太陽にほえろ! 1973・第56話「その灯を消すな!」
この原稿は、事件の核心、物語の展開について詳述しております。ネタバレ部分もありますのでご注意ください。
第56話「その灯を消すな!」(1973.8.10 脚本・小川英、中野顕彰 監督・山本迪夫)
永井久美(青木英美)
梶田(深江章喜)
小西次郎(北条清)
関口京子(紅景子)
梶田組組員(岡部正純)
土屋実(福崎和宏)
近松敏夫
青田刑事(柄沢英二)
梶田の部下(三上剛)
山本修平
畠中課長(高城淳一)
造船所社長(磯野秋雄)
「ぼたん」店主(鈴木和夫)
大和田(渥美国泰)
浮浪者(江幡高志)
斎藤(美川陽一郎)
予告編の小林恭治さんのナレーション。
「暴力追放。それは市民の勇気と努力の賜物であった。しかし、根強い暴力団の組織は「御礼参り」を兼ねて、本格的に街の支配権を握ろうと乗り出してくる。度重なる暴力行為の前に、ついに血の気を失っていく市民。そんなとき、地位も職もかなぐり捨てた、男・石塚の怒りと正義感は燃え上がる。次回「その灯を消すな!」にご期待ください。
今回はゴリさんが5年前に、前任地であった事件の物語。ゴリさんが刑事をやめる覚悟をしてまで、貫こうとした正義の物語。「青春学園シリーズ」の大岩雷太先生を演じていた竜雷太さんの熱い熱血漢ぶりが炸裂する。リアリティはあるのだが、テーマは象徴的で、まるで「寓話」のような物語である。
捜査第一係。ゴリさんはボスに、拳銃を返上し、休暇届を出す。ゴリさんが、一係へ来た時からのボスとの約束の日だった。「ああそうか、あの日がやってきたのか?」「じゃ、行ってきます」と出ていくゴリさん。ジーパン「何があったんですか?」。ゴリさんは海辺の街・神奈川県三崎町へとやってくる。ロケーションは神奈川県三崎市。商店街の人々に挨拶する。「あの石塚刑事が、どうしてこの街に?」。「ぼたん」店主(鈴木和夫)は「5年経ったんですよ。ちょうどあの事件から」と話す。5年前、この街で起きた事件の犯人が出所するらしい。
ゴリさんは、造船所社長(磯野秋夫)に、小西次郎を訪ねる。昼休みで、近くの喫茶店にいると聞いて、ゴリさんが向かう。喫茶店では恋人・関口京子(紅景子)が、小西次郎(北条清)に「どうしてなの?」と今、結婚できない理由を尋ねる。はっきりと言わない次郎は「あと一週間か十日もすればきっと話すよ」と口を濁す。しかし京子は今すぐ聞きたい。「あなたのことを全部知っておきたいの」と言い残して去っていく。
そこへゴリさん「約束通り来たぞ」。次郎は十日ほど前に、一千万円の生命保険に加入。その受取人を京子にしたことをゴリさんは知っている。「この5年間、俺は君と梶田から目を離したことはなかった」「石塚さん!」「君はもう一人じゃない。俺が一緒だ」。一体何があったのか? そしてこれから何が起きるのか?
