娯楽映画研究所ダイアリー 2021年11月15日(月)〜11月21日(日)
11月15日(月)【佐藤利明の娯楽映画研究所】「なぜか埼玉」から40年〜さいたまんぞう"リ・さいたま”への軌跡PART1
11月15日(月)『兵隊やくざ 脱獄』(1966年7月3日・大映京都・森一生)・『ドクター・ストレンジ』(2016年・スコット・デリクソン)
今夜は渋谷伝承ホールでYaeさんのコンサート、一年振りです。
出掛けるまで11月28日(日)阿佐ヶ谷ネオ書房「ザッツ・ニッポン・エンタテインメント2021 戦後篇」の素材作成をしていました。
21日(日)は四国放送「日曜懐メロ大全集・唄ふ映画スタア 岸井明特集」にリモートですが90分強、お話をします。選曲・構成も任せられているので、これから考えていきます。番組にはおそらく13時から15時55分まで3時間出ずっぱり、ではないかと^_^ 来週24日(水)夜は某所でトーク、翌25日(木)は、いよいよ浅草ヨーロー堂で「さいたまんぞう ザ・リさいたま」です。イベントで投影する素材編集、ステージ構成などを詰めつつ…
大地とともにあるシンガーYaeさんの唄声も、ライブで聴くのは久しぶりです。
娯楽映画研究所シアター「カツライス」劇場は、シリーズ第4作「兵隊やくざ 脱獄」。クライマックスは1945年8月9日、ソ連参戦当日。ここまで来ると、破天荒も天晴れな快作!
娯楽映画研究所シアターでは、ディズニー+ MCU IMAX extend版で『ドクター・ストレンジ』(2016年・スコット・デリクソン)を100インチスクリーンに投影。なんちゃってIMAX効果を堪能。ベネティクト・カンバーバッチの傲慢でどうしようもないスティーヴン・ストレンジの医者時代の芝居がいい。スーパーヒーロー誕生譚なのだけど、最初から超人パワーを持っているわけではなくて、交通事故で両手にマヒが残る大怪我をしてプライドがズタボロになったセレブ野郎が、藁を掴む想いでカトマンズへ。カマー・タージという修行場にたどり着くまでが面白い。ロケーションも、ベルモンドの『カトマンズの男』と同じ場所だったりして楽しい。
11月16日(火)『兵隊やくざ 大脱走』(1966年11月9日・大映京都・田中徳三)・『ブラック・ウィドウ』(2021年・ケイト・ショートランド)
シリーズ第5作は、大宮と有田がニセ将校に。決死の民間人救出作戦!安田道代さんがヒロイン! 勝新太郎の粗野だけど純情な大宮二等兵と、田村高廣演じる大学でのインテリ古参兵・有田上等兵の“およそ軍隊でないと知り合わなかった”コンビの「兵隊やくざ」シリーズも5作目。斜陽の映画界で「カツライス=勝新太郎・市川雷蔵」主演のプログラムピクチャー・シリーズは大映の稼ぎ頭だった。日中戦線を舞台にしたアクション・コメディであるが、第二次大戦末期、敗戦直前の極限状況のなかで「自由であろう」とする大宮と有田は、閉塞した時代の観客の溜飲を下げていた。
娯楽映画研究所シアターは、ディズニー+MCU IMAX Enhancedで、この7月に観たばかりの『ブラック・ウィドウ』(2021年・ケイト・ショートランド)をなんちゃってIMAXでスクリーン投影。
11月17日(水)『兵隊やくざ 俺にまかせろ』(1967年2月25日・大映京都・田中徳三)・『ブラックパンサー』(2018年・MCU・ライアン・クーグラー)
なぜか一等兵に降格の大宮(勝新太郎)の暴れっぷりに拍車がかかった第6作! 第5作『兵隊やくざ 大脱走』(1966年11月9日・田中徳三)までは、連続した時間軸の物語だった。前作は、昭和20年8月、配線間際のソ満国境を舞台に、ソ連軍の猛攻から、北満開拓団の救出成功したところで「完」となった。しかし、それから数日して8月15日の敗戦となるので、第6作『兵隊やくざ 俺にまかせろ』(1967年2月25日・大映京都・田中徳三)では、時間を戻して、というかこれまでの状況を適度にぼかして、昭和20年の北満を舞台にしている。冬の撮影ということもあり、昭和20年前半、ということにしている。
娯楽映画研究所シアターで、ディズニー+MCU IMAX Enhancedでチャドウィッグ・ボーズマン主演の傑作『ブラックパンサー』(2018年・ライアン・クーグラー)を久しぶりに堪能。四度目になるが、最初は試写室、続いてお台場でスクリーンX、あとの2回も通常スクリーンだったので、IMAXフル画角に拡大されるシーンに「お!」っとなった。
11月18日(木)『兵隊やくざ 殴り込み』(1967年9月15日・大映京都・田中徳三)・『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017年・MCU・ジェームズ・ガン)
明日11月19日から開催「角川映画祭」で4K上映される『犬神家の一族』から「角川映画の45年」と上映作の原作レビューを、KADOKAWAの文芸サイト「カドブン」に寄稿しました!
