娯楽映画研究所ダイアリー 2022年5月2日(月)〜5月8日(日)
【佐藤利明の娯楽映画研究所】松竹オール特撮映画を語る
今回はイカすファンブック「ギララ・ゴケミドロ・昆虫・髑髏船 オール特撮大図鑑」と松竹特撮映画のディティールについて、同書に寄稿している切通理作さんと語り合います。
5月2日(月)『カリアンテ』(1935年・ワーナー)『クレージーのぶちゃむくれ大発見』(1969年1月1日・東宝・古澤憲吾)
昭和44(1969)年1月1日。加山雄三さんの若大将が京南大学を卒業し、日東自動車のサラリーマンとなった『フレッシュマン若大将』(福田純)との二本立て正月映画として公開。古澤憲吾監督としては『日本一の男の中の男』(1967年12月31日)以来、一年ぶりのクレージー映画となる。前年のゴールデンウィーク超大作『クレージーメキシコ大作戦』(1968年4月27日・坪島孝)の興行成績が、当初の予定よりも思わしくなかったため、クレージー映画もさまざまに変節してきた。
今宵はドロレス・デル・リオ&バズビー・バークレイ『カリアンテ』In Caliente(1935年・ワーナー)と、古澤憲吾『クレージーのぶちやむくれ大発見』(1969年)を観て「西城秀樹 THE50」DISC4「ザ・ベストテンⅡ」。「南十字星」の歌い出しに、TBSでADをしていた1980年代の想い出のさまざまが蘇る
5月3日(火)『ヴィナスの接吻』(1948年・ユニバーサル・ウイリアム・A・サイター)・『クレージーの大爆発』(1969年4月27日・東宝・古澤憲吾)
「西城秀樹リサイタル / ヒデキ・愛・絶叫!」はデビュー翌年、1973年11月7日の郵便貯金ホールの第2回コンサートライブ。ロックをシャウトするHIDEKIさんのグルーヴ感! 「スピニング・ホイール」「サティスファクション」「ダンス天国」!これがロックとの出会いとなった子も多かっただろう!
阿久悠&西城秀樹さんのコンビは「少年から青年へ」のイニシエーション。第2作「ジャガー」の曲名は、セルジオ・コルブッチのマカロニ『豹/ジャガー』(1968年)からのインスパイア。特撮、アニメ、映画主題歌を超えるカッコ良さ。曲そのものがアクション映画のようなアドレナリン歌謡曲
阿久悠さんはいつも「映画のようなスケール感」を自身の作品で表現しようとしていた。それには主演俳優のチカラが重要。西城秀樹さんは、そのスケールを二倍にも三倍にも拡げる表現者だった。だから「ジャガー」や「若き獅子たち」のようなシネラマサイズ、今でいうIMAX映画のような曲になったと思う。
ヴィレッジ・ピープルを西城秀樹さんがカヴァーした「YOUNG MAN」を初めて聞い時、10代の僕は戸惑った。原曲と方向性が全く違うからである。しかしHIDEKIさんたちが目指したのは、現代の若者への応援歌、人生を肯定する青春讃歌だと気付いたのは「ザ・ベストテン」を観てから。これはすごい曲だと!
ハリウッドのシネ・ミュージカル史縦断研究。5月3日(火)は、クルト・ワイルの名曲を散りばめた至福の作品、エヴァ・ガードナーとロバート・ウォーカー主演のファンタジックな傑作One Touch of Venus 『ヴィナスの接吻』(1948年10月28日ニューヨーク公開・ユニバーサル・ウイリアム・A・サイター)をアマプラでスクリーン投影。この映画はVHS→LD→DVDと繰り返し観てきた大好きな作品だが、日本語字幕で観るのはこの30数年で初めてかもしれない。
深夜の娯楽映画研究所シアター。クレージー映画全30作(プラスα)連続視聴。5月3日(火)は「ウルトラアポロ喜劇」と銘打たれた「クレージー作戦シリーズ」第13作にして、ある意味、究極の到達点でもある『クレージーの大爆発』(1969年4月27日・東宝・古澤憲吾)をスクリーン投影。改めてその面白さにひれ伏した!
5月4日(水)文化放送「くにまる食堂・西城秀樹さん特集」
「くにまる食堂 西城秀樹さん特集」悩みに悩んで10曲を選曲しました。放送中、沢山のツィート、メールありがとうございました
充実の2時間を過ごさせて頂きました!
ご紹介した楽曲です。
M1 恋する季節
M2ちぎれた愛
M3サティスファクション
M4ジャガー
M5若き獅子たち
M6ヤングマン(YMCA)
M7 33才
M8 ターンAターン
M9 蜃気楼
M10 ブルースカイブルー
本日の「くにまる食堂 西城秀樹さん特集」トークがテキストで読めます!