捜査第一係へ、ゴリさんの港署時代のかつての同僚・青田刑事(柄沢英二)から電話で、梶田(深江章喜)を尾行していたが巻かれてしまったとボスに報告する。しかし、そのことをゴリさんに伝える手立てはない。「変わってないですね。あそこの体質は」と長さんたちが話しているが、ジーパンも久美もさっぱりわからない。そこでボスが5年前の事件について話し始める。
ゴリさんは七曲署に来る前に、三崎市の港署にいた。その町は暴力団の梶田組に支配されていた。組長・梶田(深江章喜)は街の商店街の会長も抑えていて、好き勝手に振る舞っていた。梶田は自ら手を下すことなく、必ず代人を立ててことを進めていた。ゴリさんたち地元署の面々は「暴力追放」キャンペーンを展開していたが、梶田を逮捕しない限り、その戦いは終わらないと考えていた。そんな時、暴力団同士の抗争で梶田は殺人を犯した。その現場を目撃していたのが小西次郎(北条清)だった。
北条清さんは昭和44(1969)年のNHKの連続テレビ小説「信子とおばあちゃん」の塚本三郎役でお馴染みとなり、「柔道一直線」(1970年)の熊野太郎役でもある。「太陽にほえろ!」は本作をきっかけに、第709話「タイムリミット・午前6時」(1986年)まで12本出演することになる。
ゴリさんは次郎を証人として連行するが、次郎は絶対に口を割ることはなかった。半殺しの目にあうのが怖かったからだ。ゴリさんは激しい口調で「梶田に御礼参りなどさせん」と約束する。「俺が、いや俺たちが生命に変えても、あんたたちのことを守る。信じてくれ」とゴリさん。次郎はそれを信じて証言。梶田は指名手配され逃走する。次郎の勇気に力づけられた街の人たちも「暴力団追放運動」に協力して、街から暴力弾が一掃された。梶田は逃走中に乗っていたセドリックが大破、同乗していた愛人が死んでしまったことを次郎のせいにして「御礼参りをする」と息巻いていた。
話を聞いたジーパン。「ボス、尾行が巻かれたこと。ゴリさんに連絡しなければいけませんよね」。ボスは笑って「こいつ!」。ジーパンは三崎市へ向かう。
ゴリさんが次郎のアパートで、ラーメン屋の出前・実(福崎和宏)が持ってきた焼きそばを食べていると、京子が訪ねてくる。「もう一度ゆっくり話そうと思って」。気を利かせてゴリさんは表へ。そこへジーパンがやってくる。次郎のアパート平和荘の外には、怪しい男が立っていて、ジーパンが「何をしているんだ!」と激しい口調で訊ねるが、男はゴリさんのかつての先輩ですでに退職した元刑事の斎藤(美川陽一郎)だった。斎藤は「このヤマだけはどうしても忘れられなくて」とゴリさん同様、街にやってきたのである。美川陽一郎さんは「七人の刑事」(1961〜69年・TBS)の小西刑事役で知られるが、東宝の『次郎長三国志』(1952年・マキノ正博)で清水次郎長役に抜擢されるも、東宝トップの小林一三の意向で、小堀明男さんに変更されてしまった。
ジーパンから青田刑事が、梶田に巻かれた話を聞いたゴリさんと斎藤。青田刑事が「忙しくてここへは来られない」と言っていると聞いた斎藤は「わしは、来て良かったよ。港署の姿勢は相変わらずだよ。全く変わっとらん」と怒る。ジーパンは梶田の息のかかった大和田(渥美国泰)をマークして欲しいとゴリさんに頼まれる。大和田は駅前で娯楽センターを経営している。梶田がまず現れるのは大和田のところだと踏んでいるからだ。「ただしだよ。どんなことがあっても暴力は振るうなよ」と釘を刺す。
大和田の娯楽センターを張り込むジーパン。事務所では、商店街の「暴力追放運動」のメンバーが大和田に「何かいい手はありませんか?」と相談している。大和田は「街は平和になったから梶田も手出しができない」と笑うが、商店主たちはまずは次郎が狙われ、次は自分たちだと戦々恐々。「ぼたん」店主(鈴木和夫)は「街を渡さないって言ってるんじゃないですよ。何もいざこざを起こさなければそれでいい」と本音を漏らす。大和田は、梶田の出方を待ってから対策を立てようとアドバイスをする。
海が見える旅館。梶田は子分から、ゴリさんが次郎のアパートに住み込んでいることを聞く。「暇なデカがいたもんだ」と嘲笑する梶田。深江章喜さんのワルぶりは相変わらずいいね。「俺たちの相手はな、他の組織でもない、サツでもない。街の奴らだ。俺たちは街の奴らに叩き出された。なめられたんだ。だから、俺たちがどれだけ怖いのか、もう一度きっちりと教えてやれ」。おいおい!
