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娯楽映画研究家「ブギウギ日記」 PART9

第24週「ものごっついええ子や」3月11日〜15日


「ものごっついええ子や」#1

1951年11月。「羽鳥善一2000曲記念ビッグパーティ」のサプライズ。実際には日劇でオールスターによる「服部良一2000曲記念ヒット・パレード」公演が行われた。ドラマはパーティ・スタイル。今日はバラエティ番組のような雰囲気。それもまた楽し。

善一ははしゃぎまくり、ポスターのデザイン選びをスズ子とりつ子に相談するも結局自分で決める。「こういうことからセルフプロデュースしないと」「先生があんなに楽しんでいるのに、私たちも楽しまなくちゃ」とりつ子。ならばと「余興」を提案。

それが「例のラインダンス」になるのは史実からわかっているのだけど、この世界線では、嫌がるりつ子をスズ子が巻き込んでの展開。しかも愛子の幼稚園のお遊戯からヒントを得て。先週末の感動編から、今日のリラックスムードへ。この振幅の大きさ!

パーティ当日。スズ子は「東京ブギウギ」、りつ子は「別れのブルース」を歌う。趣里の振り付け、笠置シヅ子さんの完コピからさらにオーバーアクトのスズ子スタイル。りつ子が歌い終わると指で合図。ドレスをパッと脱ぐ。

真赤なジャケットに黒いパンツ。ああ、これは「ゲットハッピー」のジュディ・ガーランドっぽいな。と思ったところでスズ子やダンサーたちが登場。「東京ブギウギ」のラインダンスとなる。渡米記念公演での男性ダンサーを従えてのスズ子の歌がジャック・コールの振付みたいだと、昔からのミュージカル仲間からのポストがあったけど、今日はまさに「ゲット・ハッピー」っぽい。ボーイッシュなスタイルで、ラインダンスを踊るスズ子たち。りつ子の動きがかわいい。今までにない表情!

りつ子「頭おかしくしなきゃ、こんなことはできません」。おかしいね。というわけで、リハーサルの回想シーンも含めて、今日はただただ「お祝いムード」でありました。ちなみに実際の記念公演のパンフはこちらです。

「ものごっついええ子や」#2

1955(昭和30)年6月、愛子は小学2年生。スズ子は愛子の八歳の誕生日パーティを盛大に開くも、近所の子供たちからは「有名人の子供」「変な大阪弁を使う」といじめられて寂しい思いをしている。マミーの溺愛が愛子には重荷。わかるわかる。

スズ子は子育ての悩みを羽鳥夫妻に相談。麻里は「子供なんてなかなか思い通りに育たないし」と明快。善一は僕は貧乏な魚屋に育ったから、福来くんのやり方に賛成だよ」と賛同するも「なんや、先生に言われると、全く力が湧きませんな」(笑)

昨日の「ビッグパーティ」のエピソードから一転。今日のスズ子は子育ての悩みで頭がいっぱい。ツヤと梅吉の写真に「お父ちゃん、お母ちゃん、ワテ、育てやすかったやろ」スズ子は良い子だったからねえ。しかし愛子はますます反抗的に。

これが誘拐騒動の伏線に。これは史実で、この頃「トニー谷愛児誘拐」など、有名人の子供が狙われる事件が多発していた。これもまた世相を反映した事件。史実では1954年3月の出来事。というわけで、いよいよ「ブギウギ」も最終コーナーに…

3月9日(土)からの娯楽映画研究家、大阪・神戸ツアーも昨夜の神戸映画資料館での「発掘映像上映」でクライマックス。今回の旅では色々な収穫がありました。今日は西宮の「さくらFM」収録。総括トークとなると思います。オンエアは14日(木)です。

「ものごっついええ子や」#3

「娘の生命が惜しければ三万円寄越せ」と犯人からの電話。スズ子と愛子の不仲の時に持ち上がった誘拐騒動。脅迫の手紙を見つけて取り乱すスズ子と大野。愛子は学校から帰らないまま。高橋刑事(内藤剛志)たちが福来邸にやってくる。

刑事たちテキパキ、カーテンを閉める。黒澤明『天国と地獄』(1962年)以来の誘拐物ではお約束の描写。それを先取り?(笑)若い刑事が「さすが芸能人の家だ」と嫌味。やだねー。でも愛子は、誘拐されたわけではなく、帰り道に男の子と話していた。

