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『怒りの河』(1952年・ユニバーサル・アンソニー・マン)

6月10日(金)娯楽映画研究所シアターは、アンソニー・マン&ジェームズ・スチュワートコンビの西部劇『怒りの河』(1952年・ユニバーサル)をアマプラからスクリーン投影。

アンソニー・マン監督とジミー・スチュワートは『ウィンチェスター銃'73 』(1950年)、『怒りの河 』、『裸の拍車』(1953年)、『雷鳴の湾』(同)、『グレン・ミラー物語』(同)、『遠い国』(1954年)、『戦略空軍命令』(1955年)、『ララミーから来た男』(同)と、立て続けに8作でコンビを組んでいる。つまり最も相性の良いコンビだった。

1866年、オレゴン州へと移民する開拓団の道案内をつとめているグリン・マクリントック(ジェームズ・スチュワート)は、かつて強盗団で悪行の限りを尽くしていた無法者。しかし開拓団とともに入植して牧場を経営して真人間になろうと決意している。

ある日、馬泥棒の罪で縛り首になりかけていたエマーソン・コール(アーサー・ケネディ)を助け、コールも開拓団に加わる。コールはミネソタ強盗団のお尋ね者だが、過去を帳消しにして再生しようとしている。二人は意気投合。開拓団をポートランドまで導く。ポートランドの人々は暖かく、地元の顔役・トム・ヘンドリックス(ハワード・ペトリー)から越冬のための食料購入を契約する。

しかし入植地にたどり着いて1ヶ月半、待てど暮らせど食料は届かない。業を煮やしたマクリントックたちは、ポートランドに催促へ。しかしポートランドはゴールドラッシュで、開拓団と契約した食料は砂金人夫たちに高額で売られかけていた。

そこでマクリントックは、ヘンドリックスから力づくで食料を奪い、銃撃戦となる。賭場に落ち着いていたコールと、ギャンブラーのトレイ・ウィルソン(ロック・ハドソン)は、マクリントックを助けて、ヘンドリックス一味と撃ち合いとなり、一緒に入植地へ向かうことになるが…

無法者は、果たして真人間になれるのか? 「性善説」「性悪説」が拮抗するなか、マクリントックの生命をかけた闘いが繰り広げられる。勧善懲悪の西部劇といった単純な構成ではなく、ジェームズ・スチュワートとアーサー・ケネディ、二人の脛に傷を持つタフガイの生々流転が、ダイナミックな活劇の中に描かれる。ロック・ハドソンを加えて、中盤まで三人のヒーローを描きつつ、後半の意外な展開に目が離せない。

中盤から後半にかけての「食料運搬」のサスペンス! アーサー・ケネディ演じるコールの本性が明らかになり、全ての歯車が狂い始める。無法者はどこまでも無法者なのか? というテーマは、教条的なのだけど、ジェームズ・スチュワートにぴったり。若きロック・ハドソンもスマートで、見せ場もふんだん。

オレゴン州のマウント・フッド(オレゴン富士)、サンディー河でのロケーションも効果的で、テクカラーの美しさを堪能。


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