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もし自分が「スギ薬局のCMO」だったら?/#14 マーケティングトレース

今回の #マーケティングトレース は、個人的に最近興味を持ち始めたドラッグストア業界から選定。以前取り組んだ #マーケティングトレースマツモトキヨシよりも売上ランキングは下位の企業になります。

スギHDの決算説明資料をみていると、商品部門別にカテゴリが5つ(その他は除外)あり、良い感じでバランスが取れていたので、自分がCMOだったらどんな打ち手が考えられるだろうか?と思ったので選定。

それでは早速会社概要から入っていきます。

会社概要;スギ薬局について知る

会社名 :スギホールディングス株式会社
所在地 :愛知県大府市横根町新江62番地の1
創業  :1976年12月
会社設立:1982年3月
事業内容:スギ薬局グループ全社の経営管理、運営
連結売上:4,884億(2019年2月期)
資本金 :154億
代表  :杉浦広一

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中期目標

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2018年にメドピアグループと資本業務提携スギ薬局がM-aidと資本業務提携を行なっている。この資本業務提携を機に売上高8000億円を目指すのが中期目標。

目標を実現するために、グループビジョンとして地域密着型でユーザー接点のあるサービスに注力していく方針。

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取り組む内容は様々で

・薬剤師、管理栄養士による「体験型ソリューション」で正しい情報提供
・ウォーキング、ラジオ体操、シニアメイク等地域と連携したイベント開催
・自治体とスギ薬局との連携によるウェルネス推進まちづくり
・医療・食事・運動を全面的にサポートする新しい形の健康管理の提案
・自治体と連携し、店舗駐車場を活用した集団検診の実施
・健康経営支援サービス
・特定健保指導、ダイエットプログラムを通した生活習慣病を防ぐ取り組み
・ドラッグストア、調剤薬局の24時間営業
・訪問調剤/訪問管理栄養指導
・一般用医薬品・化粧品・日用品・食品などを配達する宅配サービス
・訪問看護/居宅介護支援サービス
・オンライン診療/服薬指導、電子処方箋、処方薬の配達、オンライン相談

と、幅広くユーザーと接点を持ち、人の健康に関して積極的に取り組んでいる。

資本業務提携を行い、包括的に地域のユーザーと接点を持つことで事業拡大を狙うスギHDの利益率ってどうなのか?を経常利益率推移を店舗数推移と合わせて確認。

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提携した2018年以降から改善しているため、店舗数増加により改善したか。

今回のマーケティングトレースは「スギ薬局」のため、スギ薬局にフォーカスして状況を簡単に整理します。

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では、各店舗の売上構成比とカテゴリ別売上構成比を見ていきます。

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店舗数に違いがあるため、売上構成比に違いがあるのは当然ですが、各カテゴリ別で見た時に特徴が異なっているのがわかります。

関西に住んでいた時、ジャパンによく行ってたのですが、フード商品がとにかく安い笑
ロープライスで商品提供している店舗ですね。

PEST分析や5F分析は以前の #マーケティングトレース の題材だったマツモトキヨシで行いましたので割愛。
市場規模は触れていませんでしたので、補足情報として添付。

※ドラッグストア市場規模推移

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参照:市場規模トレンド 日本チェーンドラッグストア協会ソースを元に作成

順調に市場規模は拡大しており、2018年度には7.2兆円規模となってます。

競合他社を知る

前回のマツキヨのおさらいになりますが、売上ランキングと店舗数比較を見ておきます。

各社改めて財務状況を確認すると前回確認した情報ソースに一部誤りがありました。一次情報を確認するのはとても大事ですね。

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店舗数と売上に相関関係がないため、顧客数×単価による差が生じている。

では各社の経常利益率について比較してみたいと思います。
※数字は各社HD単位

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品目別でみると、各社の特徴が見えてくる。
スギHDは「医薬品」の構成比率が高くウェルシアと売上構成比が似ている。

でも、売上に差が生じているのは店舗数の差によるものですね。

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ウェルシアとスギの店舗数は約700店舗差が開いており売上高に違いが生じているのは当然のことですね。

1店舗あたりの売上高を見てみると、0.2億円。月間160万程の売上高の差になるので、経常利益率が1%近くウェルシアの方が低いことを考えると、販売価格に差が生じていそうです。

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では、この状況でスギHDはどのようにして戦っていこうとしているのか、について掘り下げていきます。

スギHDの強み

大きくは以下の3つ。

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具体的には以下に細分化されます。

1.薬剤師・美容アドバイザー等の専門家によるカウンセリング販売の強化
2.出店エリアの拡大及び出店スピードの加速による更なるドミナントの構築
3.訪日外国人向けのマーケティング強化および品揃えの拡充
4.医療機関との連携強化およびクリニック併設店舗の拡大
5.調剤機器の導入および調剤業務の見直しによる薬剤師の生産性の向上

