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🎹Yuko Hisamoto Beethoven Zyklus Vol.1 〜ベートヴェン・ピアノソナタ全曲演奏会〜YouTube配信開始🎹

2023年11月10日、
久元祐子さんによるベートヴェン・ピアノソナタ全曲演奏会の第一回目が行われました。

その時の演奏が第2回目のコンサート開催日の9月7日よりYouTubeで配信開始しました。


ピアノ・ソナタ第1番 ヘ短調 op.2-1

1792年、22歳のベートーヴェンは、生まれ故郷ボンから主立し、ウィーンでピアニストとしてのキャリアをスタートさせました。
その前年すでにモーツアルトはこの世を去っており、「モーツアルトの魂をハイドンの手から受け取るように」という後援者ワルトシュタイン伯爵の激励の言葉通り、ハイドンに師事し、めきめき頭角を現していきました。与えられたテーマをもとに即興で変奏曲を披露し、室内楽を演奏するために自らも作曲もし、活躍の場を広げていきます。初期のソナタには、数年後に作曲することになる交響曲を念頭に置いたかのような管楽器、弦楽器の響きや各楽器のかけあい、オーケストラのトウツティを思わせる豊かな響きを目指しているかのように感じます。

プログラムノートより



ピアノ・ソナタ第5番 ハ短調 op.10-1


1796年から98年にかけて作曲された作品10のソナタも3曲からなり、後援者ブロウネ伯爵夫人に献呈されています。このop.10-1は、ハ短調で書かれ、突如現れる休止符、駆け上がるようなアルペッジョの上昇音型など、モーツアルト:ピアノ・ソナタKV457との共通要素が見られます。
それまでの4楽章制ではなく3楽章からなり、凝縮された内容となっています。
 第1楽章はハ短調4分の3拍子。冒頭は、ハ短調和音の直後、急速に上昇するモチーフで始まり、休止符を挟み、pのモチーフで半休止します。定石通り変ホ長調の副次主題が現れ、軽やかなスケールや跳躍を経て、3回連続のsfでクライマックスを迎えます。第2楽章は変イ長調にアダージョ・モルト4分の2拍子。優しく語るテーマが弱音で始まり、豊さが増し、静かに充実した響きとなります。途中12連符、7連符など細やかな情感にあふれたp pの装飾が現れる一方、大胆なfのアルペッジョ下降が迸ったり、たった1小節ff でデミナントの和音をかき鳴らして転調するなど、魅惑的な楽章です。
 第3楽章フィナーレはプレスティッシモ2分の1拍子。無気味にうごめくようなpのモチーフで始まり、クレッシェンドでドミナント和音をffsで打ち鳴らし、すぐさま変ホ長調の副次主題に突入します。展開部は交響曲第5番《運命》のモチーフを思わせるリズムでたたみかけ、sfでフェルマータののち、ハ短調の主要主題が再現。目まぐるしいドラマスティックな動きの終盤、突如静かで美しい変ニ長調のテーマが、リタルダンド、カランドの指示のもと6小節挿入されます。《テンペスト》を先取りしたような神秘的なp pアルペッジョの後、終結部となり、ここでは主要主題、副次主題、左手の和音連続が一体となって重なります。

プログラムノートより

ピアノ・ソナタ第4番 変ホ長調 op.7


交響曲《英雄》、ピアノ協奏曲《皇帝》などベートーヴェンのお気に入りの変ホ長調で書かれた4楽章からなる大規模なソナタです。1796年から翌年にかけて作曲され毛グレヴィチ伯爵令嬢バルバラに献呈されました。ベートヴェンの弟子でもあったバルバラは、ピアノ協奏曲第1番も献呈されています。
 第1楽章は変ホ長調8分の6拍子。3度下降のテーマが主音の保続とともに提示され、展開されていきます。コラールを思わせる副次主題が変ホ長調で現れ、上昇音型、半音階、トレモロなど次々にモチーフが満載された後、優美で静かな下降音型と共に再現を迎えます。
 第2楽章はハ長調ラルゴ・コン・グラン・エスプレッシオーネ。4分の3拍子で問いかけるように始まり、中間にシューベルトを思わせるような安らぎと情感に満ちた世界が広がります。最後は静かにバスが下降する中、突如ffで不協和音が鳴らされ、一瞬高揚した後、穏やかなp pで曲を閉じます。
 第3楽章変ホ長調のアレグロは、スケルツオの要素も取り入れながら、リズム遊びのような様相を見せます。ホルンの心地よい響きを思わせるテーマで始まりますが、中間部で変ホ短調の暗い波が押し寄せ、大きな対比のドラマを形成します。
 第4楽章ロンドは、変ホ長調4分の2拍子。ポコ・アレグレット・エ・グラツイオーソの優雅で繊細な愛情に満ちた楽章です。途中、裏拍に重心を置いたユーモアあふれるモチーフを挿入したり、嵐に立ち向かうような表情を見せたりしながら、終盤に向かいます。オクターヴを半音上行させるだけで突然ホ長調に変わり、煌めく細い糸のように音が絡み合い、バスの半音下降の転調で元の変ホ長調に戻り、最後は、小川に太陽の光が反射するかのように密やかに曲が閉じられます。

プログラムノートより

ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調 op.13「悲愴」

1798年から翌年にかけて作曲され、ベートヴェンの後援者リヒノフスキー伯爵に献呈されました。作曲者自身によって《悲愴なる大ソナタ》とタイトルが付けられ、初期のソナタの中の傑作です。モーツアルトの同じハ短調のファンタジーKV475、ピアノ・ソナタKV457からの影響が感じられます。
 第1楽章のファンタジーを10小節に凝縮したようなアダージョの序奏に始まり、アレグロの上昇音型主題が続きます。苦悩と絶望が入り混じったテーマが続き、喘ぐような息遣い、心の叫びや怒り、嘆きのモチーフがたたみかけられるように現れ、希望の兆しが見えたかと思うと、それを打ち消すかのような絶望の響きに覆われ、驚くべき揺れ幅のドラマが形成されます。
 打って変わって第2楽章は変イ長調アダージョ・カンタービレの美しく荘重な楽章。変異短調の神秘的な中間部が挟まれ、輝きに満ちたホ長調の頂点を迎えたあと、祈りに満ちた平安の世界に戻ります。第3楽章はハ短調アレグロ2分の2拍子。第1楽章の副次主題の音型で始まり、全楽章を通じた有機的な結びつきを感じさます。抒情に満ちた副次主題が変ホ長調で出現しますが、たたみかけるような3連符が続き、ffの高音ファで頂点を迎え、ハ短調ドミナントのsfになだれ込みます。
この高いファの音は、当時ベートヴェンが愛用していたと考えられるヴァルター(5オクターヴの音域)の楽器の最高音です。楽器の限界ギリギリを使って自らの世界を表現しようとしたベートーヴェンの熱い思いを感じます。

プログラムノートより


昨年のコンサートのまとめのnoteです。

お時間あったら、久元祐子さんの演奏と聴き比べてみてください。


こんなに素晴らしい演奏がYouTubeで聴くことができるとは・・・・
感動的です。

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