『西部魂』(1941年・FOX・フリッツ・ラング)
6月6日(月)の娯楽映画研究所シアターは、テクニカラー西部劇の佳作”Western Union”『西部魂』(1941年・FOX・フリッツ・ラング)をアマプラからスクリーン投影。
1861年、ネブラスカ州オマハ(フレッド・アステア生誕の地!)から、ユタ州ソルトレイクシティまで、電信網を確立するため電柱を建てていくウエスタンユニオン電信会社の技師長・エドワード・クレイトン(ディーン・ジャガー)。瀕死の彼を助けたことがある過去のある男・ヴァンス・ショウ(ランドルフ・スコット)と、ニューヨークの大学出の坊ちゃん出身の電信技手・リチャード・ブレイク(ロバート・ヤング)たちの闘いを描く。
タフガイのランドルフ・スコットが、正統派ヒーローではなく、盗賊団のボス、ジャック(バートン・マクレーン)の弟であることから後半、グッとドラマが盛り上がる。ジャックはスー族を焚き付けて、ウエスタンユニオンのキャンプを襲撃。スー族が奪った馬を、クレイトンたちに高く売りつける阿漕な男。それを知りつつ「観てみぬふり」をしてしまうショウの苦悩。悩みなどない、という感じの陽気で根性の座った坊ちゃんキャラのリチャード。それぞれのキャラ造形が、良い意味でメリハリとなっている。
驚いたのはテーマ音楽。デヴィッド・バトルフ作曲のメインテーマをどこかで聞いたことがあるなと思ったら、ななんと『続・若い季節』(1964年・東宝・古澤憲吾)でスパーク三人娘(中尾ミエ・園まり・伊東ゆかり)が唄った「素敵なセブンティーン」そっくり。ああ、宮川泰先生! パクリというわけではなく、インスパイアなのだけど。クレイジーキャッツの「アッと驚く為五郎」がセルジオ・メンデスの「マシュケナダ」と似ている、あの感じ(笑)
ともあれ、西部劇としてもハリウッド映画としても、アヴェレージ以上、とにかくカラー映像が美しく、95分という長さもちょうどいい。