『喜劇"夫"売ります‼︎』(1968年11月9日)
瀬川昌治『喜劇"夫"売ります‼︎』(1968年)。瀬川監督とフランキー堺の初コンビ作。原作は岸宏子の「ある敗北」を花登筺が「喜劇・売らいでか!」として脚色、舞台上演をした。それを池上金男&瀬川監督が脚色。舞台は伊賀上野。旧家の奥様・佐久間良子の夜伽の相手となった気弱なフランキー。いつもの攻めキャラでなく、受け身のショボいダメ男を演じさせているのが監督の狙い。
フランキーの妻・森光子は、稼ぎがない夫の行状に、怒り心頭。ならばと佐久間良子に直談判して50万円で「夫を売ってしまう」。そこからが如何にも花登筺らしい艶笑コメディとなる。同時期の「列車」シリーズの渥美清、「競馬必勝法」シリーズの谷啓のような強烈なキャラではない、フランキー史上、最も気弱な男。
それが、当時としては新鮮だったはず。川崎敬三の副番頭が、旧家の威光を利用して観光ホテルを建設して一儲けを企てようとする如才のない男で、その恋人・橘ますみがキュート。ほかの瀬川昌治喜劇に比べて、ドタバタは少ないけど、人物の出し入れが面白く、さすがのうまさ。特に森光子が夫を売った50万円を元手に「組紐問屋」を初めて、それが大当たり。佐久間良子を見返してやろうと、ど根性商人に(笑)そこが花登筺っぽい。
後半、あれよあれよの展開は、和製ビリー・ワイルダー、いやブレーク・エドワーズ的な瀬川昌治喜劇の味。このあと、瀬川監督は渥美清との「喜劇新婚列車」を企画する。
しかし、渥美清のスケジュールが合わずに中止となり、その企画がそのまま松竹にお引っ越しして、フランキー堺との『喜劇大安旅行』(1968年12月28日)としてリブートすることとなる。
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