🌻歓喜童子と親鸞🌻

　　　　　歓喜童子が山尾三省と出会うと
　　　　　　　　　親鸞が咲いた
　　　　　大輪の歎異抄が陽のようにひらいた

　　　　　　　永遠を呼びつつ永遠に生きる　
　　　　　　　　　永劫を生きる


盟友治海さんの彩墨画第三弾画が届きました。
向日葵が一度に咲きました。

第一弾は一遍上人
次は般若心経　そして今回は親鸞です。

捨て聖一遍上人踊り遊ぶ【一遍上人①】｜世古壽實 ｜note

🌎歓喜童子、地球を祈る🌏｜世古壽實 ｜note

🌻　親鸞上人

さらっとおさらい。
親鸞（1173年5月14日〜1263年1月9日）
は鎌倉時代前半から中期にかけての仏教家で
浄土真宗の宗祖とされています。

法然（1133年〜1212年）を師と仰ぎ、
「法然によって明らかにされた浄土往生をとく真実の教え」を継承して、
さらに高めていくことに力を注ぎました。
自伝的な記述をした著書が少なく、
その生涯についてはあまり知られていないのですが、
自身で開宗する意志もなく、独自の寺院をもつこともなく、
各地に質素な念仏道場を設けての布教を行いました。

多くの人々の心をとらえ、核心をついたので、
既成の仏教集団や、
ほかの浄土宗派からも攻撃を受けました。

この時代は貴族による統治から武家による統治へと政権が移り、
政治、経済、社会の劇的な構造変化が起きていましたので、
貧しい民には不安が広がり、
終末論的な思想が広まっていました。

親鸞は90歳と長寿を全うします。

「何もできない無力感を自覚した時、人は何をすべきか」
「思い通りにならない現実とどう折り合いをつけて生きるのか」と
いう庶民の思いを汲み、
「大丈夫。全ての人が幸せに救われるまで、阿弥陀様も自分は一緒にいるから。
大丈夫」と生涯、説き続けました。

🌻　歎異抄（タンニショウ）

親鸞上人が亡くなった後に、
弟子の唯円坊（ユイエンボウ）が、
在りし日に親鸞が言った言葉を書き留めたものです。

親鸞の思想の根幹を端的にとらえていること、
仮名交じりでわかりやすく書かれていることで、
親しみやすく、多くの人に読まれてきました。

第三節「悪人なを往生をとぐ、いかにいはんや善人をや」
という言葉は有名です。

これは現代訳にすれば
「悪人でさえ往生する。
　どうして善人ができないはずがあろうか。」と
いう意味に取れますが、味わうと、
少し解釈が違っています。

山尾三省さんはこのように書いています。

私は、高校の時に古文で初めてこの文章に接して以来、五十歳を越した今日に至るまで、少し誇張して言えば、1日たりともこれを忘れたことがない。
悪人なのである。悪人でしかないのである。
弱者なのである。弱者でしかないのである。
　強い人たち、自分を立派であると自認できる人たち、自分を善人であると思える人たちは世界にそう多くはないにしても、「歎異抄」には結局一生涯出会わないだろう。
出会わなくてもかまいはしないし、出会わぬ方がむしろ幸福な人生であるとも思うけれども、強さ弱さ、善と悪、立派であることと立派でないこととの対比は、常に一方があって一方が成り立つ相対的な事柄である。
社会的に、善とされているものがあるから悪があり、社会的強者があるから社会的弱者がある。社会的に立派とされている事柄があるから、立派でない事柄がおこってくる。
ひとつの社会、ひとつの歴史時代には、必ずその社会、その時代に特有の善人がおり強者がおり、立派な人がいる一方で、悪人がおり弱者がおり、立派ではない大多数の人がいるのである。
　親鸞の教えとは、悪人であらざるを得ぬことを自覚させられている者のための教えであり、弱者であらざるを得ぬことを自覚させられてある者のための教えであったと言える。
　『深いことばの山河ー宮沢賢治からインド哲学まで』（山尾三省）日本教文社刊

