娯楽映画研究所ダイアリー 2022年6月13日(月)〜6月19日(日)
6月13日(月)『雷鳴の湾』(1953年・ユニバーサル・アンソニー・マン)
娯楽映画研究所シアターで、アンソニー・マン監督&ジェームズ・スチュワートコンビによるダイナミックなドラマ『雷鳴の湾』(1953年・ユニバーサル)をアマプラからスクリーン投影。連日、アンソニー・マンとジェームズ・スチュワートのコンビ作を連続視聴しているが、西部劇にしろ、本作のような活劇要素のドラマにしろ、アクションを中心にした見せ場に向けて構築していく描写が丁寧。豪快というよりきめが細かい。ジェームズ・スチュワートの資質と、アンソニー・マンがぴったりだったことがよくわかる。
6月14日(火)『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』(2022年・サンライズ・安彦良和)・『ジス・イズ・エルビス』(1981年・ワーナー・アンドリュー・ソルト、マルコム・レオ)・『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』(1970年8月1日・東宝・本多猪四郎)
昨夜は「機動戦士ガンダム」15話「ククルス・ドアンの島」と「哀・戦士編」(1981年)をNetflixで再見したところで、これから『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』。服部隆之さんのサントラを聴いているが、完成度の高いアルバム!
丸の内ピカデリーで、安彦良和監督『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』を堪能。第15話のエピソードを膨らましての新作。これは見事。ああ、ガンダムを観ているんだなぁという喜びに包まれる。特にウクライナ戦争の現在に観ると、いろんな想いが去来する。優れたリブート。「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」のアムロは相変わらずめんどくさい少年だけど、同世代のワタシとしては43年の時を経て、自分の中のアムロに気づいて、共感してしまう^_^ ミライさんの声、白石冬美さんだったんだなぁと、古谷徹さんの変わらぬ声を聴きながら、しみじみ。
娯楽映画研究所シアターでは、エルヴィス・プレスリー没後四年で作られたドキュメンタリー”This is Elvis"「ジス・イズ・エルビス」(1981年・ワーナー・アンドリュー・ソルト、マルコム・レオ)を米盤DVDからスクリーン投影。関係者の証言、本人の語り(という設定)を交えて、再現フィルムと当時のパフォーマンス、バンクフィルム、映画クリップ、ニュース映像などで構成したプレスリー版「ブルース・リーの生と死」。プレスリーの側近で友人だったジェリー・シリングとジョー・エスポジート原案。製作・監督・脚本はアンドリー・ソルトとマルコム・レオ。製作総指揮はのちに『ザッツ・エンタテインメント3』(1994年)を手がけるバド・フリージェン。
続いての娯楽映画研究所シアターは、初Blu-ray化の『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』(1970年8月1日・東宝・本多猪四郎)をスクリーン投影。この映画は、万博見物をしたその足で、おふくろの故郷、高知に行った時に、大丸前の高知東宝へ公開早々、観に行った。ここは、遡ることその4年前、やはり夏休みに『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』(1966年・東宝・本多猪四郎)を観てトラウマ体験をした映画館でもある。
6月15日(水)『エルヴィス』(2022年・ワーナー・バズ・ラーマン)・『エルヴィス・オン・ステージ 特別篇』(2001年・ターナー・デニス・サンダース)
ワーナー試写室で、待望のバズ・ラーマン『エルヴィス』159分。圧倒的な力技で、エルヴィス・プレスリーとトム・パーカー大佐の25年を描く傑作音楽評伝。ファンはうんうん頷きながら、先入観念で観ていた人は目から鱗だろう。あらゆる再現力に平伏した!観るべし!