ボロボロの雑誌を読んでいる男の子。愛子の誕生日パーティの「鶏肉うまかったな、いいなあんなかあちゃんがいて」「よくない、あんなマミーいやや」。二人の貧富の格差。まさに「天国と地獄。ああ、そういうことか。しかし二人は意気投合、仲良しに。

一方、花田邸に犯人からの電話。犯人(水澤紳吾)も金に困った挙句の犯行であることが、挙動や服装でわかる。スズ子に聞かれてつい名前を言いそうになったり。さっきの刑事の「さすが芸能人のお宅だ」の思いも、犯人の動機も「天国と地獄」的な…

しかも愛子が仲良くなった男の子の父親が・・・という展開。子供に服も買ってやれない、漫画も買ってやれない、長く失業している男が金に困って… これが「誘拐騒動」の真相という訳。いかにも、戦後10年、昭和30年という感じでもある。

史実では、1955(昭和30)年、笠置シヅ子さんと服部良一先生は、毎月、NHKテレビ「ミュージカルショウ」で新作のオリジナル・ミュージカル番組に取り組んでいた。歌手引退を決意するのはその翌年の後半となるが、時代は大きく変わっていた。

3月22日(金) 神保町・書泉グランデで、脚本家・足立紳さんと娯楽映画研究家・佐藤利明の「トークショー」開催。「#ブギウギ」最終週に向けてのこの半年の総括。そして裏話などをたっぷりと語らいます!

「ものごっついええ子や」#4

小田島(水澤紳吾)から「日帝劇場ロビーへ3万円持ってこい」と電話。タケシが現場へ。今回は「誘拐騒動」の顛末。小田島は一人息子・ハジメと二人暮らし。妻を亡くして自分も病気がちで仕事がままならず、裕福なスズ子を脅迫。どこか懐かしい展開…

この既視感は?と考えたら「おそ松くん」にあった人情話系のテイスト。「罪を憎んで人を憎まず」的な物語は、昭和20年代から30年代の映画や漫画にある。犯人の息子と愛子が友達になる。という一見、安直な展開も、ああそうか。と納得。

内藤剛志の刑事もあえてステレオタイプ。しかし取調室でのカツ丼の2段オチ。犯人に温情で出したのかと思わせておいて、いきなり内藤剛志がカツ丼を食べ始める。「おいおい」の後に、上カツ重が小田島の前へ「いつか息子に食べさせてやれるように」…

そこに「おそ松くん」の温情話のテイストを感じる昭和30年代脳(笑)ともあれ「誘拐事件」ならぬ「誘拐騒動」は一件落着だが、深刻なのは愛子のマミーへの不信。小田島の息子がハジメと知った愛子「ハジメくんがいなくなったのは、マミーのせいや」

愛子の誕生パーティに、小田島とハジメも参加、その裕福さへの羨望が犯行動機となった。スズ子の愛子への溺愛ゆえの「誘拐騒動」だった。傷ついた愛子のケア、スズ子はどうする? それは明日のココロということで。

神田神保町・書泉グランデで、「#ブギウギ」脚本・足立紳さんと「#笠置シヅ子ブギウギ伝説」佐藤利明のトークショー開催。お申し込みはこちら!

「ものごっついええ子や」#5

誘拐騒動の後、愛子は三日間、学校を休んだまま。「行っても楽しいない、友達おらへんし」「ハジメくんがいい、やっと友達になれたのに」母娘関係はどんどん深刻に。大野さん、スズ子に「ほっときましょう」と貫禄。その通り。

羽鳥夫妻にスズ子は「歌うことでお客様に喜んでもらったり、少しだけ力になる思っていた」しかし犯人みたいな人たちには「どうなんやろう」それは難しい問題だと善一。余裕がある人間が作った音楽を、余裕がある人たちが楽しんでいるだけじゃないか。

善一は「実は僕たちなんか何も出来ないのかもしれない。ちょっとでもお客の暇つぶしになればいい」と思っている、と。そこで麻里が明快に「あなたもスズ子さんもベートーベンみたいに偉大よ」「だから、歌も子育てもいまのままでいい」いいこと言う!

