🇬🇧British Antique Museum🇬🇧 ＠鎌倉

2023年6月24日 17:24

鎌倉雪の下に素敵な博物館が昨年9月オープンしました。
英国アンティーク博物館BAM鎌倉です。
メディアでも紹介されているのでご存知の方もいらっしゃるでしょう。

次世代にアンティークの魅力、
モノや人の大切さを多くの人に感じてほしいというミュージアムです。

古都鎌倉は大佛次郎先生が提言して開発から守った、
日本初のナショナルトラストの地。

隈研吾氏建築の日本の美しい建物を器に、
選りすぐりの英国アンティークが並んでいます。

お友達がナイトミュージアムに誘ってくれて、
わたしはなんの予備知識もなく、
当日を迎えました。

「モノを引き継ぎ、人を引き継ぐ」

鎌倉八幡宮から由比ヶ浜に向かって若宮大路の左側を進むと
英国アンティーク博物館が見えてきます。

入り口に「ブラックキャブ」と呼ばれる
ロンドンタクシーが置かれています。

1st FLOOR ミュージアムショップ

2nd FLOOR ジョージアン時代

ちょっとおさらいです。

セント・ジョージのドラゴン退治のお話を覚えていますか？
イギリス人にとって最高の英雄でしたよね。

セント・ジョージの名前をとった王様は4人いました。

1714年から1837年、ジョージ王の治世期間を
ジョージアン時代と言います。

そして、ビクトリア女王が統治した1837年から1901年を
ビクトリアン時代といい、
イギリスが最も栄えた時代とも言えます。

見事な銀食器が光に照らされ、
キラキラ輝いている光景に息をのみます。

1760年ごろから始まった産業革命によって
支配する貴族と支配される大衆の間に
「中産階級」が生まれます

その人たちは「ジェントルマン」と呼ばれました。

貴族に限りなく近くなりたいと願って
教育、文化、芸術に
どんどんお金を使っていきます。

ちなみにイギリスのパブリックスクールは
このジェントル階級の師弟の学校として作られました。

それまで、貴族は家庭で教育を受けていたのです。
いわゆるプライベートです。

ジェントル階級は家庭でなく
学校で学べるようにしたのです。
これがパブリックスクール。

ジェントルマン教育の始まりです。

プライベートスクール＝私立学校
パブリックスクール　＝公立学校

というわけではないのですね。
余談です。

フランスでは1789年に革命が起きました。
革命の嵐は1799年まで続きました。

革命をさけて、多くの人々がパリからロンドンに避難していました。
その中に　フォルテピアノを作成していたエラールがいました。

ハイドン、ベートーヴェン、ヴェルディ、
リストやラヴェルも愛した名器エラールピアノ。

このジョージアンハープはエラール社の工房で作られた可能性が高いそうです。

美しいフォルムのハープには卓えつした技術をもとになっているのです。
どんな音なのか、機会があったら聞いてみたいです。

戦争の火種にもなった高価な紅茶の茶葉を保管していたボックス。鍵がかかっています。
外部の泥棒からでなく内部の召使から守るためだそうです。

これはすごいコレクションです。
木型一つひとつには全て靴の持ち主の名前があります。
一足100万円の価値ですが、もちろん売ることはできません。
特別に「展覧品」として譲っていただいたそうです。
無造作に積み上げられていますが、
オリジナルの置き方をそのまま踏襲したそうです。
ここには100足あるので、なんと1億円・・・・驚き、

3rd FLOOR シャーロック・ホームズの部屋

わたしはなかなかのいシャーロキアンで
ロンドンベーカー街には一人で2度行きました。

シャーロック・ホームズといえば
ディアストーカーの帽子とインパネスコート。

ところが、原作には服装の記述はありません。
挿絵画家が想像したシャーロック・ホームズの様相が
そのままトレードマークになりました。

4th FLOOR ヴィクトリア時代

蓄音機ってエジソンが発明したことは有名ですね。

原理は、音の振動を針に伝え、
その振動する針で媒体に傷をつけて、
再生するときはその傷に沿って
針を動かすというものでした。
シンプルですね。

この蓄音機は「エキスパート社」の最上位モデルです。

口径93㎝の巨大ホーンに、
英国の薔薇が絵が描かれた
「蓄音機のロールスロイス」と
呼ばれる特注品です。

テレビ番組「開運！なんでも鑑定団」で紹介されました。

さて、どんな音がするのでしょうか・・・？

ナット・キング・コール“You made me love you”
なんとも心地よいサウンドです。
デジタルでは聞こえない音がしてるのです。

まず大鳥居、その奥には鎌倉八幡宮、そして鎌倉山。

なんとも美しい風景ではありませんか。

ここにきて、若者がアンティークを
「新しい」と感じてくれたら素晴らしい
隈研吾さんの思いが伝わります。

土橋館長トークタイム

ナイトミュージアム見学に、土橋館長のトークタイムはついていません。
土橋館長と親しい友人の企画だからこそのスペシャルタイムです。

館長土橋正臣氏は
30年前に訪れた
シェークスピアの生家のある
ストラトフォード•アポン•エイヴォンで、
アンティークに魅了され、
それから長年かけて、
100年以上の歴史を持つ本物の
「英国アンティーク」を集めてこられました。

そして、いつか「アンティーク博物館を作りたい」
という夢を持ちました。

「開運！なんでも鑑定団」の北原照久さんのファンになって
なんとかしてご本人に会いたいなあと願っていました。

ある日、山手の「えのき亭」でお茶をしていたところ
北原さんからのケーキの注文を受けているのを
小耳にはさみ、
ケーキと一緒にブリキの博物館に行ったそうです。

ついに憧れの北原さんに会えて、
うれしさのあまり、号泣しました。

北原さんにすっかり気にいられた土橋さんは
夢を語りました。

その後、博物館の建物はぜひ隈研吾さんにお願いしたいと願い、
熱い思いを手紙にしたためました。

そして夢は実現しました。

【土橋館長　夢を叶える3つ法則　】

1 夢は大きければ大きいほど良い、なぜなら見失うことがないから。

2 できるだけ人に夢を語る。叶えるという漢字は口に十。
1000回くらい言っていると999人から馬鹿にされても
一人は耳を傾けてくれる。

3 夢は継続する。

アンティークを好きになると、
物を大切にするようになり、
古いものを破壊することなどできない心を持つようになる。

そして、物を引き継ぐことに大切さを知るようになる。
という思いをもって、古刹鎌倉と英国を結ぶ架け橋となるように、
この博物館を設立されました。

ビジョン、パッション、ミッション、
どれも素晴らしいと思います。

最近、ギターの手習を始め、
今夜はギター演奏初披露という大サービス。

まるで少年のようにひたむきにギターを弾く土橋館長。

いいなあと思います。

動画を公開することをお赦しくださり、
感謝です。
ありがとうございます。

800年続く段葛のように
自分たちがいなくなっても、
このBAM鎌倉を誰かが引き継ぎ、
ずっと続いていくことを願って、
この場所に開設されたとお聞きしました。

この道は英国と日本という場所をつなぎ、
過去と現在と未来をつなぎ、
初めてあった人とのご縁をつないでくれる。

英国好きのわたしにはたまらない
魔法のかかった夜でした。

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