シリーズ第7作『兵隊やくざ 殴り込み』(大映京都・田中徳三)が公開されたのは昭和42(1967)年9月15日。併映は宇津井健と本郷功次郎のアクション・シリーズ『海のGメン 太平洋の用心棒』(大映東京・田中重雄)だった。この週の各社の封切り作品は次の通り。日活は14日公開で、藤田まこと『喜劇 大風呂敷』(中平康)と渡哲也『錆びたペンダント』(江崎実生)。東映は、高倉健と藤純子『日本侠客伝 斬り込み』(東映京都・マキノ雅弘)と美川憲一のヒット曲をフィーチャーした梅宮辰夫『柳ヶ瀬ブルース』(東映東京・村山新治)。東宝は、夏木陽介の青春学園もの『でっかい太陽』(松森健)と石坂洋次郎原作・星由里子『颱風とざくろ』(須川栄三)。と、東宝をのぞいて各社とも男性向けのプログラムピクチャーばかり。
娯楽映画研究所シアターで連夜のMCU三昧。ディズニー+MCU IMAX Enhancedで『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017年・M C U・ジェームズ・ガン)を3年ぶりに堪能。MCUの中ではリピート回数が多く、娯楽映画としてもよく出来ていて、プロジェクター投影して眺めているだけでも楽しい。IMAX版は、あちこちでミョーンと画面が拡がり、本当に楽しい。先日、MCUの新作『エターナルズ』(2021年・クロエ・ジャオ)を観ていて、創造主・セレスティアルズといえば、ピーター・クイル=スター・ロードの親父・エゴ(カート・ラッセル)もセレスティアル(天人)だったなぁ思い出していた。
11月19日(金)『兵隊やくざ 強奪』(1968年10月5日・大映京都・田中徳三)・『マイティ・ソー/バトルロイヤル』(2017年・MCU・タイカ・ワイティティ)
大映での最後の『兵隊やくざ 強奪』(1968年10月5日・大映京都・田中徳三)は、敗戦後の満州を舞台に、解放軍の10万ドル金貨を巡って、関東軍の元大尉・夏八木勲、美しき女スパイ・佐藤友美たちが争奪戦を展開。大宮と有田は、赤ん坊連れで、満州を彷徨う。軍隊喜劇からクライムサスペンスへ!
11月20日(土)『新・兵隊やくざ 火線』(1972年4月22日・勝プロ=東宝・増村保造)・『スパイダーマン/ホームカミング』(2017年・MCU・ジョン・ワッツ)
「兵隊やくざ」シリーズ最終作は、東宝=勝プロ作品。シリーズ初のカラー作品。宍戸錠さんVS勝新太郎さんのバトルが3ラウンドも!
昭和46(1971)年、大映が倒産。勝新太郎はホームグラウンドを失ったが、昭和42(1967)年に設立した勝プロダクションで、大映時代から映画制作を続けてきた。大映で最後の「座頭市」となった『新座頭市 破れ!唐人剣』(1971年・安田公義)や、プログラムピクチャー『片足のエース』(1971年10月2日・池広一夫)などを製作していた。大映倒産後は、東宝と提携して、大映京都撮影所のスタッフを起用して『座頭市 御用旅』(1972年1月15日・森一生)、兄・若山富三郎主演「子連れ狼」シリーズを次々とプロデュース。大映プログラムピクチャーの伝統を東宝のスクリーンで維持していた。
11月21日(日)『乾杯!東京娘』(1952年・大映東京・木村恵吾)・「アベンジャーズ/インフニティ・ウォー」(2018年・ルッソ兄弟)
11月21日(日)に、四国放送ラジオ「日曜懐メロ大全集」に久しぶりに特集コーナーに生出演します。「唄ふ映画スタア 岸井明」から11曲ご紹介、戦前のエンタティンメントについて語ります!13時台後半から15時台前半まで90分!番組には3時間で突っ張りかと^_^
13時の番組開始からスカイプ回線で徳島のスタジオと結んで生出演。13時台後半「唄ふ映画スタア 岸井明」コーナーで、岸井さんのキャリアや映画の魅力。ジャズソングの楽しさと、当時のアメリカ文化の話。戦時体制へと変わっていく時代の話などを1時間40分ほどお話しをしました。ご紹介した楽曲は次の通り。
M1 タバコやの娘 共演:平井英子(DISC1−20)
作詞:薗ひさし 作・編曲:鈴木静一 1937年5月20日
M2 ダイナ Dinah (DISC1-01)
作詞:上山雅輔(訳) 曲:Harry Akst 編曲:谷口又士 1935年12月10日
M3 月に告ぐ Get Out and Get Under the Moon (DISC1−05)
作詞:岸井明(訳) 曲:Larry Shay 編曲:上杉定 1936年6月20日
M4 唄の世の中(P.C.L.映画『唄の世の中』主題歌) (DISC1−08)
Music Goes Round and Round
作詞・佐伯孝夫(訳) 曲:Michael Riley, Edward J Farley's, Red Hodgson 編曲・鈴木静一 1936年8月20日