5月5日(木)『日本一の断絶男』(1969年11月1日・東宝・須川栄三)
5月5日(木)は、さまざまなコトやモノが大きく変化した”時代の変わり目”でもあった昭和44(1969)年11月、恒例のシルバーウィーク作品として公開された「日本一の男」シリーズ第7作『日本一の断絶男』を、アマプラの東宝チャンネルでスクリーン投影。前作『日本一の裏切り男』に続いて、須川栄三監督が登板。脚本は、大島渚監督の「創造社」に参加、大島作品の脚本を手がけ、テレビでは「ウルトラマン」「ウルトラセブン」「怪奇大作戦」を手がけていた佐々木守さん。これまた『〜裏切り男』に続いてのクレージー映画への参加。ラジカルさへのストッパー役として「無責任男」の生みの親でもある田波靖男さんがまとめ役となった。
5月6日(金)NHK文化センター「クレイジーキャッツの音楽史」第2回・『クレージーの殴り込み清水港』(1970年1月15日・東宝・坪島孝)・「スタートレック:ピカード」シーズン2最終回
本日、5月6日(金)19時からNHK文化センター青山「クレイジーキャッツの音楽史」第2回「戦後ジャズブームと7人の猫たち」講座です。当日ご参加も可能です。18時までにNHK文化センター青山で電話予約できます。
NHK文化センター青山「クレイジーキャッツの音楽史」講座。60分のラジオ番組収録もしているので、リスナーの皆さんをイメージしながら、ヴィジュアルが解るようにお話をします。90分の講座なので、ボーナストラックやアウトテイクもあります。トークライブとはまた違う緊張感。結構、心地良いですが
NHK文化センター青山「クレイジーキャッツの音楽史」第二回「戦後ジャズブームと7人の猫たち」。受講生の皆様、ありがとうございました。特濃でお送りしました。次回は5月20日(金)第3回「スーダラ節の衝撃」です。一回のみの受講も出来ます!
5月6日(金)は、NHK文化センター「クレイジーキャッツの音楽史」第2回「戦後ジャズ・ブームと7人の猫たち」講座を終えて帰宅後、久しぶりに『クレージーの殴り込み清水港』(1970年・坪島孝)をアマプラの東宝チャンネルでスクリーン投影。昭和41(1966)年の正月映画『無責任清水港』(坪島孝)から4年後に作られた完全な続篇。数あるクレージー映画でも、明確な続篇は珍しい。
「スタートレック:ピカード」S2最終話。Qの真の目的に触れるピカード。、ボーグ・クィーンと同化したジュラティ。そしてリオスの選んだ道。誰もが孤独だったのに「家族」の絆に救済される。時を超えて、全てを見つめていたガイナン。人間に戻り、またボーグインプラントにより永らえたセブン・オブ・ナインの役割。そしてまさかまさか!「時の旅人」となり、エンタープライズから旅立ったあの青年が!TNGの現在に涙!素晴らしい終幕!Qこそ全ての鍵だったのか!
「スタートレック:ピカード」シーズン2最終回。本当に素晴らしかった。ジャン=リュックが救えなかった「生命」と「後悔」ゆえに、あれだけ多くの生命体を危機から救い、銀河の平和を維持し続けてきた。封印してきた「過去」と対峙することで、さらなる「平和」と「安息」に。孤独だったQが、なぜジャン=リュックに悪戯をし続けてきたのか? 死を前にしたQが仕掛けた「罠」こそが、最高のプレゼントだった! 最強の敵、ボーグ・クィーンまでも「救済」してしまう今シーズンの展開は、TNGだけでなく、これまでの「スタートレック」を観続けてきたファンにとって最高のサプライズでもあった。
テレビシリーズが三十数年の時を経て、オリジナルの出演者たちによって、こうして「深化」したかたちで作られる幸福を噛み締めてます。
ウーピー・ゴールドバーグのガイナンの最後のことばも良かった。
ありがとう!ジャン=リュック!
ありがとう!パトリック!
