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太陽にほえろ! 1973・第61話「別れは白いハンカチで」

この原稿は、事件の核心、物語の展開について詳述しております。ネタバレ部分もありますのでご注意ください。

第61話「別れは白いハンカチで」(1973.9.14 脚本・田波靖男、四十物光男、小川英 監督・山本迪夫)


永井久美(青木英美)
柴田たき(菅井きん)
村岡房江(浜美枝)
松山栄(黒部進)
土井(内田勝正)
土田(宮口二郎)
麻薬取締官(中島元)
菊池英夫(影山龍之)
田川恒夫
トラック運転手(小沢直平)
岡本隆
鴨志田和夫
謎の女(恵<フィーミー>美)
沢井庄吾(川合伸旺)
チンピラ(戸塚孝・NC)
青竜会組員(大宮幸悦・NC)

 浜美枝さん演じる麻薬捜査官・村岡房江が、マカロニ篇の第4話「プールサイドに黒いバラ」(澤田幸弘)以来、1年ぶりに二度目の登場。今回は純情かつ直情径行型のジーパンに振り回されながら、国際麻薬シンジケートをめぐる秘密捜査を進めていく。

 予告篇の小林恭治さんのナレーション。
「某国領事館を通じて、大量の麻薬が流れ込んできた。大掛かりな麻薬組織を摘発するため、日本に舞い戻った麻薬捜査官・房江。彼女を組織の女ボスと間違えたジーパンは、アジトへの潜入を企てる。しかし身元がばれ、残忍なリンチに遭う。ジーパンの身の安全を心配する彼女の立場は、いよいよ窮地に立たされるのであった。次回『別れは白いハンカチで』にご期待ください」

 羽田空港。ジーパンは、手配の男を探している。長さんもターミナルに。タクシーで降りてくる青竜会・菊池英夫(影山龍之)を逮捕しようとするジーパン。逃げ出す菊地、追うジーパン。駐車場には白いスーツの村岡房江。ドスを振りかざす菊地を素手で捉えたその瞬間、房江はジーパンの後頭部を殴る。菊地「あんたは!」「早く逃げて」と房江は逃す。手から血を流して気を失っているジーパンの手当をして、房江は去ってゆく。長さんに起こされ、我に帰るジーパン。「仲間がいたんですよ」。

 一係。ボスに状況を説明するジーパン。気絶する直前にハイヒールが見えたのだ。「驚きだね女とは」と山さん。「しかしすげえ女がいるんですね」と感心するジーパン。自分のせいだと謝る長さん。「入れ違いに車が出て行った」と、記憶ははっきりしないが運転していたのは女だった・・・。しかもクルマは外交官ナンバーだった。

 菊地は大麻の原産地「チャンライ」に渡航する予定だった。「しかし、大使館が絡んでいるとなると、下手すりゃ、これは国際問題だ」とボス。ジーパンは自分を手当てしたハンカチの匂いが手がかりになると。そこへ久美が「私が鑑定してあげる」。相当な高級品だと久美。それを手がかりに菊地の行方を探すことに・・・。

 ジーパン、ハンカチの匂いを頼りにチャンライ国領事館へ。房江の運転する外交官ナンバーのクルマが領事館から出てくる。タクシーで房江のクルマを追うジーパン。しかし渋滞に引っかかり、降りて追う。ジーパン走る、走る、走る。しかし見失ってしまう。房江のクルマには、怪しげな男(黒部進)が乗っている。『キングコングの逆襲』の悪役同士!である。「ウルトラマン」のハヤタ隊員も、刑事ドラマでは悪役の常連となっていく。

 房江は「タクシーは巻くことができた」と安心しているが、ジーパンはトラックをヒッチハイクして追跡を続けている。トラック運転手(小沢直平)は「どんな悪い奴が乗ってるの?」と楽しそうである。ジーパン「強盗殺人、前科三十六犯というすごい奴さ!」とテキトーなことを言う。田波靖男脚本なので、こうした笑が散りばめられている。

