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グルメな夫は「よごし(大根菜炒め)」の食べ方にこだわる

IMG_1752copy#3 グルメな夫はよごしの食べ方にこだわる

大根を買うとき、グルメな夫は大根の根の部分を見て買う。私は大根の葉を見て買う。グルメな夫は大根をおでんにしようと考えているからであり、私は「よごし」をつくろうと考えているからである。
「よごし」は大根の葉の部分を茎ごと細かく刻んで炒めたものである。普通は味噌味にするのだが、いかんせん、時間がたつと色が変わる。そこで最近はオリーブオイルをちょっと入れて炒め、塩か白だしで薄く味付けをする。出来上がったら小分けをして、すぐに食べないぶんは冷凍庫に保存する。野菜が足りないときにすぐに緑を足せるので便利だ。

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「よごし」は全国の人が食べているものだとずっと信じていたが、富山県出身の私は「日本の食べ物用語辞典」なるサイトを見て驚いた。なんと「富山をはじめとする北陸地方の郷土食」とある。では、他の地方の人々は大根の葉をどうやって食べているのだろう?道の駅などで立派な葉がついた大根を見ると私は嬉しくなるが、たまに葉を取って買う人がいるのも確かである。打ち捨てられたかわいそうな大根葉を私はもらい受けてくるのが常である。ところがグルメな夫は大根葉を捨てはしないものの、料理してくれたことは一度もない。それどころか
「どうして葉を食べるの?」
ときいてくる。大根はあくまで根がメインだということらしい。
「そりゃ、もったいないでしょ。」
と言い返す私。冬の北陸は、昔は雪が積もれば陸の孤島になったものである。冬に食べられる生野菜は限られていて、雪の下から掘り起こした大根はご馳走だった。雪をかぶった大根は甘さを増し、大根葉は貴重な緑の野菜なのだから。大根葉の「よごし」は冬の食事の定番なのだ。

はなから大根葉を料理して食べる気がないグルメな夫だが、自分の皿にのせられた分は食べてくれる。ただし、何かと組み合わせる。今日は鶏肉のつくねだった。「よごし」が大好きでそのままあっというまにかきこんでしまう私に向かってグルメな夫は言う。
「グルメは食べ方にもこだわるんだ。」

グルメな夫と私の落差は永遠である。


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