愛子のためにできることは?スズ子、高橋刑事に相談。「わかりました」と言った後、高橋は「サインください」(笑)やがて高橋は小田島の息子・ハジメを愛子に合わせてくれる。ここからの展開がいい。愛子はハジメに素直に謝る。二人は本当の友達に。

「ごめんね」「遊ぼう」。それを見つめる大人たち。大野さん「親が子の背中を見て育つのかもしれません」確かにその通り。別れ際、ハジメがスズ子に「おばさん、有名人の子ってなかなか辛いらしいよ」と愛子の気持ちを伝える。ハジメの顔がいい。

「愛子、もしかしたらマミー、ちょっとだけ間違うてたかもしれないわ」と謝る。愛子は「せやけどハジメくん、許してくれたわ」このシーンはいいね。「ものごっついええ子や 愛子もハジメくんも」とスズ子。マミーも、大野さんも、タケシもええ子や!

いよいよ来週はライバルの少女歌手?登場。ファイナルまであと二週間。3月22日(金)書泉グランデで「#足立紳×佐藤利明トークショー」開催。最終週に向けてのドラマの舞台裏、そして笠置シヅ子さんの魅力をたっぷと!

第25週「ズキズキするわ」3月18日〜22日

「ズキズキするわ」#1

今週も足立紳脚本。「誘拐騒動」から一年、昭和31(1956)年秋。「もはや戦後ではない」と経済白書に書かれた戦後11年目、この年、石原裕次郎がデビューし、エルビス・プレスリーが「ハウンド・ドック」をリリース。「ブギウギ・ブーム」から九年経って…

愛子(このか)は友達も出来て「かけっこ」の選手になるべく練習中。よかったね。このまま愛子の成長のドラマを見続けたくなる。さて今週はこの年の「第7回紅白歌合戦」で笠置シヅ子が大トリを取り、緩やかに歌手引退をしていく史実に向かってゆく。

雑誌では鮫島記者と思しき「これからは水城アユミの時代」の記事。ブギのブームは下火と。ここでライバルの少女(とはいえないか)歌手の登場。誰もが「美空ひばり」を連想するが「ひばり・チエミ・いづみ」に代表される少女歌手の象徴としてだろう。

実際、笠置シヅ子さんと服部良一先生は「ブギ」だけではなく1952年の映画主題歌「七福神ブギ」なども歌っていたけど、1951年の「オールマン・リバップ」ではビバップ、「コンガラガッタ・コンガ」「ジャンケン・マンボ」などのリズム・ソングを連打。

さまざまなリズムに挑戦していた。1953年から55年にかけてはNHKテレビ「ミュージカル・ショウ」で毎月書き下ろしミュージカルを放送。精力的に活躍していた。なので時代が変わって「ブギが下火に」はドラマのロジック(それがわかりやすいし)

でNHKならぬ「丸の内テレビ」ロビーのテレビには「チロリン村とくるみの木」(1956年4月4日〜1964年4月3日)が流れている。スズ子は年末の「オールスター男女歌合戦」の大トリのオファーを受ける。ただしプロデューサー沼袋勉(中村倫也)のアイデアで…

トリ前を水城アユミ(吉柳咲良)を持ってきて「新旧の人気歌手」対決を仕掛けるという。沼袋勉のチャラチャラした業界人ぶりは、いかにもだが、沼袋勉の軽さは、民放各局が鎬を削る昭和30年代半ば以降の雰囲気。この頃のNHKはまだお役人タイプが多かった。

なので、この時代感覚は微妙。とはいえ、これぞ「テレビ屋」の軽さが欲しかったのだろう。鮫島記者同様、カリカチュアされれた業界人。打ち合わせを終えたスズ子。ロビーでなんとUSKのピアニストで大和礼子と結婚した股野(森永悠希)とばったり再会。

スズ子の尊敬する先輩・大和礼子(蒼井優)の葬儀以来、十八年の歳月が流れている。股野は、今ではタケシ同様、マネージャー業をしているという。そこへ「お父さん!」の声。なんと水城アユミは、大和礼子の遺児だった!これは納得、というか上手い!