 ホテル・プレジデントで房江は、松山を降ろす。ジーパンはクルマを見逃してしまい、フロントで男のことを訊ねる。

一係。ボスに報告するジーパン。空港での女だと確認できなかった。「そばに行けなかったもので」「?」「匂いを嗅げなかったもので」と。ジーパン「もう一度見つけて、必ず、彼女の匂いをかぎます!」。そこへゴリさん「うー、腹へった」と入ってくる。どこまでもプログラムピクチャーのように明朗な田波、四十物脚本。

 房江のクルマから降りた男は、松山栄(黒部進)。チャンライ在住の日本人。ゴリさんが調べていた麻薬関係のリストにその名が。三年前まで商社に勤務していたが大麻の不法所持で逮捕され、会社をクビになっていた。ゴリさんとジーパンは、松山を尾行することに・・・

 チャンライ国領事館から出てきた松山はタクシーに乗る。ゴリさん、ジーパンの覆面車が追跡する。喫茶店で松山は青竜会の幹部・土田(宮口二郎)と密談している。取引方法は、領事館の秘書が同行するので「彼女と打ち合わせしてください」。土田は「確かなんだろうな、あの女」「忘れちゃ困りますね。この間、お宅の菊地さんを助けたのは彼女ですよ」。そのやりとり遠くの席で見ているゴリさんとジーパン。ゴリさんは土田が青竜会の中堅幹部だと知っていた。これで松山が麻薬の仲買人であることは確実となった。

 ゴリさんはボスに電話報告に。ジーパンが見張っていると、松山が土田にサンプルの大麻入りタバコをチェックさせている。立ち上がるジーパン。二人に近づく。「おい、今のタバコ、こっちにもらおうか。誤魔化してもダメだ。中身は麻薬だろう?」。逃げ出す土田を追うジーパン。しかし松山に邪魔されてしまう。ジーパン、松山を巴投げ! 松田優作VSウルトラマン! それでも逃げる松山は階段を降りて下へ。しかしジーパン、上から叫び声と共に飛び降りて、松山に飛びかかる。まるで怪獣を戦うウルトラマンみたい! そこへゴリさんが来て、松山を逮捕。ジーパン血だらけ。「大丈夫か?」我に帰ったジーパン、血をみて「あーあ」

 夜、柴田家。母・たきに手当してもらいながら 「痛い!」を連発するジーパン。「意気地なし、一人前の刑事だろ?」「刑事だって、痛いもんは痛いんだよ」(笑)微笑ましい母子のシーン。

 絆創膏だらけの顔で、七曲署に出勤するジーパン。恥ずかしいから絆創膏をとって署内へ。そこへ山さんが残念そうに出てくる。延長期限が切れて証拠不十分で松山は釈放されることに。松山はジーパンに「本来なら、こっちが訴えるとこだけど、まあ、過ちは誰にでもある。今回だけは見逃してあげますよ」と太々しく言い放つ。「全く久しぶりの日本だと言うのに、全くひどい目にあったよ。まるでどっかの国の秘密警察みたいだ」と吐き捨てるように、出ていく。

 ジーパンは「なぜ釈放したんですか?」と山さんに食い下がるが、上からの命令で仕方なかったのである。しかしジーパンは納得がいかない。絆創膏が残るジーパンの顔を見て、殿下「電信柱の選挙ポスターみたいだな」。笑うゴリさん。ジーパンの怒りがさらに爆発!「ゴリさん、よくそんな風に笑ってられますね」。ジーパン以外の一係の刑事たちは、松山釈放に関して、何かを飲み込んでいるようである。「みんな、どうしちゃったんですか?一体!」。ボスが会議室だと聞いて、ジーパンが勢いこんで向かう。

 会議室では、ボスと房江が和やかに談笑している。ジーパンの手にハンカチが巻かれていたことで、犯人はそんなことするはずはないとボス。「本当はそんなことをするべきではないんですけど、でもあの刑事さん、あんまり一生懸命な顔で倒れていたもんですから、つい・・・」と笑う房江。