次郎のアパートにやってきたラーメン屋の出前持ちを見て、斎藤は、死んだ梶田の情婦の弟・土屋実(福崎和宏)が行方不明であることを思い出す。
大和田の事務所に梶田から電話。「偉くなったもんだな、あんたも、今じゃ地元の名士だってな」。大和田は商店街の連中が怯えてることを伝え「まさか、また荒っぽいことをやろうってわけじゃないですよね」と牽制するが、梶田は「5年前の例の一件はあんたも共犯だからな」と大和田を脅す。大和田には脛に傷があるようだ。
翌朝、商店街で大暴れする梶田組の連中。玩具屋のショーウィンドウを壊し、花屋の主人をボコボコに殴り、「ぼたん」の主人を張り倒す。そこへパトカーがやってきて、やくざを逮捕する。
一方、次郎は勤め先の造船所社長(磯野秋雄)から「噂によると、梶田って男はお前を殺そうとしているそうじゃないか」工場にピストルを撃ち込まれてからでは遅いから「出ていってくれ!」とクビにする。ゴリさんが「待ってください」と言っても「警察に一体、どんな力があるんです」と取り合わない。
怒りのゴリさん。港から街に向かって走る、走る、走る。商店街では、誰もが怯えきっている。ラーメン屋では梶田の部下が、店員・土屋実(福崎和宏)に拳銃の包みを渡し「組長からだ。しくじるんじゃねえぞ」。港警察署では、先ほど商店街で暴れていた組員たちが、お咎めなして釈放される。ほとんど西部劇の世界だね。そこへゴリさん現れる、青田刑事は「梶田のやつ、あんなすばしっこいとは思いませんでした」と言い訳。「やる気がなきゃ尾行などできるはずはないさ」と青田を責める。組員を釈放したのは「肝心の被害者が、非は自分にあるって言ってるんですからね。法的に言ってもどうしようもないでしょ」とことなかれ主義の極みである。
ゴリさんはジーパンに「次郎のところへ行ってくれ、梶田が動き出した」と言い、自ら大和田の事務所へ乗り込む。「俺がこの街に来たのは次郎を守るためだけじゃないんだぞ。あの時、死んだ女だが、俺は梶田が消したと睨んでいるんだ」。事故の時に、梶田が乗っていたのは大和田のクルマだった。「あれは、私が梶田さんに貸していたんですよ」と開き直る。ゴリさんは続ける。「俺の推理が正しければ、あんたも共犯だな。楽しみにしてろよ。必ず、そのツラの皮、ひん剥いてやるからな」とゴリさん。
ジーパンが次郎のアパートを訪れると、真相を知った京子が次郎に「どうして私に隠していたの?」と責めている。京子は街の噂話を聞いて、荷物をまとめてきたという。「今からでも遅くないわ、逃げましょう。この街さえ出てしまえば、あの人たちはきっと手出しはしないわ」。しかし次郎は「今逃げ出したら、俺のやってきたことは全部無駄になってしまうんだ」とキッパリ。さらにジーパンが刑事であることも知っていて、次郎を守るなんて嘘で、自分の手柄を立てたいだけだとまで言い出す。次郎はたまらなくなり、京子に「やめろ!馬鹿なことを言うんじゃない」「馬鹿なのはあなたなのよ。英雄気取りでいるけれども、殺されるのはあなたなのよ!」
ジーパンは、次郎が10日前に、受取人の名義を京子にして生命保険に入ったことを京子に話す。泣き出す京子。「あたし、お金なんて欲しくない!」とアパートを出て行こうとする。そこへ、ラーメン屋の実が現れて、銃を撃ち込む。京子が撃たれてしまう。ジーパンが追うが次々と発砲されて身動きできない。そこへ駆けつけたゴリさん「お前が実だろう?」。実は「俺は次郎を殺すんだ!姉ちゃんを殺したのはあいつなんだ」と叫ぶ。「違うんだ実、お前は騙されているんだ」「うるせー」。逃走する実を、ゴリさんとジーパンが追うが、飲み屋街の路地に消えてしまう。
「誰か、見たものはいないのか?」拳銃を持った男が逃げ込んだ。放置すれば危険だとゴリさんが叫んでも、無反応。誰もが関わりを恐れて「見て見ぬふり」をしている。「よく聞いてくれ、今から5年前、小西次郎の証言で、この街がどれだけ、明るい街になったのか、みんな忘れたのか? 今誰かが勇気を出さなければ、また元の無法地帯に戻っちまうぞ!それでもいいのか?」。誰も返事をしない。