1.薬剤師、美容アドバイザー等の専門家によるカウンセリング販売の強化

スギHDでは、外部人材に頼ることなく専門家は自社の社員を育成し全店舗に配置しています。偏った商品案内を行うこともなく消費者に合わせた提案を行うことが可能となります。 

2.出店エリアの拡大及び出店スピードの加速による更なるドミナント構築

スギHDは創業者が薬剤師だったこともあり、「一人の患者様のために一人の薬剤師として貢献したい」という強い想いを持っており、郊外への出店を強化。1店舗当たり6千世帯、2万人の人が半径2キロ圏内となる立地を基本商圏としています。

出店エリアは関西(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良)、関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川)、中部(岐阜、静岡、愛知、三重)、北陸(福井、石川)と18都道府県のみの出店に集中しています。また、愛知県を中心に同圏内において集中出店していることが特徴的です。

3.訪日外国人向けのマーケティング強化および品揃えの拡充
訪日外国人の取り込みにビッグデータを活用しており、免税対応店で提示するパスポートの国籍などのデータを蓄積し、購入履歴と結びつけて店ごとに品揃えを変えている。

他には、中国人旅行客を呼び込むために、SNS(Weibo)にアカウント開設を行い発信を強化していくなどの取り組みも実施。

4.医療機関との連携強化およびクリニック併設店舗の拡大
地域の医療機関と連携し、門前型薬局が得意としてきた医療機関との情報交換や連携をスギ薬局としても行い、医療提供施設としての質を工場させている。

また、医療機関併設店舗としての連携も強化している。

5.調剤機器の導入および調剤業務の見直しによる薬剤師の生産性の向上
レセコンと呼ばれるシステムを導入し、受付から薬歴作成までの一連の作業を効率化させ、生産性向上を測るもの。

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ここまでで、スギHDの現状、競合との比較、自社の強みとしていることを定量・定性で見てきました。

次にSTP分析を行い、誰をターゲットにどんなポジショニングを取っているのか見ていきます。

STP分析:ターゲットとポジショニングの整理

S:セグメント
愛知県を中心に18都道府県の郊外を中心に商圏エリア2kmを範囲としたドミナント戦略を構築。

T:ターゲット
ドラッグストアは基本的に主婦層を中心にターゲットとしているものの、スギHDに関しては、商圏エリア全員を対象としています。
(健康に関わることに困った人を調剤だけでなく、フィットネスや介護など色んなアプローチで接点を持っているため)

P:ポジショニング

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ドラッグストア業界全体の動きとして、地域密着(地域のかかりつけ医)×トータルセルフケアの動きが出ているため、独自のポジショニングを構築していく必要がある。

4P分析:マーケティングミクスで全体像整理

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マツモトキヨシの時同様の4Pではあるものの、特徴としては「栄養、薬、美容」アドバイザーが自社社員であることと、店舗戦略として「郊外型地域に絞ったドミナント戦略」ジャパンが「ディスカウントストア」として位置づけられている点。

店舗出店エリアの違いは?

では、競合他社と比較した時の出店エリア状況について見てみましょう。

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エリア別で比較すると、スギHDは中部・関西エリアで群を抜いて店舗数が多いことがわかる。
他社は、それぞれ強みとしているエリアを持っており、スギHDとして新たにエリア進出or注力エリアのリプレイスが必要になってくるだろう。

中部・関西エリアはスギHDが圧倒的に店舗数が多くなっていますが、該当エリアを都道府県別に見た場合のシェアも見てみます。

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(先ほどと軸が異なっており、見にくくなってしまい申し訳ないです。。。)

スギHDは緑色です。各都道府県の店舗数合計を比率で出しております。
スギHDは静岡と和歌山、兵庫以外のシェアが多いですね。岐阜、愛知県に至っては圧倒的です。

一旦、ここまでをまとめてみます。

・ドラッグストア業界では売上6位
・M&Aや資本業務提携で8,000億規模まで成長させる中期目標
・愛知県を中心に、中部・関西エリアの店舗数は他社比で圧倒的
・ドミナント構築を出店戦略としている。
・トータルヘルスケアが強み
・専門カウンセラーは自社社員を教育(フラットなアドバイスが可能)
・競合他社も同じようなポジショニングを取ろうとしている。

もし自分がスギ薬局のCMOだったら?