 そこへジーパンが入ってくるが「あ、お客さんですか、どうも失礼」と出て行こうとする。しかし、鼻をクンクンさせて「この匂いだ!」房江の顔を見て「この人ですよ」ボスは房江が厚生省の麻薬取締の村岡捜査官であると紹介する。「捜査官ならどうして、俺の邪魔をしたんですか?」「いいえ、邪魔をしたのはあなたの方よ」。菊地や松山は、トカゲのしっぽみたいなもの、本体を捕らえるために、今、手を出してもらっては困ると房江はキッパリ。「松山栄はチャンライの政府高官にうまく取り入って、外交官特権を利用して麻薬を日本に持ち込もうとしてるんです」。なので房江は半年前からチャンライの領事館に秘書として潜入して、情報収集をしていた。

 ようやく松山の橋渡して青竜会との取引が始まるところに、ジーパンが飛び出してきてかき回してしまったのだ。ボスにそう言われて、納得するジーパン。本格的な取引はこれからだと房江。なので「今後一切、余計な手を出さないでください」と釘を刺される。

「そういえば、去年、ここでお目にかかった若い刑事さん」
「マカロニですか?」
「ええ、亡くなられたんですってね」
「可哀想なことをしました」
「今度の人も無茶をしなければいいけれど・・・」
「あなたが言うことじゃないでしょう。無茶はお手の物のはずだ」
「それはおたがいさま」

 再び、ジーパンが会議室に入ってきて「傷の手当をしてくれて、ありがとうございました」と礼を言う。

 真夏の伊豆あたり。青竜会会長・沢井庄吾(川合伸旺)の別荘・通称は青竜山荘。松山、房江、土田、沢井が密談をしている。沢井「しかしまあ、警察もよく釈放してくれたもんだ」。「何も知らないで押し通しましたよ」と松山。麻薬は今度着任する外交官の荷物と一緒に、船で運んでいる。その荷物を房江が受け取って、この別荘に届ける算段になっている。そこへ土井(内田勝正)が「車の用意ができました」と松山を送ることに。去り際、沢井は「十分気をつけなさい」。何か不穏なものを感じる房江。

 松山の乗ったクルマ。時計の音が車内に響いている。「バカに大きな音のする時計だね」。運転する土田「まさか?」その瞬間、クルマは大爆発! 流石にこのシーンはミニチュア撮影。でも黒部さんには特撮シーンがよく似合う(笑)

 夜、酔っ払ったゴリさんを家に連れて帰るジーパン。「ゴリさん。酒弱いねぇ」「な、悔しいだろ、だけどもじっと我慢の子でいる。それが我々サラリーマン刑事の心意気だよ」。ボスが厚生省の言いなりになっているのは面白くないゴリさん。なぜかジーパンが擁護する。房江の肩を持ちたいのだ。

 それでもゴリさん、ジーパンが傷だらけになって逮捕した松山を、厚生省の指示で釈放したから殺されてしまったんだ!と酔いに任せて不満をぶちまける。やがて柴田家へ。「どうもご馳走様になりまして」と母・たき。ジーパン「いいんだよ。お礼なんか言わなくたって。どうせ割り勘だったんだから」(笑)

 そこへボスから電話。「殺し?」ゴリさんボスに「ええ、酔ってませんよ」。キャメラがパンをするとゴリさん靴のまま柴田家へ(笑)現場へ急行するジーパンとゴリさん。ジーパン、酔ってるので青色吐息。しかしゴリさん、さっきまで千鳥足だったのに事件と聞くと、大張り切り。微笑ましい笑いが続く。

 現場では、なんと菊地の絞殺死体が! 針金で首を絞められて現場に運ばれてきたようだ。松山、土田、菊地・・・今回、七曲署の刑事に顔を知られた関係者が次々と殺されている。「あの時、逮捕していれば、やられることはなかったんだ」と悔しいジーパン。その時、ジーパンは「そうだ、あの人が危ない!」と房江のことを思う。

 捜査一係。ボスは「確かにこれは口封じのための殺人だ」と認めた上で「彼女に構うな」とジーパンに告げる。ゴリさんは「こいつは殺しですよ」と、麻薬の件は厚生省に任せて、青竜会による殺人だけでも自分たちで捜査したい。それは殿下も同じ気持ちだった。しかしボスは「ここで騒ぎ立てたら、松山を釈放した意味がなくなる。松山を釈放するまで青竜会には触るな」と厳命する。

