グルメな夫は犬のように鼻がきく
日曜日の朝7時、バリ人の友人夫婦がグルメな夫と私をウォーキングに誘い出した。サヌールにはマングローブの林をぬける素敵なジョギングコースがあるから、と。2人はスポーツウエアにスニーカー。インドネシアも、健康のためにスポーツをする時代だ。実際ジョギングしているバリ人を何人も見かけた。ずっと以前は海岸をジョギングしているのは外国人観光客だったが、今はインドネシア人だ。
私たちは、ジョギングコースをてくてく歩いて行った。マングローブの林につながる湿地に白い鷺がいたり、マングローブの花がたくさん咲いていたり、植樹したマングローブが芽を出していたりした。
歩いているうちにビーチに出た。サヌールはバリ島の南東の海岸なので、朝日を眺めることができる。運がよければバリ島の神聖な山、アグン山が見える稀有な場所である。朝日を反射する海にはアウトリガーの船が数えきれないほど浮かんでいて、その影が幻想的だ。砂浜には一匹の犬が何かを探すかのように砂に鼻をこすりつけているのが、バリ島らしい。
さらに歩くと、たくさんの車がずらりと駐車しているのが見え、その向こうに広がるビーチには、なんとたくさんの海水浴客があふれかえっていた。駐車していた車は海水浴客が乗ってきた車だった。たいていは親子連れで、子どもたちが走り回っていた。それだけではない。子どものための浮き輪や玩具を売る人、飲み物を売る人、食べ物を売る人があっちにもこっちにもいる。日曜日の早朝からこの喧騒は何なのだろう。いったいこの人たちは何時に家をでたのだろう。
「日曜日の朝だから人が多いの。」
とバリ人の友人が言う。早朝からビーチで遊んで、9時までにはみんな帰ってしまうのだという。なるほど。日が高くなると暑くなるし、日焼けして大変だ。
ビーチには食べ物を売る人があちこちにいたが、グルメな夫は1つの食堂に向かってさっと歩いて行った。グルメな夫は調理の煙と臭いでたちまちおいしい食堂を嗅ぎつけたのである。さすがである。まるで犬のように鼻がきく。
店先で女主人がバナナの葉に包んだ魚を焼いていた。イカン・ペペスだ。スパイスをたっぷり仕込んだ魚身を焼くので、その匂いの香ばしさといったらない。手の込んだ唐辛子ペースト(サンバル)をつけて食べると絶品である。
魚の串焼き(サテ・イカン)は、バナナの葉に包んで蒸したご飯(ロントン)と一緒に食べる。これにもサンバルをつける。
バリ人の友人が、ルンピア(春巻き)を売り歩く人からルンピアを買い求めたので、朝食はさらに豪勢になった。
すっかりお腹がペコペコだった私たちはバリ島の最高の朝ご飯を堪能した。
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