【恋愛小説】「発火点」第十話
第十話 林田夫人との友人関係がこじれたわけではないようで、それから妻は予定通り陶芸教室に通い始めた。木曜の午後二時から四時までだったから基一が仕事に行っている間だったが、帰ってくると土の成形や色付けの楽しさなどをはしゃいで話して聞かせ、楽しく通っていることを知る。ロックを聴かなくなった。かわりに中世のバロック音楽やピアノ独奏を流す。
「土をいじってると世界を作っているような気がする」
妻は言った。
「大げさだね」
「基一もやってみればわかるよ。神様が七日で世界を作って、最