5月7日(土)すみだトリフォニー「新日本フィル<映画音楽>コンサート2022」・『日本一のヤクザ男』(1970年6月13日・渡辺プロ・古澤憲吾)・『死霊のはらわたⅢ キャプテン・スーパーマーケット』(1993年・サム・ライミ)
すみだトリフォニーホールへ。新日本フィル<映画音楽>コンサート2022をカミさんと鑑賞。竹本泰蔵マエストロ指揮によるスクリーン・ミュージックの数々は、オリジナルの編曲に忠実に再現。それゆえ、僕らのなかに染み込んでいる「映画体験」を刺激してたまらない気持ちに。
第一部「イタリア・アメリカの名画たち」は、エンニオ・モリコーネ「アンタッチャブル序曲」(1997年)「ニューシネマ・パラダイス」(1988)。ニーノ・ロータ「ゴッドファーザー」サーガ組曲(1972〜1990)。そしてミクロス・ローザ「ベン・ハー」組曲(1959年)。どれも素晴らしい。特に「ベン・ハー」は、MGMスタジオオーケストラのムードが蘇って最高の音楽体験。
第二部「映像とともに楽しむ名画の名曲」はPD映画を上映しながらスクリーンに合わせて演奏。マックス・スタイナー『風と共に去りぬ』(1939年)を9分の組曲に。ジョルジュ・オーリック『ローマの休日』(1953年)は27分のダイジェスト映像に劇伴奏を重ねていく「追体験」スタイル。
5月7日(土)は、「人類の進歩と調和」の日本万国博覧会で沸き立つ昭和45(1970)年、二本目のクレージー映画。植木等さんの「日本一の男シリーズ」第8作にして、これが最後の古澤クレージー映画となった『日本一のヤクザ男』(1970年6月13日・渡辺プロ・古澤憲吾)を、スクリーン投影。映画界の斜陽に歯止めがかからなくなり、レジャーが多様化して、映画は庶民の娯楽の中心ではなくなっていた。
明日、念願の「ドクター・ストレンジ:マルチバース・オブ・マッドネス」を観るので、「ワンダヴィジョン」最終回を見直して、これからサム・ライミの「キャプテン・スーパーマーケット」を久しぶりに観るけど、この流れで、正しいの?^_^
5月8日(日)『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022年・MCU・サム・ライミ)・『ワンダー・バー』(1934年3月31日米公開・ワーナー・ロイド・ベーコン)・『日本一のワルノリ男』(1970年12月31日・渡辺プロ・坪島孝)
日曜日の午前中、待望の新作映画を観るために日比谷へ。小学校高学年のときと同じ感覚の58歳。本来なら初日の5月4日に観たかったのですが、仕事が重なり、ようやく今日になりました。というわけでサム・ライミ監督「ドクター・ストレンジ /マルチバース・オブ・マッドネス」を観ますよ!
昨日は「キャプテン・スーパーマーケット」(1993年)で、善と悪に分かれた2人のブルース・キャンベルの元祖マルチバースを懐かしく観たし^_^ IMAXでブルース・キャンベルに逢えるしね!
東宝シネマズ日比谷で「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」IMAX3D。さすがMCU!懐が深い!サム・ライミの世界大爆発!「死霊のはらわた」ファンも、マーベルファンも納得のめくるめくマルチバース!あのキャラも、このヒーローも!え?あ!と驚きの連続。しかもヴィランも含めて、これまでのキャラクターなので、アベンジャーズ一座版"Evil Dead''としても楽しめる。
物語の骨子が、乱暴に言えば「キャプテン・スーパーマーケット」に似ているのも嬉しい。あの時の「死者の書」がMCUの「ダークホールド」だったのかと!
「エージェントオブシールド」シーズン4で、その恐ろしさを描き「ワンダヴィジョン」で、ワンダが手にしてしまったThe Shiatra Book Of The Damnedであります。
ダークでホラーな展開は、男の子好みだけど、サム・ライミ監督のカラーをここまでOKにした、ケヴィン・ファイギは太っ腹だね!
なんといっても、ブルース・キャンベルのカメラ目線‼️
シャーリーズ・セロンもMCUに参入?
「ドクター・ストレンジMOM」の楽しさ面白さは「アーミー・オブ・ダークネス」がいっぱい出てくること。サム・ライミ映画を観ている喜びをMCUで味わえるとは!IMAX3Dは、眼の関係で立体視はできなかったけど、IMAXフル画角でのワンダーに次ぐワンダーなワンダでのワンダのバトルも含めて最高に楽しかった!
で、今日「ドクター・ストレンジMOM」を観ていて「あれ?」と思ったのは、MCUって「アース616」の世界だったの? 確か「アース199999」だったんじゃなかったっけ?
ハリウッドのシネ・ミュージカル史縦断研究。5月8日(日)は、バズビー・バークレイが油の乗り切っていた時期の”Wonder Bar”『ワンダー・バー』(1934年・ワーナー・ロイド・ベーコン)を米盤DVDでスクリーン投影。タイトルはドイツ語で「素晴らしい!」の意味のwunderbarを引っ掛けたもの。主演は『ジャズ・シンガー』(1927年・ワーナー)でトーキー・ミュージカルの時代の幕開けをしたアル・ジョルスン。花の都パリでナイトクラブ「ワンダーバー」を経営する伊達男。この「ワンダーバー」を舞台に、ある日、一夜の様々な客とパフォーマーたちの引き交々のドラマが展開する。
『日本一のワルノリ男』(1970年12月31日・渡辺プロ・坪島孝)
昭和45(1970)年、3本目のクレージー映画。坪島孝監督が初めて「日本一の男」シリーズを手がけた第9作『日本一のワルノリ男』(12月31日)をスクリーン投影。トップクレジットに「製作・渡辺プロダクション 協力・ジャックプロダクション」と出る。ジャック・プロダクションは田波靖男さんが脚本家・小川英さんと設立したプロダクション。クレージー映画ではあるが、植木等さんと加藤茶さんのダブル主演、谷啓さんの助演なので、当時は「クレイジーVSドリフ」映画のイメージが強かった。