🐉　聖人とドラゴン（前編）

サンジョルディの日

4月23日はサンジョルディの日です。
え？なんの日？聞いたことない。
と思われる方もたくさんいらっしゃるでしょう。

この日は「本の日」とも呼ばれ、カタルーニャでは親しい人に本を贈る記念日とされている。この風習は20世紀後半に「サン・ジョルディの日」の名とともに日本へも紹介された。国際連合教育科学文化機関 (UNESCO) は、スペインからの提案に基づき4月23日を「世界図書・著作権デー」（世界本の日）に制定している。また、日本では4月23日が「子ども読書の日」と定められている。

wikiより

日本ではほとんど知られていないですね。

これはチャンス！
地元からサンジョルディの日を広めよう

私は企画を立てました

子どもたちが本を読む機会が少なくなっているのは、
もしかしたら私たち大人たちが
本を読まなくなっているからかもしれません。
2020年からの3年間、子どもたちは外で遊ぶこともできなくなり、
「ホームステイ」を余儀なくされました。
本を読む時間が増えるかと思いましたが、
テレビゲームに夢中になるだけの生活が続いたようにも思えます。


4月23日はサンジョルディの日という特別な日だということを知り、子どもたち本の面白さを伝えることができるイベントを企画しました。

そこでサンジョルディのことを調べてみました。
ヨーロッパでは古くから伝えられてきた聖人伝説

聖人伝説からどうやって「本と花」の日になったか・・

おいおい紹介していきたいです。

まずはここから・・・

ジョージアと聖ギオルギ

「ジョージア」と聞いて、
コーヒーを思い浮かべますか？それともワイン？


かつてソビエト連邦を構成していた時代には
グルジア共和国と呼ばれていた国でしたが、
1991年に独立、2014年に来日したグルジアの大統領から、
直接「ジョージア」に変更してほしいと要請され、

故安倍晋三首相がこれを受けました。
実は2009年に来日したグルジアの外務大臣も
名前の変更を要望しましたが、
日本側はアメリカ合衆国のジョージア州との混同を危惧して、
呼称の変更には消極的でした。
それもなんだか変な話だと思いますが。

「グルジア」という国名は18世紀より
帝政ロシアに支配下によるロシア後風の表記でしたから、
独立したからには英語風の「ジョージア」に変えるように
各国に働きかけるのは当然のことでした。
現在では大多数の国が「ジョージア」系の呼称を用いています。

さて、ローマ時代に黒海北東に
「ゲオルギ」と呼ばれる農耕民族が住んでいました。
ゲルマン族がいた地域が「ゲルマーニア」（Germany)と
言われていたと同じように、
この地域は「ゲルオギア」と呼ばれていたに違いありません。

中世のヨーロッパ人はコーカサス地方の農耕民族という点から
「グルジア人」と「ゲオルギ族」を結びつけて、
グルジア国にラテン語の「ゲオルギア」を当てて、
英語で「ジョージア」フランス語で「ジェオルジ」
と呼んでいたのかもしれません。

興味深いことに、ギリシア語のゲオルギは
畑を耕す人、農夫、新約聖書では「葡萄栽培人」
の意味で用いられていることがあります。

他方　ジョージアも農業国で、
その気候と風土は特に葡萄の栽培に適していて、
葡萄の種類は500以上もあり、
大昔からワインが醸造されていました。
今では我が国もジョージアのワインが大量に輸入していますね。
美味しいワインです。


ところで、1919年に発行されたジョージア国の最初の切手には
聖ゲオルギウス、ジョージア語で聖ギオルギが描かれています。

ジョージアでは昔から聖ゲオルギウスを国の守護聖人と崇めてきました。
聖ゲオルギウスは6世紀頃から崇拝されていましたが、
悪竜退治伝説は11世紀頃から広まったようです。

国旗のお話

現在のジョージアの国旗

この真ん中の大きな十字架は聖ゲオルギウス
その周りには　マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ　と
福音書を書いたイエスの弟子の十字架が描かれています。

聖ゲオルギウスを守護聖人にしている国はいくつもありますが、
イングランドはジョージアに負けず劣らず、
聖ゲオルギウスを崇めています。
イングランドでは聖ジョージと呼ばれています。

私たちはイギリスはひとつの国と思いがちですが、
正式には「グレートブリテン及び北アイルランド連合国家」と呼ばれるように、
イングランド、スコットランド、北アイルランドからなる連合国家です。

そのイングランドの国旗はジョージアと同じで、
白地の赤十字で、聖ジョージ旗と呼ばれています。

聖ジョージ旗

スコットランドの聖アンドリュー旗

初代ユニオンフラッグ

聖ジョージ旗とスコットランド聖アンドリュース旗、
二つの国旗を合わせて、
1603年に初代ユニオンフラッグができました。

北アイルランド　聖パトリック旗

ユニオンフラッグに北アイルランドの国旗
　聖パトリック旗が合わさり、
1801年に現行のユニオンフラッグが制定されました。

イングランドの守護聖人

1189年〜1992年　第三次十字軍で
イングランド王で獅子王と呼ばれたリチャード1世は
聖ゲオルギウスに加護を祈願して守護聖人として出陣しました。
獅子王はイスラム教徒との戦闘において華々しい勝利を成し遂げました。
この後、1222年にオックスフォードの教会会議で
聖ゲオルギウスの命日4月23日を祝日にすることが決定しました。

エドワード3世によって創設されたイギリスで
最も権威ある勲章のひとつであるガーター勲章の首飾りの先端には
竜退治の聖ゲオルギウスがぶら下がっています。

ガーター勲章

昨年崩御されたエリザベス女王のお父様はジョージ6世でした。
ジョージ7世もすでに誕生していますので、
イギリスにはジョージという名前の国王も多く、
ジョージ2世の時代　1732年にアメリカに建設された植民地は
国王にちなんでジョージアを名付けら、
現在のジョージア州になりました。


イギリスソブリン金貨にもエリザベス女王と聖ジョージが描かれています。

イギリスの守護聖人である聖ジョージですが、
実はイギリスに足を踏み入れたことはないのです。
それなのになぜ、聖ジョージがなぜイングランドの
守護聖人になったのでしょうか。

1348年ごろ聖ジョージを好んでいたエドワード３世により
正式にイングランドの守護聖人として定められたと言われています。
それゆえガーター騎士団のシンボルにも使用されたのです。

14世紀以降になると
「イングランドの守護聖人、聖ジョージ」は完全に定着しました。

このように、イングランド人は聖ジョージが大好きです。
ボーイスカウトの創始者ロバート・ベーデン＝パウエルは
ボーイスカウトの活動精神を中世の騎士道に求め、
聖ジョージを理想像と考えました。

退治される竜は遭遇する困難や障碍、
あるときは病気を表現しています。
アルコール中毒を防止するポスターにも使われていました。

とっても身近な聖人ですね。

スウェーデンのフォークロア　

この動画はスウェーデンのバンドJAERV（イエルブ）の演奏です。
私がプロデュースしたライブ。
この曲は聖ジョージとドラゴンの話でした。
私が皆様にストーリーを説明してから演奏しました。
でも、実はこの時、私はよくわかってなかったのです。

今回不思議なめぐりあわせでサンジョルディに出会いました。

そのお話はまた次回に！

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