中期目標の売上規模まで拡大させるには、売上を構成している以下のいずれかを増やす必要がある。

売上=購入者数×購入平均単価×買上率×店舗数

①店舗数増アプローチ
<現状>
現状の限定的なエリア展開だと売上拡大は頭打ちとなるため、人口が多い関東圏への出店も必要になる。
※ココカラファインとの経営統合がマツキヨに流れた為、出店戦略練り直し
※他地方出自のドラッグストアも関東進出を狙っている
**
<打ち手>
株式会社クリエイトエス・ディーとの経営統合打診**

クリエイトは業界売上8位でココカラファインより売上規模は小さいものの、東京・神奈川エリアの出店数に強みを持っている。

東京:101店舗
神奈川:340店舗

関東エリアを攻め切れていないスギHDにとっては関東エリアの店舗に強みがあるクリエイトはとても魅力的。

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屋号統一するかどうかは、要相談。

ドラッグストア業界は経営統合で規模を大きくしてシェアを取ってきているが、この動きもそろそろ落ち着きそうなので、ここで攻めておきたい。

統合すると、業界内売上は3位に浮上し、一気に勢力図が変わる。

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訪日外国人に対するマーケティングや品揃えの充実も対策していることから、訪日外国人へのアプローチも強化できる。
都道府県別訪日外国人訪問率ランキングでは、スギHDカバーエリアとして、大阪、京都、愛知県に加えて東京、神奈川もカバーできるため、統合効果はより見込めるだろう。

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②買上率増アプローチ

<打ち手>
顧客ID×デバイスIDの統合データを用いたパーソナライズした提案・レコメンド

マツモトキヨシの時にも同じような構想を考えたが、トータルヘルスケアで実現する仕組みの構築を行う。

フィットネス、ドラッグストア、病院カルテ情報など会員IDとID-POS、デバイスIDを突合させ、よりパーソナライズ化させたコミュニケーションが取れるようにする。

顧客IDやID-POSデータを活用したデジタルマーケティングは、どの企業も行なってくるだろうから、乗り遅れないようにしたい。

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と、ここまでは企業視点でのCMOとしての打ち手ですが、ユーザー目線で考えた時にどんな打ち手がありえるかについて考えてみます。

以下書籍を今読んでいるのですが、ユーザーの消費行動について本当に考えさせられることが多かったです。

ドラッグストアを利用しているユーザー(個人的な目線)は

・日用雑貨品が安いから買う(クーポン使って)安くなったら買う
・食料品が安ければ買う
・緊急時の対応策としてドラッグストアで第一類薬品買う
 ※解熱剤(ロキソニンとか)
・目薬が欲しいなど、なんとなく行く
・近くで買いたいから行く

なので、「なんとなく行く」から「行きたい」と思わせる店舗にしたい。

また、コンビニ、スーパーよりも近いがドミナント戦略を構築しているドラッグストアの強みでもあるので、より集客できる仕組みを作りたい。

行く動機の打ち手として

②買上率増アプローチ

で挙げた

顧客ID×デバイスIDの統合データを用いたパーソナライズした提案・レコメンド

は、クーポンなどの情報を顧客購買行動からユーザー毎に訴求内容を変えてレコメンドすれば、行く動機には繋がる。

来店者数を増やすには「なんとなく行く」ユーザーに対して来店意向を高めたい

現状のドラッグストアは、カテゴリ毎の価格差による特徴はあるものの、大きくイメージは変わらない。

そこで「女性(主婦)」をターゲット

家庭環境(家族構成、普段の食事傾向、病気有無、運動習慣など)に合わせた

超時短×栄養バランス満点お料理レシピ教室

を管理栄養士、薬剤師、などの専門アドバイザー監修のもと1日人数限定で開催するのはどうだろうか?

普段から家族の栄養バランスを考えた食事を作る主婦にとって、時短×営業バランス満点料理ができれば、最高&自分の時間を創出することも実現できる。

レシピ教室は無料で提供する代わりに、顧客情報を取得することで食材のレコメンドだけでなく、ユーザーのライフスタイルの変化に合わせて様々な商品のレコメンド内容も訴求することができる。

レシピ教室を受けたあとは、食品も売っているドラッグストア(今回はスギ薬局)で食料品購入を促進させることもできる。

ついで買い(他日用雑貨とか)促進も可能となる。

ライフスタイルをトータルでサポートできるドラッグストアが今後重要になってくるのではなかろうか。

ライフスタイルの変化が分かるドラッグストアならではの他の打ち手として、栄養バランス満点のミールデリバリーサービスをやるきっかけにしても良い。

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今回のマーケティングトレースは以上となります!

マーケティングトレースではなく企業分析に近い取り組みになってしまったので、企業側のマーケティング思考を読み解くことに注力するとともに、ユーザーインサイトについても考えていきたい。

個人的に、ユーザーの心を動かす良いCMだなと最近感動したものです。
※事例として紹介されていたのを見て、「すごいなー」と思った動画です。


マーケティングのFWを** "真似ぶ"**のが目的なのでやり方を修正していこう。

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