このドラマでは誰々の母親が、この人だった! この子の父親が犯人だった!パターンがあるが、これはイイ。憧れの大和礼子の娘が、スズ子のライバルとして登場。礼子とスズ子のことを思えば水城アユミのキャラが際立つ。フィナーレに向けての盛り上がりにはぴったり。

「美空ひばり」をモデルにした少女に「セコハン娘」を歌わせるよりも、こちらの方がいい。史実から離れても、それが史実に近づく一歩である場合もある。今日のラストカット、スズ子に礼子のこの言葉が過ぎる。「あなた、どうして踊るの?」明日が楽しみ!

さてさて、いよいよ今週金曜、22日です。「#ブギウギ」脚本の足立紳さんと「笠置シヅ子 #ブギウギ伝説」著者佐藤利明のトークショーを神保町・書泉グランデで開催。前売申し込みは明日まで!(もちろん当日券もあります)。笠置シヅ子さんの歌唱映像など趣向を凝らします!

さてさて、いよいよ今週金曜、22日です。「#ブギウギ」脚本の足立紳さんと「笠置シヅ子 #ブギウギ伝説」著者佐藤利明のトークショーを神保町・書泉グランデで開催。前売申し込みは明日まで!(もちろん当日券もあります)。笠置シヅ子さんの歌唱映像など趣向を凝らします!

「ズキズキするわ」#2

水城アユミが大和礼子と股野の娘と聞いて「そったら偶然てあるんですね」と大野さん。そこへハジメと誘拐未遂犯・小田島が訪ねてくる。スズ子の「え、犯人?」がおかしい。でありえないことが起こるのがこのドラマ。

愛子はハジメとの再会に大喜び。「お前、明るくなったな」とハジメ。ありえない展開がなんだか楽しい。で、仕事の当てのない小田島に、スズ子はなんと庭師の仕事を頼む。しかしタケシは「なんで誘拐犯なんて雇うんですか?」スズ子は一言「義理と人情や」。

ここで少女時代にお母ちゃんが教えてくれたスズ子の「義理と人情」が発動。さらに久しぶりに再会した股野とアユミからは「オールスター男女歌合戦」でスズ子の前に「ラッパと娘」を歌わせて欲しいと頼まれる。なるほどそう来るか!の展開。

史実ではデビュー前の美空ひばりちゃんが前座で「セコハン娘」を歌わせて欲しいと頼んできたあのエピソードがこの世界線ではこうなるのか!水城アユミは敬愛する大和礼子の娘だけど「義理と人情」だけでは結論出せないよなぁ。羽鳥先生に相談しないと…

この展開は想像していなかった。喫茶店でのスズ子とアユミたちの様子をパパラッチする鮫島記者。やな奴だねぇ。心ここにあらずのスズ子に、愛子は「なんか悩みでもあるんか?聞くで」いいなぁ、愛子。案の定雑誌「真相婦人」の鮫島にスッパ抜きされて…

この騒動の顛末やいかに? 3月22日(金)書泉グランデでの「足立紳×佐藤利明トークショー」で、脚本の足立紳さんに「#ブギウギ」の舞台裏を伺います!そして「史実とドラマ」のマルチバースについて語り合います!

「ズキズキするわ」#3


さてさて、水城アユミは、存在は美空ひばりさんだけど、設定は江利チエミさん。お父様の久保益雄氏は戦前外国航路のジャズバンドのピアニスト。股野のモデルとも取れます。戦後は娘のマネージャー。その史実をうまく設定に。なので「ひばりさんだけどチエミさん」(笑)

水城アユミ(吉柳咲良)が「ラッパと娘」を歌うことを許諾するか、スズ子は結論が出せない。愛子は「マミー元気ださんとあかんで」と快活。いいね。羽鳥夫妻に相談するスズ子。「大先輩にそんなこと言えるなんてよっぽど気持ちが強いのね」と麻里。

善一は厳しい。「僕がいいって言えば、君はいいのかい?」「『ラッパと娘』は君と僕の歌なんだよ。君が歌ってこそ完成しているんだよ」「水城アユミが『ラッパと娘』を歌って君以上だったら、君は戻る場所がなくなる」

スズ子は結論を先延ばしにしているだけ。それがわかるから厳しい態度なのだけど、スズ子にはわからない。で、愛子の学年に転校してきた子がかけっこが早くて愛子は二位に。それが受け入れられない。でもハジメは「いいじゃねえか、負けたって」と明快。

