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shinsukesugie
廃団地の再生が示す可能性と現実の壁
北九州市門司区で築73年の廃団地が月額1万円で満室になったというニュースは、不動産業界において非常に興味深い話題です。入居者自らがDIYで住まいを作り上げるというスタイルが人気を呼んでいることは、新しい住まいの形として注目に値します。ただし、この事例が全国的に再現可能かといえば、難しい面が多いのも事実です。
まず、この成功の背景には団地の希少な歴史的価値や立地の魅力、さらには家賃の破格の安さがあります。これらの条件が揃っていたからこそ、入居者の注目を集め、多様な用途で満室に至ったのです。一方で、このモデルを他の空き家物件にそのまま適用することは現実的ではないでしょう。特に、人口減少が進む地域では、同様の投資に見合う需要が見込めないことが多いからです。
また、物件を再生しつつ低コストで運営するには、所有者自身の情熱やスキルが必要不可欠です。この事例のような強いビジョンと実行力を持つ人物がいなければ、こうしたプロジェクトを維持するのは難しいでしょう。DIY賃貸は確かに魅力的な選択肢ですが、物件や地域、オーナーの能力次第で成否が大きく分かれる点を忘れてはいけません。