🌻　山尾三省

山尾 三省（やまお さんせい、1938年10月11日 - 2001年8月28日）は1960年代後半に社会変革を志すコミューン活動「部族」を始め、1973年には家族と共にインド、ネパールへの巡礼の旅に出て、帰国後、1977年からは屋久島の廃村に家族で移り住み、里づくりを始め、田畑を耕し、詩の創作を中心とする執筆活動を送りました。

「地球即地域、地域即地球」という持論はアメリカの詩人ゲーリーシュナイダーのバイオリージョナリズム（生命地域主義）と近い者があり、お互いに触発されていました。
　　　　　　　wikiより　抜粋

私は山尾三省さんには会ったことはありません。三省さんの妹さんで詩人の長屋のり子からお話を伺い、イメージを膨らませていました。

治海さんとは高校時代からの旧知の仲。
のり子さんとのご縁をいただき、小樽まで出かけていったことが昨日のように鮮明に思い出されます。

後書きでのり子さんはこう書かれています。

歓喜童子と山尾三省（兄）は三十数年前に既にあっている。
ゲーリー・シュナイダーもその場にいた。
以来お互い遠く瞬きあう星だった。
今こんな風に地球に切迫した危機感があって意を決して彼らは走り寄ったに違いない。
私にはその意識の流れが透けて見える。
大思想家の誰もがその叡知の絶対の砦とする親鸞の歎異抄をこそ二人は願った。
　治海さんの僧衣色した向日葵は、今地球の希望として光を発しているとさえ私には思える。突き刺さんばかりの圧倒的祈りを感ぜずにはいられない。

🌻　ゲーリー・シュナイダー

1930年、カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。

代表作の詩集『亀の島』ではピューリッツアー賞 詩部門を、『終わりなき山河』ではボリンゲン賞を受賞。アレン・ギンスバーグやジャック・ケルアックなどとの交友関係は有名で、（しかし本人は、自身をビートと結び付けたがっていない）1950年代前半には「ビート・ジェネレーション」の詩人として活躍した。

1956年から1968年までの期間の大半は京都に滞在し、相国寺や大徳寺で臨済禅を学んだ。この時期には宮沢賢治の詩の翻訳も試み、「春と修羅」などの一連の作品の英訳が『奥地』（The Back Country）に所収されている。また、ナナオサカキ、山尾三省らと鹿児島県のトカラ列島に属する諏訪之瀬島にコミューンを作り、移住した。

アメリカに帰国後は、地域に根ざした環境保護運動、カリフォルニア大学デービス校の教授など多彩な活動を展開した。スナイダーの作品は、人間と自然との関係をテーマにしたものが多く、ヘンリー・デイヴィッド・ソローの作品を原型とする自然文学、いわゆる「ネイチャーライティング」の系譜に位置づけられる。wikiより引用

🌻　歓喜童子

この子たちの動きは素早いのです。
ページをめくると元の場所にすまして戻っていますが、本が閉じている時は、どこか他の場所に飛んでいるのです。

かの地の、向日葵の畑にも、
きっと飛んでいっているに違いないと思うのです。

そして、悪人も善人も、
立派な人も、立派でない人も、
社会的強者も、社会的弱者も等しく、
一緒に遊ぼと言っていると思うのです。

前作で地球を股にかけた歓喜童子が、
今、まさにこの今、向日葵畑のいるのは、
偶然ではないと私は思います。

ふと、先日見た映画「ひまわり」を思い出しました。
私たちはみんなひまわり。
幸せになりたいと太陽を見ているひまわり。

一人ひとりは違っても、
天からみればひまわり畑。

みんな等しく
おんなじ黄色いひまわり。

お手にとってみてください。
そして一緒に遊んでください。

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