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娯楽映画研究所ダイアリー 2021年7月19日(月)〜7月25日(日)

4月19日(月)『妖怪百物語』(1968年・安田公義、特撮監督・黒田義之)・『白い炎』(1958年・松竹大船)

角川シネマ有楽町「妖怪・特撮映画祭」で、待望のデジタル4K修復版『妖怪百物語』(1968年3月20日・安田公義、特撮監督・黒田義之)を観る。

幼き日、銀座大映で『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』(大映東京・湯浅憲明)と二本立てで観た想い出の作品。この年、1月3日に始まった水木しげる先生のアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」で夢中になっていた妖怪たちが出てくる映画ということで、観る前から大興奮。映画館に貼ってあったロビーカードの妖怪たちは、恐ろしく、だけど魅力的だった。


今宵の娯楽映画研究所シアターは、番匠義彰監督研究。井上靖原作のメロドラマ『白い炎』(1958年3月4日・松竹大船)。カラーの大作『オンボロ人生』(1月29日)からわずか1ヶ月後の封切というハイペースに驚くが、戦後日本映画黄金時代の中でも映画人口が11億2千万を突破した年でもあり、それがデフォルトだったのだろう。

7月20日(火)『夜のひとで』(1967年・松竹大船・長谷和夫)・『喜劇 逆転旅行』(1969年・松竹大船・瀬川昌治)・『新家庭問答』(1958年・松竹大船・番匠義彰)

ラピュタ阿佐ヶ谷「蔵出し!松竹レアもの祭」で、長谷和夫監督『夜のひとで』(1967年9月2日・松竹大船)をピカピカのプリントで!

原案・脚本は植草圭之助さん。東映からフリーになったばかりの三田佳子さん主演による「異色のアート・エロティシズム大作!」(当時のキャッチコピー)。

ラピュタ阿佐ヶ谷「蔵出し!松竹レアもの祭」で、瀬川昌治監督の人気シリーズ第三作『喜劇 逆転旅行』(1969年8月9日・松竹大船)を綺麗なプリントで大爆笑のうちに鑑賞。

東映で瀬川昌治監督が、舟橋和郎原作・脚本、渥美清さん主演で撮った「喜劇列車シリーズ」が、企画ごと松竹にお引っ越し。フランキー堺さん主演の「旅行シリーズ」にリニューアル。昭和43(1968)年末に封切られた第一作『喜劇大安旅行』は、もともと渥美さん主演の東映「喜劇新婚列車」企画がスライドしたもの。

今宵の娯楽映画研究所シアターは、番匠義彰監督のスクリューボール・コメディの快作『新家庭問答』(1958年11月3日・松竹大船)。モノクロ、松竹グランドスコープ作品。

新派で上演された中野実さんの戯曲「第二の家庭」を名手・斎藤良輔さんが脚色。『花嫁の抵抗』で快調の番匠義彰監督が、ハリウッド喜劇のようなウエルメイドで楽しいコメディに仕上げている。ヒッチコックの『裏窓』(1954年)にインスパイアされた「のぞき」がきっかけで、聖人君子の夫の浮気が発覚。妻と愛人が対峙、関係者一同ディスカッションをして出した結論とは?

7月21日(水)『ミニミニ突撃隊』(1968年・松竹大船・梅津明治郎)・『スチャラカ社員』(1966年・松竹大船・前田陽一)・『むすこ大学』(1956年・松竹大船・番匠義彰)

ラピュタ阿佐ヶ谷「蔵出し!松竹レアもの祭」で梅津明治郎監督、西野バレエ団と松竹提携『ミニミニ突撃隊』(1968年3月16日)に突撃! ピカピカのプリントで、皆さんの美しい御御足が眩しい!

金井克子さん、由美かおるさん、原田糸子さん、奈美悦子さん、江美早苗さんの「レ・ガールズ」五人組をフィーチャーした青春音楽コメディ。ゴーゴー全盛(サイケ前夜)のゴキゲンな若者風俗を取り入れての企画。西野バレエ団と松竹としては、由美かおるさんの『レッツゴー!高校レモン娘』に次ぐ作品。

ラピュタ阿佐ヶ谷で前田陽一監督の怪作『スチャラカ社員』(1966年・松竹大船・前田陽一)を堪能。宮川左近ショーをフィーチャーしたクライマックスは脳天直撃!延々5分以上も(体感時間^_^)師匠が歌い続ける。その間、ルーキー新一さん、南道郎さんたちが、スパゲティやコーラを使っての無茶苦茶なスラップスティックシーン!

今宵の娯楽映画研究所シアターは、番匠義彰研究で監督第二作『むすこ大学』(1956年1月8日・松竹大船)

石濱朗さん主演の「坊ちゃん」バリエーションの青春喜劇。戦前の小津安二郎監督の『大学は出たけれど』(1929年・松竹蒲田)と同じテーマ。田舎の親父の期待を背負って、大学は出たけれど、花の東京でも不景気で就職が見つからず、結局は洋食屋の見習いコックとなる主人公。しかも、息子への期待を胸に上京してきた父が、その現実を知って・・・ と基本は同じ物語だが、そこは番匠義彰監督。現代的なツイストを加えて、戦後派若者の素直な感覚をストレートに描いていく。

7月22日(木)『駄々ッ子社長』(1956年2月12日・松竹大船)

ザムザ阿佐ヶ谷「本宮映画劇場まつり」。2時間を超える、ヘルスセンター的な催し物を堪能。デリシャスゥイートス→タブレット純さん→寒空はだかさん→都築響一さんVS田村優子さん対談→㊙️映像上映と、盛り沢山なショウ。いかがわしさと愛おしさ!最高に楽しかった!