ゴリさん「わかった。これが答えだな。しかし、よく覚えておけよ。もしも、もしもこれで次郎が死んだら、手を下したのが誰であれ、殺したのはお前たちみんなだ! いいか! 殺したのはお前たちなんだ!」ゴリさんの悲痛な叫びが路地にこだまする。それを俯瞰ショットで捉えて、孤独感がいっそう際立つ演出である。
フランク・キャプラの映画のように、理想主義に燃える主人公が「みてみぬふりをする人々」や「厳しい現実」の前に挫折するも、信念を貫ぬこうとする。今回はいつもの「太陽にほえろ!」とはテイストが異なり、竜雷太の持つ「熱血漢」の魅力を最大限に引き出す展開となっている。
一方、梶田は組員たちから報告を受けて「うまく行ったな」とご満悦。憎々しいね。「実の一発で、町中の野郎が腰抜かしやがった」。梶田の狙いは、街の連中を震え上がらせることで、次郎の命ではなかったのだ。梶田は「これ以上暴れられるとかえって面倒だ」と実の身柄を押さえるように子分に命ずる。「あとは、あのデカどもを追っ払えば、街は元通り、俺のもんか」とほくそ笑む梶田。
港署の畠中課長(高城淳一)。いかにも事なかれ主義の感じのタイプ。大和田が商店街の店主たちを引き連れて「こちらの刑事さんたちが、捜査をしているって言うのであれば、私たちは何も文句はつけませんよ。しかしですね。管轄外のよその刑事が我が物顔で街を掻き回し、一部のものを扇動する。こんなことが公然と行われていていいんですか?」としゃあしゃあと抗議をしている。畠中課長は「我々もあの二人には手を焼いているんですよ」と迷惑そうに話す。
「平和? 暴力に支配された平和ですか?」とジーパンは、畠中課長に反論する。「とにかくな、この街のことは我々がやる。君たちのやっていることは職務を逸脱する。明らかな違反行為だ」と、七曲署に戻るように促す畠中課長。ゴリさんは「引き上げよう。警察官としてはこれが限度だ・・・負けたんだよ、残念ながらな」とジーパンを促して立ち去る。
悪の支配する街。矛盾だらけの正義。我が物顔でのさばる梶田は、商店街を恐怖で牛耳る。「またこの街で暮らすからよろしくな」と梶田組の事務所へ堂々と戻っていく。
「ゴリさん、本当にこのまま帰るんですか?」
「お前はな」
「え?」
「俺は、警察官であることをやめる」
ゴリさんは胸ポケットから、辞表を出して、ボスに届けるようにジーパンに頼む。
「俺はな、ジーパン、休暇届だけで、この仕事が片付くとは、最初から思っていなかった。こいつは覚悟の上だ。頼むよ」
ジーパンは、次郎が「もうこの街に住みたくなくなった」と呟いていたことをゴリさんに伝える。「そうだろうな、命懸けで守ろうとした街に背を向けられたんだからな」「それでもこれを出すんですか?彼さえ街を出れば・・・」とジーパン。ゴリさんは続ける。「死んだ梶田の女は、つまり実の姉さんのことなんだがな。あの女を殺したのは、実は俺なんだ」「え?」女は死ぬ、何日か前に、ゴリさんに梶田の悪事を洗いざらい告白すると約束していた。秘密を知りすぎていた彼女は怯えていた。しかしその日から、梶田は女を監視し続けた。その結果、あの事故が起こった。彼女の口が封じられたことで、梶田の刑は軽くなった。ゴリさんは「もう一度、あいつをぶちこむためなら、俺はなんでもする」とゴリさん。ジーパンは「わかりました」と辞表を持って去ってゆく。
次郎は京子と一緒に街を去ることになった。「やっぱり出るのかい。この街を」とゴリさん。駅まで二人を送ることに。斎藤も役割を終えて街を出ていくことにした。しかし、駅への途中、梶田組の連中が立ちはだかる。「俺に構わず行け」と次郎に言ったゴリさんはいきなり、やくざにパンチを食らわす。「俺はもう刑事じゃないんだ!」。
ここからゴリさんの反撃が始まる。やくざたちを相手に次々とパンチを喰らわす。体当たりしてキック。無手勝流のゴリさんだが、次郎を逃した後に、やくざたちにボコボコにされる。やられても、やられても立ち上がるゴリさん。血を吐き、路上に倒れてしまう。その額に、濡れタオルを当てたのは、なんと浮浪者(江幡高志)。
