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娯楽映画研究所ダイアリー 2021年8月23日(月)〜8月29日(日)

8月23日(月)『やっちゃ場の女』(1962年・大映東京・木村恵吾)・『青春角力日記』(1938年・東宝・渡辺邦男)


『やっちゃ場の女』(1962年・木村恵吾)で、若尾文子さんが気合いを入れるべく、朝っぱらから築地の青果市場で、コップ酒をキューっと煽る。ヒロインに惚れてしまう瞬間! そのあと、やっちゃ場の活気に飲み込まれていくロングショットの多幸感。フラれたんだけど^_^ 若尾文子さん、叶順子さんの美しさ!昭和37年の築地・佃島・浅草風景が楽しめる東京映画探検!

今宵の娯楽映画研究所シアターは、岸井明さんと藤原釜足さんのスポコン映画のルーツ!『青春角力日記』(1938年・東宝・渡辺邦男)。地方の海辺の小さな町。親孝行で気の優しい六さん(岸井明)と、喧嘩っ早いが気が優しい勇さん(藤原釜足)。前半は、相撲好きの親父(小杉勇)の自転車店に住み込みの二人と、その家の娘(椿澄枝)たちのコメディ。


8月24日(火)『笑ふ地球に朝が来る』(1940年・南旺映画・津田不二夫)・『お嬢さん』(1961年・大映東京・弓削太郎)

二瓶正也さんの訃報
幼き日、最初に好きになった俳優さんです。
二瓶正也さんには、ウルトラマンの取材だけでなく、『ハワイの若大将』で一度だけ江口を演じたご縁で、自由が丘武蔵館でトークショーもご一緒しました。プライベートでもお世話になりました。岡本喜八監督『江分利満氏の優雅な生活』(1963年)も忘れられないです。
「ウルトラマン」第2話「侵略者を撃て」のイデ隊員、最高です。ご冥福をお祈りします。

『笑ふ地球に朝が来る』(1940年6月26日・南旺映画・津田不二夫)
戦前最後のジャズ映画!伝説のジャズマン、ボードヴィルを支えた芸人たちの宴!岸井明さんも! わずか50分の、この映画について5000文字で、ディティール解説を敢行! 戦時体制に向かっていくなか、これだけの演奏シーンが記録された奇蹟の作品!

『お嬢さん』(1961年2月15日・大映東京)
若尾文子さんが「お嬢さん」から「奥さん」へ。三島由紀夫原作の明朗篇。野添ひとみさんも可愛い!

8月25日(水)『フリー・ガイ』(2021年・ワーナー)・『純情の都』(1933年・P.C.L.・木村荘十二)

ようやく「フリー・ガイ」に辿り着きました。これから観ます。
「フリー・ガイ」面白かった!かなり気に入りましたよ!コロナ禍のリモート時代のファンタジーとして、意味と意義が大きいと思います。

ディズニー+「ホワット・イフ?」第3話。今回は大サービス。夏休みアベンジャーズ大会!しかも、まさかまさかの! 31分でこの密度。アニメのコールソン、相変わらず^_^ 声も本人たちがアテているので英語版で観るのが最高!

アマプラ「スタートレック ローワーデッキ」シーズン2。2話まで配信を一気に。30分なのに1時間のスタトレを観ている充実感。アニメのライカーのマッチョ感^_^ 面白いねぇ。明日は第3話!

今宵の娯楽映画研究所シアターは、P.C.L.第二作、木村荘十二監督『純情の都』(1933年11月23日)。昭和8年の東京、お茶の水にほど近い、アパートメントに住む、都市生活者たちの日常を「純情」を切り口に描いていく。フランスやドイツの音楽映画を意識した流麗な演出に酔いしれる。
これぞモダン東京の生態! 昭和8年の都会生活への映画探検。岸井明さんのタップダンス! 仰天のモダンな都市生活! 浅草松屋の屋内アミューズメントパーク!

