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marikusu
相続放棄された空き家が増える現実と、これから考えるべきこと
先日、福島県会津美里町で相続放棄された空き家が倒壊し、歩道をふさいでしまうというニュースを目にしました。この道は小中学生が通る通学路でもあり、町の職員が登下校の見守りをしているとのこと。大きな事故につながらなかったのは不幸中の幸いですが、今後も同じようなケースが起こらないとは言い切れません。
近年、「負動産」という言葉をよく聞くようになりました。相続しても維持が難しい、売るに売れない、管理できないといった理由から、相続を放棄するケースが増えています。その結果、所有者不在の空き家が増え、老朽化して倒壊の危険が高まるという問題が各地で発生しています。行政が対応しようとしても、解体には多額の費用がかかるうえ、家庭裁判所に清算人を選任してもらうには時間も手間もかかるため、なかなか進まないのが現状です。その間に建物はどんどん傷み、今回のような事態につながってしまうのです。
相続放棄が増える背景には、少子化や固定資産税、管理の負担を避けたいといった理由があります。この流れは今後も続くでしょう。では、どうすればこの問題を解決できるのか。専門家が指摘するように、家を買ったときから解体費用を積み立てる仕組みを整えたり、解体費用を補助する民間の保険をもっと普及させたりすることが必要なのかもしれません。
空き家問題は、放置してしまうと地域全体に影響を及ぼします。建物が倒壊する危険があるだけでなく、景観の悪化や治安の問題にもつながる可能性があります。誰かが困ったときに対応するのではなく、問題が大きくなる前に、個人や行政、地域社会全体で対策を考えていくことが大切だと改めて感じました。