愛子は、一生懸命走っても「負けるのは嫌や」。実はスズ子も同じ想い。今日のエピソードは「会話劇」。それぞれの気持ち、それぞれの想い。でもそれがズレていく。結論ありきだから、相談にもならない。それをピシャッと指摘するのが茨田りつ子。いいねぇ。

「あなた水城に歌わせたくないのに、それを先生に止めてほしい、そら先生もカチンとくるわ」とこれまた明快。「あなたは人気も声も落ちてきてロートル」「それを認めたくないだけじゃない」。弱さも衰えも自分に取り込みなさいと「あるがまま」であれと。

「ワクワクした気持ちがなければおしまいよ」。その言葉に「ズキズキ」胸が痛んでいたスズ子が立ち直る。これ、うまいなぁ。「ズキズキ」を「ワクワク」変える魔法のリズムが「東京ブギウギ」。そのココロをりつ子が思い出させてくれる。

「ワクワク」スイッチが入ったスズ子。りつ子に「もっと言ってください」「あなた本当のおバカ?」このやりとりおかしいね。どんなプレイやねん。衝動に駆られて喫茶店を出ていくスズ子。「すんませんご馳走になります」唖然とするりつ子。

「ズキズキ」が「ワクワク」に変わる瞬間をドラマで描く。見事ですなぁ。家に帰ったスズ子は水城アユミのレコードを探すが、持っていない。で、「ラッパと娘」をかけて、あの頃の「ワクワク」が蘇ってくる。これぞ「音楽映画」いや「音楽ドラマ」の真骨頂!

これが足立紳の脚本の良さ! 3月22日(金)書泉グランデでファイナルに向け、足立紳さんと佐藤利明のトークショーを開催。足立さんが選んだ笠置シヅ子さんの歌唱映像も上映!実はそこでサプライズ発表も!当日券受付11時から!

「ズキズキするわ」#4

今日は本当に素晴らしかった! 足の速い転校生に「かけっこ」で負けたくない愛子。水城アユミに「男女歌合戦」で負けたくないスズ子。「傷ついても逃げるな」か「悔しい想いをするなら逃げるのもよし」か。スズ子、大野さん、タケシ、それぞれの意見を交わす。

「逃げたら、そのことは一生忘られない」「負けるのが嫌で、負けて悔しい想いをするなら」逃げることもアリ。スズ子が人生で学んできたことでもある。だけど今は水城アユミと勝負することに「ワクワクし始めたんや」「怖い以上に楽しみや」

大野さんは「生きていくなかで大切なものは好奇心」。スズ子は「逃げてもええで、それはそれでいい経験になる」。やー、本当にそうだよなぁ。「逃げても、逃げなくても」どっちでもいいと。教育論としても正しい。というより僕たちにとってもそれが正論。

スズ子は羽鳥に「水城さんに「ラッパと娘」を歌う許可をいただけないでしょうか?」「この前のワテは卑怯者でした」とキッパリ。仕事も減り、身体が思うように動かなくなって「守り」に入ってたスズ子が自分の「ラッパと娘」を聞いてワクワクした、と。

水城アユミだったらどう歌うのか? 同じ舞台だと思ったら「ズキズキ、ワクワクしてきたんです」ああ、ここで「ズキズキ、ワクワク」の本質が!善一は「やっぱり、大したもんだねぇ、君は。大したもんだ」としみじみ最高の表情。視聴者の気持ちとリンク。

これが「東京ブギウギ」の「ズキズキ、ワクワク」のココロでもある。で水城が「ラッパと娘」を歌うなら、鈴子は愛子のために「ヘイヘイブギー」を歌うことにした、と。これまた歌の「ココロ」とリンク。「あなたが笑えば、私も笑う」愛子のための曲である。

「第7回紅白歌合戦」で笠置シヅ子さんが大トリで「ヘイヘイブギー」を歌った史実に向かって、このドラマ作り。やー、足立紳脚本、大団円に向けて見事、お見事であります。明日の書泉グランデでのトークショーでは、そのあたりのお話もぜひ伺いましょう!

3月22日(金)スズ子が水城アユミと「男女歌合戦」で歌う当日。足立紳さんと佐藤利明が「ブギウギ」ファイナルに向けてのトークイベントを開催。笠置シヅ子さんの秘蔵映像もご紹介!是非是非!


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佐藤利明(娯楽映画研究家・オトナの歌謡曲プロデューサー)の娯楽映画研究所
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