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もし自分が日高屋のCMOだったら?/#15 マーケティングトレース

今年は自分の決めたペースで #マーケティングトレース をやろうと決めており、毎月2本は書きたいなと思って取り組んでいます.

今回はどの企業を対象にしようか?と考えていたのですが、以前黒澤さんが「日高屋のマーケティングトレースをやると飲食店のビジネスモデルがわかる」とおっしゃっていたのを思い出し、やることに。

丁度自宅の最寄駅にも日高屋があり、馴染みもあるため取り組んでいきます。(毎日素通りして入ったことないです笑)

外食市場規模

まず、現状の外食市場規模はどうなっているのでしょうか。

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1996年をピークに減少してますが、2011年に下げ止まり微増(回復)していますね。
背景には
・人口減少、高齢化による食需要縮小
・節約志向の高まりによる低価格化の進行
・コンビニ、スーパーの中食市場の拡大
により市場が下げトレンドに入っていたものの、直近では
・訪日外国人の影響
・原材料高騰、人件費高騰の影響が価格に転嫁され値上げした影響
が考えられます。

直近は訪日外国人の影響もあり7年連続前年超えしている。

と、市場感が大枠わかったところで #マーケティングトレース に入っていきます。

会社概要:日高屋のことを知る

会社名 :株式会社ハイデイ日高
所在地 :埼玉県さいたま市 大宮区大門町 3-105 やすなビル6F
会社設立:1978年3月22日
事業内容:日高屋をはじめ4業態の飲食店の経営管理、運営
資本金 :16億

運営業態

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ビジネスモデル

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全て直営店にし、サービスや商品をコントロールし「日高屋」のブランドイメージ(=日高屋なら、この価格、品質である)の統一を図り、駅前繁盛街にエリアを絞って出店し、高回転・長時間営業により低価格でも収益率をあげられるように工夫している。

日高屋業績推移

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経常利益率の落ち込みは何があったのでしょうか?

働き方改革の影響とあるため、販管費が原因と考えられますね。

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四半期毎に確認すると、2019年度は販管費比率が増加しています。

決算説明資料でも営業利益変動要因として、原価上昇以外に販管費(人件費、光熱費、貸借料)上昇をあげています。

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決算説明資料にも、既存店売上未達要因として働き方改革を要因としてあげています。

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全店舗では売上は微増ですが、既存店の売上は落ちてきています。
新規(出店から15ヶ月以内)では、新しく出来たこともあり客足が伸びているおかげかもしれませんが、既存店では客離れが起きていそうです。

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客離れの要因としては、
・働き方改革の影響(日高屋に立ち寄らずに帰宅)
・営業時間短縮(早帰りの影響で遅い時間に営業しても来ない)
・値上げによる影響
・日高屋に行く理由がない(日高屋でなければならない理由が無い)

が考えられます。

業態別売上構成比を見ると95.9%が日高屋で占められています。
日高屋の集客改善を行わないと、業績回復は今後難しくなります。

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外食市場の状況と日高屋の概要がわかったところで、外部環境分析に入っていきましょう。

PEST分析:日高屋を取り巻く外部環境を把握する

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働き方改革の影響は冒頭で述べていますが、外食産業自体人手不足、若者の酒離れ、消費増税など、消費者の立場としても肌感で分かりますね。

健康志向の高まり、消費者の多様化もあるため低価格・種類が豊富だけでは今後戦うのは厳しくなるでしょう。

4P分析:マーケティングミックス整理

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今回は日高屋に絞っていますが、特徴は何と言っても「駅近」「安さ」
牛丼チェーンやファーストフード店の近くに出店していることもあり、集客は見込めるため、牛丼やハンバーガーに食べ飽きた時の選択肢として選んでもらい、リピートする際の来店動機作りとして季節限定メニュー開発を行なっている。

コストを抑えているから広告を行なっていないと思いましたが、昨年末にCMを行なっていた模様です。

こちらはTwitterでの告知

STP分析:ターゲット、ポジショニング整理

では、ターゲットとポジショニングについて整理します。
日高屋の特徴として
・都心への集中出店
・駅前
・ちょい飲み、安い
とありましたので、駅を利用する会社員をターゲットにしています。
TwitterのCM動画にもありましたが、最近はファミリー層もターゲットにしていそうですね。

