【ウィル不動産販売の人材戦略④】新卒開始が招いた中堅・ベテランの離職と経営危機
株式会社ウィル(ウィル不動産販売)、元新卒採用担当の平田敏樹です。
ウィルにおける最重要経営課題である人材戦略について、コラムをお届けしています。
今回のテーマは、創業3年目、
「新卒採用開始が招いた中堅・ベテランの離職と経営の危機」
です。
ウィル不動産販売は、新卒採用開始から30年が経ちます。
今でこそ、新卒で入社した人材が
2年目には年間仲介手数料3800万円、
3年目には全社トップ争いをし、
4年目に全社トップの実績を上げるのが1つの基準となっています。
しかしながら、
新卒採用開始当初は、
育成するノウハウもなく、新卒赤字社員が増えるばかり。
加えて、それまで数字を上げていた中堅・ベテランの離職が発生。
経営は危機的な状況にも陥りました。
中堅・ベテランが離職した主な要因は、
① 新卒採用業務の負担
② 育成業務の負担
③ 会社の方針とのミスマッチ
と考えています。
① 新卒採用業務の負担
ウィル不動産販売にとって、新卒採用は理想の会社を作るための投資でした。
経常利益の多くを採用経費に充て、営業社員も総出で採用活動をおこないました。
求職者を数十名集めた説明会を開催する際は、
店舗を閉めて全社員で臨み、
会社見学や面接などでも営業社員を駆り出していました。
② 育成業務の負担
自ら採用にかかわった人が入社することもあり、当初は育成にも前向きでした。
しかし、社会常識も知らない、数か月前まで学生だった新人はすぐには戦力になりません。
徐々に育成が自身の営業活動の負担になり、営業に専念できる同業他社などへと転職する人も出てきました。
③ 会社の方針とのミスマッチ
新卒採用では、中途よりも優秀な人材を採用できました。
素直に物事を吸収し、会社の成長を自分事に考えられるのが新卒社員の強みでした。
時間はかかっても、日々変化・成長を重ねます。
新卒が会社の軸になるにつれ、離職を決断するベテランも出てきました。
いずれも、目先の経営を考えると大変な痛手でしたが、
乗り越えた今となっては、新卒採用の開始は良いことばかりでした。
営業社員も新卒採用に巻き込むことで入社後の育成も自分事にできる社員が生まれ、
新卒の成長に負けじと中途の既存社員も成長を促されました。
会社が示す方針にも、新卒を中心に素直に反応できる社員が増えました。
会社が変化・成長することを考えると良いことしかなかったと言えます。
新卒採用を始めようか悩まれている経営者の皆様には、
不動産会社が直面するであろう課題も伝わっていましたら幸いです。
様々な課題に直面しましたが、新卒採用に舵を切ることは、理想とする会社に近づく最適解だったと胸を張ってお伝えします。
次回は、
新卒採用を始めるならいつ?何が必要?
というテーマでお伝えします。