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レディオヘッド

レディオヘッドの最良の作品を12曲ほど選んで、それを最高の曲順に並べ、ベストアルバムを作ろうという話が、友人との間で持ち上がった。選曲では両者一致し、残すところ並べるだけの段となった。

先に友人が作り、記事にした。いかにも良い並べ方だと思ったので、困ってしまった。妙案は思いつきそうにない。

すっかり追い込まれた形の私は、選ばれた曲のひとつ、True love waits(トゥルー・ラブ・ウェイツ)の歌詞について、簡単な感想を述べるにとどめて、勘弁していただきたいと思う。

https://www.youtube.com/watch%3Fv%3DWSnc_6Z7HqQ&ved=2ahUKEwjsuZ-3id6JAxUBY_UHHZyHBUgQ78AJegQIFBAB&usg=AOvVaw2AgA2mrhKzC2E-ofx

True love waits
真実の愛は待っている

[Verse 1]

I’ll drown my beliefs
信念は捨てることにしたよ

To have your babies
あなたの子供を生むために

I’ll dress like your niece
あなたの姪っ子のような格好をして

And wash your swollen feet
あなたのふくれた足を洗うよ

[Chorus]

Just
だから

don’t leave
行かないで

Don’t leave
行かないで

[Verse 2]

I’m not living
私は生きているなんて言えない

I’m just killing time
時間を殺してきただけ

Your tiny hands
あなたの小さな手

Your crazy kitten smile
狂おしく子猫のような笑顔

[Chorus]

Just
どうか

don’t leave
行かないで

Don’t leave
行かないで

[Verse 3]

And true love waits
真実の愛は待っている

In haunted attics
幽霊が出る屋根裏部屋で

And true love lives
真実の愛は生きている

On lollipops and crisps
飴とお菓子を糧にして

[Chorus]

Just
どうか

don’t leave
行かないで

Don’t leave
行かないで

https://www.youtube.com/watch%3Fv%3DWSnc_6Z7HqQ&ved=2ahUKEwjsuZ-3id6JAxUBY_UHHZyHBUgQ78AJegQIFBAB&usg=AOvVaw2AgA2mrhKzC2E-ofx

泣きたくなる歌だ。人間の脆さについての歌だと思う。愛する人はひたすら儚くて、すでに壊れかけている。手に触れただけで崩れてしまう。少しでも目を離せば居なくなってしまう。

気のせいだ、根拠がない、などと言っても始まらない。そう思われてならないのだから。人間の心に映り込む物が、常に科学的に妥当とは限らない。この曲はどこまでも心的事実に忠実である。

トム・ヨークという人は、人間の眼から見た人間が、どれほど異様な姿をしているかを知っている。それを表現するのに言葉だけでは無理で、音楽の力を借りなければ表現できないことも熟知している。

曲の調べが歌詞を優しく包む。夢の中で、逢いたかった人に逢えているのに、それが夢であることは明らかで、もうじき目が覚めることを知っているときの、あの切なさに近い。

陶酔に至ることはない。聴く人は覚醒の一歩手前で身動きができない感覚を味わう。曲の力が聴く人の位置を、そこに固定するのである。


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