M5 僕は二人前 (DISC1−12)
作詞:岸井明 作・編曲:三宅幹夫 1936年11月20日
M6 理想の夫婦 共演:能勢妙子 (DISC2-02)
作詞:岸井明 作・編曲:三宅幹夫 1937年8月20日
M7 進軍スヰング (DISC2-04)
作詞:林高次 作・編曲:三宅幹夫 1938年2月20日
M8 ホノルル・ムーン Honolulu Moon (DISC2-06)
作詞:若杉雄三郎(訳) 曲:Fred Lawrence 編曲:鈴木静一 1938年6月20日
M9 代用品時代 (DISC2-12)
作詞:上山雅輔 作・編曲:鈴木静一 1939年3月20日
M10 海辺は楽し Kilakila o Haleakala (DISC2-14)
作詞:岸井明(訳) 曲:コエルホ 編曲:灰田晴彦 1939年6月1日
M11 世紀の楽団(フォックス映画『世紀の楽団』主題歌) Alexander's Ragtime Band(DISC2-15)
今宵の娯楽映画研究所シアターは、宮城野由美子さん主演『乾杯!東京娘』(1952年・大映東京・木村恵吾)。中野実原作の明朗喜劇。脚本も木村恵吾監督。東京・南青山の質屋の看板娘・ミキコ(宮城野由美子)は、締まり屋で質草の査定も厳しい。彼女は隣で開業医をしていて、しかも人気歌手。診察もそこそこに放送局のマイクの前で歌ったり。三つの稼業で大忙し。というわけで、手伝いの医者・シノハラ(三田隆)を頼むが、このシノハラはマイペースののんびり屋で気の良い男。彼女はたちまち惹かれるが、シノハラが下宿をしている駄菓子屋の娘・トシコ(香川京子)も彼にぞっこんで・・・
昭和27年の青山界隈、神宮、銀座のロケーションが楽しく。米山正夫作曲の主題歌「乾杯!東京娘」が効果的に使われて、さすが「狸御殿」の生みの親・木村恵吾監督の音楽映画センス!
何かあるとすぐメソメソ泣いてしまう「泣き虫」トシコのキャラが、この頃の香川京子さんにピッタリ。彼女がラジオの「のど自慢コンクール」に出場して唄うのが「乾杯!東京娘」。この時の司会者は、NHKアナウンサーの宮田輝さん! で、トシコが歌った曲なので、ヒロインのミキコは、このうたが大嫌い。でクライマックス、彼女が「乾杯!東京娘」を放送で歌うシーンがなかなかいい。
女でひとつで娘と息子を育てている香川京子さんの母を、浦辺粂子さん。宮城野由美子さんに懸想する製菓会社の専務に潮万太郎さん。潮さんのコメディアンぶりがなかなか楽しく。コケ方などはさすが!である。
宮城野さんも賀川さんも三田隆さんに恋しているので、嫉妬してのそれぞれの行動が、次の騒動を巻き起こす。佳作というほどではないが、こういう音楽喜劇が、気軽に見られるAmazonプライムビデオは本当にありがたい。子供の頃、夕方の邦画劇場でたまたま見つけた昔の映画に「お!」となったあの感じを、この配信時代に味わえるのが嬉しい!
連夜のMCU IMAX祭り。ディズニー+でIMAX版『マイティ・ソー/バトルロイヤル』(2017年・タイカ・ワイティティ)を一昨日、アマプラで通常版『スパイダーマン/ホームカミング』(2017年・ジョン・ワッツ)を昨日、そして今宵はやはりディズニー+でIMAX版『アベンジャーズ/インフニティ・ウォー』(2018年・ルッソ兄弟)をスクリーン投影。立て続けに観ることでそれぞれの作品のあちこちが繋がっていて、それを観ているだけでも楽しい。
『マイティ・ソー/バトルロイヤル』はソー三部作のなかで一番、カラフルで面白い。全体のテイストは明るいのだけど、実は、ソーが故郷を喪失してしまう悲劇でもあり、それが『アベンジャーズ/インフニティ・ウォー』の冒頭の、サノスによるアズガルド難民虐殺という大悲劇となってしまう。
『スパイダーマン/ホームカミング』は、『シビルウォー/キャプテンアメリカ』と『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でのアイアンマンとスパイダーマンの「叔父さんと甥っ子(ではないが)的な関係」がいい。トニーとピーターの関係は寅さんと満男のような感じ。そして「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」一行とアベンジャーズの出会いも楽しい。そこからは大変なことになっていくのだけど・・・
というわけでMCUを改めて観て、何を今更だけど、やっぱり面白い。作品論とか世界観を語るっていうことじゃなくて、子供のころ、「ウルトラマン」とか「仮面ライダー」を夢中になって見たあの感覚と体験に近い。観たそばから忘れるから、観るたびに新鮮なのもイイ(笑)