彼は「5年前、俺は今日のあんたみたいに、この先の公園で寝ていたんだ。するとあんたが来て”おい、起きろ、ここは寝てるとこじゃないんだ”そう言ったんだ」。仕方なく、その男は立ったが、途端によろけた。その時ゴリさんは「いいご機嫌じゃないか」と言ったが、その男は「酒が飲めるくらいなら、おまんまを食ってら」と言った。ゴリさんは黙って五百円を、男に渡したことを話す。その時の恩を今でも覚えていたのだ。
「この街にも、俺の味方はいたんだな、ひとりだけでも」
男は続ける。「梶田がパクられた晩のことだ。俺は旦那が喜びそうなものを見たぜ」。梶田が大和田と二人がかりでぐったりした女をクルマに乗せていたのだ。女は薬で眠らされているか、死んでいたかのどちらかだったという。男はゴリさんのためにそのことを警察で証言することを約束する。「おい、ジーパン、あと頼んだぞ!」なんとジーパンが近くからのっそり現れる。「なんだい、知ってたのか、ゴリさん」。
ゴリさん、早朝の商店街へ。梶田組のやくざたちが立ちはだかる。今回、ゴリさんは優勢。「やめろ」と梶田が現れる。「訴えたければ、訴えるがいい。ちょうどいい。俺はお前さんを警察に連れていくために来たんだ」とゴリさん。「お前と大和田は、あの夜、クルマに女を載せた。死んだように動かない女をな。そういう証人が見つかったんだ」。一部始終を物陰から見ているのは、死んだ女の弟・実。
「お前は、いつも彼女が警察に密告することを恐れていた。だから自分の身が危うくなったら真っ先に、彼女を消したんだ! 彼女はクルマに乗る前に死んでいた! それを誤魔化すために、お前はわざとクルマを激突させたんだ」。少しずつ、商店街の人たちが集まってくる。「ははは、そんな寝言は誰が信用するんだ?」と嘲笑う梶田だったが、急に顔色が変わる。
ジーパンが梶田を連れてきたのだ。証人の浮浪者を連れて大和田を問い詰めたら「あっさり吐きました」。梶田、蒼白となる。「梶田さん、もうダメだ。おしまいだよ」と大和田。土田ゆみこを殺したのは梶田で、大和田はその偽装に手を貸していたのだ。「大和田、てめえ」と子分たちを促して、ドスを抜かせる梶田。そこへ銃声!実が拳銃を撃ったのだ。「殺してやる!姉ちゃんを殺した上、俺まで騙しやがって」と拳銃を梶田に向ける実。しかし、ジーパンが飛びかかって、それを止める。
梶田は子分に「こいつら全部ぶち殺せ」と言って、一人で逃げようとするが、元刑事の斎藤が立ちはだかる。「ジジイ、どけ!」と梶田が叫ぶが、商店街の店主たちが、じわじわと梶田を取り囲む。「てめえら、俺に逆らう気か?」それでもおじけずに、梶谷に迫る街の人々。梶田は観念する。
捜査一係に、次郎と京子が訪ねてくる。「新聞を見て本当に驚きました。あの街の人たちが、梶田の前に立ちふさがるなんて、僕にはまだ信じられません」「そうだろうな、俺もいまだに夢みたいな気がしているよ」とゴリさん。次郎は街には二度と戻らないが、京子はゴリさんとジーパンのことを「二度と忘れません」と笑顔で伝える。
「やっぱり、街の人たちに受けた心の傷は消えないんですかね、一生」とジーパン。ゴリさんは「そいつを考えるとやりきれんよな、全く」と答える。
そこでボス「確かにやりきれん話だ。しかし、それでいいんだ。港町はどこにだってある。この街だって似たようなもんだ。それを少しずつでも良くするのが、きっとそういう傷を背負った人たちだ。そうは思わんか?」。
そして、また捜査一係の日常は続いていく。
ゴリさん主演回は、なぜかいつも単独で七曲署管内から遠く離れた場所で展開される。第10話「ハマっ子刑事の心意気」では横浜、第26話「みんな死んでしまった」では熊本、第42話「知らない街で」は神奈川県秦野市が舞台だった。
よろしければ、娯楽映画研究への支援、是非ともよろしくお願いします。これからも娯楽映画の素晴らしさを、皆さんにお伝えしていきたいと思います。