司会進行は山田広野さん。名調子で㊙️映像説明も! 最後はみんなで「ウンジャラゲ」^_^ 最高の出版記念イベント!

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今宵の娯楽映画研究所シアターは、番匠義彰監督研究。監督第三作、大木実さん主演のサラリーマンコメディ『駄々ッ子社長』(1956年2月12日・松竹大船)

石原裕次郎さんが登場する直前、若い女性に大木実さんがなぜ人気だったのかが分かる。豪放磊落、そしてさっぱりした性格(の役)、鈍感だけど繊細で優しい。不正には断固として怒り、立ち上がり、時には鉄拳制裁も厭わない。よく食べるし、よく笑う。そんなスクリーンイメージがあるが、その原点の一つが本作。

7月23日(金)『ここに幸あり』二部作(1956年3月28日・松竹大船・番匠義彰)

こうなると意地でも五輪中継は見ないし、ラジオもアナウンサーのテンションが変わった途端に切ることに。怪獣映画や喜劇映画を観て暮らしますよ。

今宵も娯楽映画研究所シアターは、番匠義彰監督研究。産経新聞連載の富田常雄さんの小説の映画化。大津美子さんの同名主題歌が一世を風靡した、(当時のお客さん)感涙の大メロドラマ『ここに幸あり』二部作(1956年3月28日・4月4日・松竹大船)をタップリと。

原作者・冨田常雄さんといえば、戦時中「姿三四郎」(1942年)で流行作家となり、戦後も「刺青」(1949年)など映画化作品が多い。というより、ヒットメーカーとして映画界は、小説連載中に映画化権を抑えることが多かったという。

五輪開会式を一切観ずに「怪獣大戦争」→「ここに幸あり」(1965)→「大学の山賊たち」(イマココ^_^)

7月24日(土)『血とダイヤモンド』(1964年・東宝・福田純)『独立愚連隊』(1959年・東宝・岡本喜八)・『楽天夫人』(1956年6月15日・松竹大船・番匠義彰)

福田純監督『血とダイヤモンド』(1964年)を観ていると、この世界に怪獣が登場したらものすごく面白い映画が出来るような気がする。数多くの登場人物の出入りが見事で、しかも全員一筋縄ではいかない。この男たちの欲望の渦に怪獣が出てきたら? あ、本多猪四郎監督の『宇宙大怪獣ドゴラ』(1964年)がそうだったか!

今日は佐藤允さん研究で、ホームシアターで『みな殺しの霊歌』(1968年・松竹・加藤泰)、『100発100中 黄金の眼』(1968年・東宝・福田純)、『血とダイヤモンド』(1964年・東宝・福田純)、『独立愚連隊』(1959年・東宝・岡本喜八)を立て続けに見た。やっぱり和製リチャード・ウィドマーク! その魅力は、本日、ラピュタ阿佐ヶ谷での佐藤闘介さんとのトークで、たっぷりと語ります!

今宵の娯楽映画研究所シアターは、番匠義彰研究。淡島千景さんと大木実さんの倦怠期の夫婦の危機をユーモラスに描いた『楽天夫人』(1956年6月15日・松竹大船)。戦前、成瀬巳喜男監督の『妻よ薔薇のやうに』(1935年・PCL)や、戦後は『お景ちゃんと鞍馬先生』(1952年・松竹)、ひばり・チエミ・いづみの『ジャンケン娘』(1955年・東宝)などの原作を手がけてきた中野実さんのユーモア小説。

7月25日(日)「みな殺しの霊歌」(1968年・松竹大船・加藤泰)・『東京チャキチャキ娘』(1956年8月14日・松竹大船・番匠義彰)

佐藤允さん、佐藤闘介さん、時空を超えてラピュタ阿佐ヶ谷でトークイベント。傑作をニュープリントで!

本日のトークのご報告と、作品レビューPART1です。

今宵の娯楽映画研究所シアターは、番匠義彰研究。中村メイコさん主演、杉浦幸雄さん原作「週刊東京」連載の漫画を、三木鮎郎さんがラジオドラマに脚色した人気番組の映画化『東京チャキチャキ娘』(1956年8月14日・松竹大船)を久々に。22歳の若さ弾ける中村メイコさんのコメディエンヌぶりが楽しめる66分、モノクロの小品。

この年の年末、12月12日に、江利チエミさんが東宝で、長谷川町子さんの『サザエさん』(青柳信雄)に主演して、人気シリーズとなるが、それに先駆けて作られた明朗漫画の映画化作品。昭和30年代に入って、黄金時代となる映画界は、人気漫画を次々と映画化することになる。



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佐藤利明(娯楽映画研究家・オトナの歌謡曲プロデューサー)の娯楽映画研究所
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