8月26日(木)『現代悪党仁義』(1965年・日活・中平康)・『アマゾン無宿 世紀の大魔王』(1961年・ニュー東映・小沢茂弘)・『虹立つ丘』(1938年・東宝映画東京・大谷俊夫)

『現代悪党仁義』(1965年・日活・中平康)。日活映画黄金時代、ミステリー、サスペンス、コメディ、アクションなど多彩な娯楽映画で常にセンセーショナルな作品を連打していたアルチザン・中平康監督。昭和39(1964)年のエロティックな三部作『猟人日記』『砂の上の植物群』『女の渦と淵の流れ』から一転、宍戸錠の痛快アクション・コメディ『現代悪党仁義』(1965年2月3日)に取り組んだ。

世紀の珍作!片岡千恵蔵御大の『アマゾン無宿 世紀の大魔王』(1961年・ニュー東映・小沢茂弘)に驚愕中! いろいろ極まった大活劇! 進藤英太郎さんは、ニューヨークのマフィアから派遣された二世「ゴールドラッシュの熊吉」⁉️

岸井明さんと高峰秀子さんの「あにいもうと」のハートウォーミング・ドラマ『虹立つ丘』(1938年11月3日・東宝映画東京・大谷俊夫)は、53分の小品ながら大谷俊夫監督の手堅い演出による丁寧な作品。北條秀司さんと岸井良緒さんの原作を阪田英一さんが脚色。東京からほど近いリゾート地、箱根登山鉄道の強羅駅にほど近い、高級ホテル「強羅ホテル」で全面ロケーション。ほとんどのシーンをロケーションで撮影。昭和13(1938)年のまだ、おっとりとした空気のなかで、ひと夏の「運命の物語」が展開される。

8月27日(金)『踊り子日記』(1934年・P. C .L.・矢倉茂雄)・『八月生まれの女』(1963年・大映東京・田中重雄)

 これぞ!ニッポン・エンタテインメント! 『踊り子日記』(1934年3月15日・P. C .L.・矢倉茂雄)トップにP. C .L.「1934年度作品No.2」と出る。前年に発足したP. C .L.映画製作所の音楽映画としては『音楽喜劇 ほろよひ人生』(1933年8月10日・木村荘十二)、『純情の都』(11月23日・同)に続く第三作となる。今回の舞台は浅草六区のレビュー劇場。そこで働く、音楽家を目指す、進行さん・大川平八郎さん、恐妻家のサックス吹き・藤原釜足さん、バックダンサーの女の子たちの哀感を、さまざまなステージ・ショウを織り交ぜながら描いていく。ハリウッドのバック・ステージものの作り方で、リアルタイムの浅草レビューの舞台裏を活写しているのが何より。


アマプラ「スタートレック ローワーデッキ」S2第3話。ヴォイジャーのトム・パリスがアニメで登場! 今日はオリオン人ネタ炸裂! ディテールが面白すぎ! 来週も楽しみ^_^

 昭和38(1963)年の冬の東京。青年(宇津井健)のシトロエンに、由美(若尾文子)のスポーツカーが激突。気性の激しい「八月生まれの女」の由美は、自称プレイボーイの村瀬に激しい剣幕で捲し立てる。最悪の出会いをする男と女。ハリウッドのスクリューボール・コメディのような快調な滑り出し。田中重雄監督『八月生まれの女』(1963年2月19日・大映東京)は、脂の乗り切った若尾文子さんの魅力がたっぷり味わえる。いろんな意味でアベレージの作品。


8月28日(土)『たそがれの東京タワー』(1959年・大映東京・阿部毅)

『勝利の日まで』(1944年・成瀬巳喜男)。何処かにプリントは残っていないのかなぁ。フィルムセンター時代に澤田隆治さんのお声がけで立川談志師匠たちと19分の短縮版を観ました。円谷英二さんによる特撮で、砂漠で巨大化する岸井明さんに、アントラーの原点をみる思いでした。

大映歌謡映画『たそがれの東京タワー』(1959年2月18日・大映東京・阿部毅)『宇宙人東京に現わる』Blu-rayに同梱されているDVDで。


8月29日(日)『百萬人の合唱』(1935年・J .O.スタジオ=ビクター・富岡政雄)

阿佐ヶ谷ネオ書房で「佐藤利明の娯楽映画研究所SP・ザッツ・ニッポン・エンタテインメント!戦前篇」開催!

今宵の娯楽映画研究所シアターは、ビクターとJO合作音楽映画『百萬人の合唱』(1935年1月13日・J .O.スタジオ=ビクター・富岡政雄)。円谷英二さんがクレーンを駆使して、音楽会のシーンを撮影。この躍動感! 徳山璉さん「幸福な朝」に、楽屋のスターたちも大合唱。藤山一郎さん、小林千代子さん、市丸さん、勝太郎さん! 劇中、ヘレン隅田さんも歌ってタップ!



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佐藤利明(娯楽映画研究家・オトナの歌謡曲プロデューサー)の娯楽映画研究所
よろしければ、娯楽映画研究への支援、是非ともよろしくお願いします。これからも娯楽映画の素晴らしさを、皆さんにお伝えしていきたいと思います。