 プラネタリウム。ボスの横に「空いてます」と房江。「探している星は見つかりましたか?」「あと一息。惑星ははっきりしてきたんですけど、その惑星がどの恒星の周りを回っているかが問題なんです」「こっちはその惑星に向かって、ロケットをぶっ放したい連中を抑えるのに苦労してますよ」「すいません」「しかしあなたも十分に気をつけて。役に立たないとわかったら、自分の部下でも平気で殺す連中ですよ」「わかってます」「うちの救援ロケットはいつでも発射できます」。なかなか粋な会話。スパイ映画みたい。

 横浜埠頭。バー「挽歌」で「この辺でヤクを買ってくれるところはないか」とバーテンに声をかけるジーパン。店内BGMは「太陽にほえろ!」バーテンに断られる。「困ったなぁ、ヤクを売った金が入らないと、ここの勘定が払えないんだけどなぁ」次のシーンで、店を放り出されるジーパン。今回は、毎回シーンにオチがつく。コメディ映画の話法で作られている。

 次のカットから連続して、ジーパンが放り出されるシーンが続く。これもコメディの手法。やがて埠頭を歩いていると、やくざが取り囲んで「お前か、ヤクを売りたいって言ってるのは?」と取引を持ちかける。「いくらだ?」「五千万だ」「ふざけやがってこのヤロー」。ヤクザたち、ジーパンを襲うが、いつものようにジーパンが、みんなをボコボコにする。「お前らのボスのところに案内しろ!」

 青竜山荘。房江が青竜会会長の沢井に仕事の前に聞きたいことがある、と。「どうして松山さんを殺したんです?」「(自分たちを)引き合わせることで用は済んだんです」。土田と菊地は警察を介入させる重大ミスを犯したから殺したと非情な土井。「あんたもミスをしないように気をつけるんです」。ヤクザは怖いね。

 そこへ土井が、ヤクを売りに来た若い男=ジーパンの件を伝えにきて、沢井は房江から離れる。「おかしいぞ、あの女だ。あの女と会うようになってから、急にサツが動き出した。」「じゃ、ヤクを売りに来たのもデカ?」「その男を、ここへ連れてこい」。

 「その男も捜査官で、あの女もそうだとしたら、きっと連絡を取り合うに違いない」。ジーパンは目隠しされて別荘へクルマで連れて行かれる。沢井の前で目隠しを取られるジーパン。「へえ、あんたが女ボス?」。で、結局、ヤクザ相手に大暴れ。そのジーパンを軽くノシてしまう房江。おかげで沢井の信用を得たようだ。

 捜査一係。母・たきからジーパンが「昨夜から帰ってきてない」と電話。ジーパン行方不明の話題で持ちきり。山さんは「あいつまさか、一人で青竜会へ?」。そこへボス、厚生省の麻取から、昨夜、麻薬を売り歩いていたヒッピー風の若い男が、青竜会のチンピラといざこざを起こして、どこかへ拉致されたと連絡があったと。「ジーパンの野郎!」「あいつならやりかねないぞ」。山さん「いかんな、そんなやり方じゃ、デカだと宣伝しているようなもんだぞ!」。一係は、とにかくジーパンの行方を探すことに。

 長さん、殿下、聞き込みを始める。ゴリさんは青竜会の事務所へ乱入して大暴れ。山さんは厚生省の麻取へ、麻薬取締官(中島元)は「責任持てませんな。我々は」と呆れ顔。「誠にどうも無茶な奴でしてね」と山さん。心の底から謝っていないで時間を稼いでいる感じがおかしい。「いいお茶ですなぁ」とおべんちゃらを言ったり。「山村さん。彼はうちの捜査官と同じ場所に連れて行かれたんです。場所は言えませんが・・・」「ええ、それはわかってるんですよ。彼の連絡でね」とカマをかける。結局、捜査官「あの青竜山荘のあたりはね・・・」と場所を言わせてしまう。山さん、うまいね!