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次にポジショニング。
ポジショニングを考える上で競合が必要になります。
競合の捉え方にもよりますが、
・駅前ならファーストフード、牛丼チェーンなど
・業態としては幸楽苑でしょうか。

ポジショニングするとこのようになる。

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日高屋は駅近、繁華街に集中出店しているのに対して、その他3業態は色んな立地に出店しており、「どこでも食べれる≒どこかに行けばある」イメージが強いだろう。立地によっては、気軽に立ち寄ることが出来ない場合もあるため、日高屋のエリア集中出店は独自のポジショニングと言える。

ここまでを一旦まとめます。

・日高屋は売上構成比の96%占めているメイン事業。
・駅近、繁華街への集中出店で牛丼/ファストフード店近くを狙っている。
・ちょい飲みサラリーマンをターゲットに絞っている。
・低価格×立寄り安さのポジショニングを確立
・原価を抑え品質を担保するために、広告は実施しない方針
 -TVCMは従業員家族へ向けたメッセージ
 -餃子CMは集客落ち込みを回復させるため?
・働き方改革や消費者の多様化で集客&売上が落ちてきている。
 -その影響で販管費増による利益率減

要するに・・・

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ということです。

もし自分が日高屋のCMOだったら?

では、自分がもし日高屋のCMOだったらどんな打ち手を行うか?
業績を回復させるには、以下のいずれかをテコ入れする必要がある。

・売上=顧客数(新規+既存)*顧客単価
    新規顧客=既存店舗での新規顧客+新規出店での新規顧客
    既存顧客=既存店舗でのリピート率

マーケティングミックスで考えると、以下のアプローチを取りたい。
・Place(新規出店)
 →新規出店による新規顧客獲得
・Product(新規メニュー開発)
 →既存店舗での新規顧客獲得+リピート来訪
になる。

Place:新規出店するならどこの地域に?

関東圏以外に出店するならば、人口・人口密度を見ていきたい。
(そもそも人がいないと意味がありませんからね。。。)

まずは都道府県別人口ランキング、上位5県。
この中で未出店地域は大阪府と愛知県です。

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続いて、人口密度ランキング。
人口密度では大阪府が東京都に次いで2番目に高い結果となっています。

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出店するにあたって、地価はどうなのでしょうか?
(細かな市区町村単位によっては、前後するでしょう)

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ざっくりと公示地価ランキングで見てみると、東京はダントツで高いものの他エリアは東京の1/4~5程度なので、コストを抑える意味でも大阪、愛知県への出店は検討の余地ありです。

Product:新規メニュー開発は?

働き方改革の影響で、残業が減っている=収入減と考えられることから、

お得なワンコイン(500円)テイクアウトメニュー

の開発はどうだろうか?
現状店内で食べるのに、1000円かからず安く飲食可能ですが、残業がなくなり早帰りするため、立ち寄らずに帰ってしまう状況。
残業減少≒収入減だとすると、懐事情も影響。

テイクアウト可能な店舗があるものの、値段は店内で食べる時と同じなので、ワンコインで提供する事で「安いし今晩のオカズに」と、気軽に買える様にする。

テイクアウトはオペレーションコストがかからない様に自販機形式にしておけば良い。

テイクアウトメニューは、餃子、枝豆、チャーハンなどワンサイズ小さくしたものを、既存メニューの中から組み合わせ自由で選べる様にすれば、顧客としても選ぶ楽しさを体験できる。
(体験は大事です)

まとめ

もし自分が日高屋のCMOなら、

・新規顧客獲得のために、大阪府・愛知県へ進出
・500円テイクアウトメニュー開発

を行い、新規獲得+リピート率増を狙う。

今回は以上です!

日高屋に取り組んでから、実際に飲食店を見かけたら観察する様になったし、いちユーザーとして選択肢が幅広くある中で特に明確な意思決定をしないまま選択していることに気付きました。

意思決定させるための後押しとして「気軽さ」や「ワンコイン」など、何か琴線に引っかかる様な仕掛けが必要だなと思い、テイクアウトメニューを考察。

日頃から、色んな気付きをメモしつつアイデアにつなげていきたいなと今回の #マーケティングトレース で気付きを得れました。

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とし|おなか痩せの専門家
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