一係の全員、青竜山荘へ向かう。

 青竜山荘。沢井は房江に「そろそろブツを持ってきてもらいましょうか?」「結構ですわ」。金はスポンサーと一緒にそろそろ到着する頃だと沢井。いよいよ恒星がはっきりしてきた。「さっきの若い男はどうなさるつもり?」「あいつのことはこっちに任せてもらいましょう」。土井の含み笑い。

 房江は危険を冒して、ジーパン救出へ。手足を縛られたジーパン。逆立ちしている。「何やってんの?」と房江。「することがないからヨガ体操を」(笑)「呑気な人ね」とジーパンの縄を解く。「さ、早く逃げて」。房江を心配するジーパンに「私を殴って、気絶させるのよ。私は残って取引を進めます。余計なことを心配しなくっていいの」。このパターンは房江出演回で、のちにも繰り返される。

 しかしジーパン。「やっぱり、あなたを置いて逃げるわけにはいきません。あなたを助けにきたのだから」。房江、少し心が動くが、麻薬を動かすのに4億の現金を用意できる大物を掴まえるチャンスだから「早く、私の言った通りにして」「わかりました」とジーパンは、房江を殴って気絶させる。そのまま房江を抱いて逃げようとすると、チンピラの銃口がジーパンに向けられる。

 土井の前で問い詰められるジーパン。ジーパンが殺されそうになると、房江がナイフを出す。「私は麻薬Gメンよ。もう諦めるのね。この周りはすっかり囲まれているわ」。沢井「そうだろうね。それならあんたたち二人に人質になってもらう」。ジーパンと房江は応戦する。

 山さんたちのクルマが青竜山荘へ。麻取に静止されているうちに、屋敷から銃声が。山さんたち急行する。続いてゴリさん、ボスのクルマも山荘の中へ向かう。

 土井「もう覚悟しな、往生際が悪いぞ」と銃をジーパンたちに向ける。そのタイミングでジーパン、いつものように飛びかかって空手チョップ。土井を投げ飛ばし、キックでプールへ落とす。房江も得意の合気道で、次々とチンピラを投げ飛ばす。ジーパンのアクションが、回を追うごとに派手になってきて、小学生の男の子たちは夢中になった。結局、全員をプールに叩き込んで、一係の刑事たちが一網打尽に。山さんは沢井に手錠をかける。

 ボスがジーパンに「大丈夫だったか?」「みんなこの人のおかげです」。ボスは房江に「どうも」と頭を下げる。しかし、房江は黙って去っていく。追おうとするジーパンをボスが制止。「お前のおかげで彼女の捜査は失敗した。一人にしといてやれ」とボス。

 ひとり海を見つめる房江。遠くから双眼鏡で彼女を見ている謎の女(恵美・フィーミー)に房江が気付くが、女は立ち去ってゆく。

しばらくして、ジーパン、房江に謝る。
「すいませんでした。ぶち壊してしまって」
「もういいの。チャンライの外交官を買収した黒幕は捕まえられなかたけれど、日本は麻薬に汚されずに済んだんだから、私の使命は半分成功よ」
「でも半年、棒に振ったんでしょう?」
「半年なんてすぐだわ」

ジーパン、房江にプレゼントを渡す。
「なあに?」
「ハンカチです。あなたにいつかお借りした、代わりです」
「白いハンカチね。あなたからの贈り物にふさわしいわ」
「え?」
「あら、知らなかったの? 白いハンカチはね。もうこれでお別れってことなの。ありがたく頂いておくわ」

爽やかな二人の別れ。しかしジーパンは少し寂しい。

捜査一係。ジーパンがのそっと入ってくる。失恋したみたいな無気力なムード。そこへボス「盗難車が見つかった。すぐに行ってくれ!」。のっそり出ていく。次のカット、新宿の街角で、ジーパン、大声で「待て!」と犯人を追いかけている。走る、走る、走る! ストップモーション。

浜美枝さんの村岡房江登場作品は次の通り。

第4話「プールサイドに黒いバラ」(1972年8月11日)
第61話「別れは白いハンカチで」(1973年9月14日)
第137話「ありがとうテキサス坊や」(1975年2月28日)
第246話「赤ちゃん」(1977年4月8日)

 浜美枝さんは、筆者のインタビューで、萩原健一さん、松田優作さん、勝野洋さん、宮内淳さんと、それぞれフレッシュな若手と共演して、とても楽しかったと話してくれた。

よろしければ、娯楽映画研究への支援、是非ともよろしくお願いします。これからも娯楽映画の素晴らしさを、皆さんにお伝えしていきたいと思います。