バズ・ラーマン監督『エルヴィス』。優れているのは、まずエルヴィスのルーツミュージックとしてのR&Bとの出会いをきっちり描いていること。B.Bキング、マヘリア・ジャクソン、そしてリトル・リチャード登場の瞬間。ヒルビリーからロックンロールへ。そのあたりの空気を上手く描いていて、音楽史の再現にもなっている。
エルヴィスのキャリアを辿っていくことは、音楽ビジネスの変節、ハリウッドの斜陽、テレビのパワーなど、近代文化史を辿ることでもある。「68カムバック・スペシャル」の舞台裏、そして完璧な再現!! あのスペシャルがいかに画期的だったか!! クライマックスのラスベガスの日々。しかもステージの巧みな再現から本物のエルヴィス・プレスリーのパフォーマンスに、心は鷲掴みに!! 最後は涙、涙… これはすごい映画です。トム・ハンクスのトム・パーカー大佐は、アメリカのショウビジネスの暗部でもあり、こちらにも圧倒されます。
バズ・ラーマン監督、待望の新作『エルヴィス』(2022年・ワーナー)を試写で堪能。帰宅後、娯楽映画研究所シアターで『エルヴィス・オン・ステージ 特別篇』(2001年・ターナー・デニス・サンダース)のDVD国内版をスクリーン投影。で1970年8月、ラスベガスのインターナショナルホテルのライブ。つまり『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』と『男はつらいよ 望郷篇』の間のエルヴィスのパフォーマンスであります。
ディズニー+「ミズ・マーベル」第2話。ニュージャージーのムスリム・コミュニティの描写も興味深い。カマラと友達のブルーノがスーパーパワーの訓練をするシーンで『エンドゲーム』のクリントとナターシャの会話”Let me go"のリフレインがあり。また『エターナルズ』のボリウッド・スター、キンゴの話題も(笑)色々とニヤニヤ。次回も楽しみ。
6月16日(木)『東京2020オリンピック SIDE:B』(2022年・東宝・河瀬直美)・『大列車強盗』(1973年2月7日米公開・ワーナー・バート・ケネディ)・『エルヴィス・オン・ツアー』(1972年・MGM・ロバート・エイブル、ピエール・アディッジ)
『東京2020オリンピック SIDE:B』(2022年・東宝・河瀬直美)いろんな意味で凄かった。バイアスもふくめて2021のあの頃が記録されている。最大の立役者であるTBSの澤田大樹記者にもテロップを入れて欲しかった。ヨシローに食い下がるあの会見は、名場面!円谷幸吉選手のクレジットはあるのに。
さまざまな人が登場しますが、ヨシローやユリコやバッハ、アスリートはフルネームと肩書きテロップがあるのに、インタビューに答えているミュージシャンや、天皇陛下の紹介テロップがない。バイデン夫人のフルネームも出るのに。
それから強調字幕の入れ方が「シン・ウルトラマン」後でありました。ふうん、って感じ。で、なによりも、124分のラスト、エンドロールの唄にぶっ飛んだ。自己愛の強いカントクだなぁ。あと、インタビューの聞き手、タメ口は良くないなぁ。
白眉は、シン・ゴジラvsデンツーのクリエイター! ここはドキュメンタリーの迫力があります。いったんデンツーは勝つも、そのあとスキャンダルに…という懐かしい出来事を思い出させてくれました。両論併記という名目のガス抜きで、わが小学校の先輩の演出家も反対派として苦言を呈する場面もあり。
SIDE A 観た人は、観ておいた方が良いかも。スガ、ヨシロー、ユリコ、タマヨ、セイコ、そしてアソウの鼻マスクも記録されております。
競技の記録はほとんどありませんが、選手村のシェフの料理作りはたっぷりと味わうことが出来ます。
娯楽映画研究所シアターは、ジョン・ウェインの快作西部劇”The Train Robbers”『大列車強盗』(1973年2月7日米公開・ワーナー・バート・ケネディ)をスクリーン投影。ジョン・ウェインにとっては晩年の作品なのだが、盟友・バート・ケネディの脚本、演出がスッキリと見事で、ウィリアム・H・クローシアのキャメラが捕らえた西部の風景がフォトジェニックで美しい。撮影はメキシコのソンブレテ、シェラデオルガノス国立公園を中心に行われ、中盤には『明日に向って撃て』(1969年・FOX・ジョージ・ロイ・ヒル)のクライマックスの銃撃戦の広場も登場する。
続いて、娯楽映画研究所シアターでは、バズ・ラーマン監督『エルヴィス』(2022年)の興奮冷めやらず、同作でも後半のポイントとして描かれていたエルヴィス・プレスリーの1972年の全米ツアーの記録ライブ映画『エルヴィス・オン・ツアー』(1972年・MGM・ロバート・エイブル、ピエール・アディッジ)をBlu-rayでスクリーン投影。
6月17日(金)『グレン・ミラー物語』(1954年・ユニバーサル・アンソニー・マン)
992本目のnote原稿! 6月17日(金)の娯楽映画研究所シアターは、ハリウッド・ミュージカル史縦断研究。音楽伝記映画のマスターピースを改めて語ってみました。
ここのところの、アンソニー・マン&ジェームズ・スチュワート作品連続視聴は、実はこの再見のためでありました。
音楽伝記映画数あれど、これはパーフェクトな作品。1940年代、ビッグ・バンド・リーダーとして全米を席巻したトロンボーン奏者にして、サウンドメイカーのグレン・ミラー(1904〜1944年)のライフタイム・ストーリーを、虚実入り混ぜて、感動的に描いたマスター・ピース。ジェームズ・スチュワートがグレン・ミラーに扮し、大学時代からのガールフレンドで愛妻となるヘレンを”アメリカの恋人”ジューン・アリスンが演じて、日本でも大ヒットした。
6月18日(土)「加藤登紀子 エターナルコンサート2022 時を超えるもの」「エルヴィス・プレスリー アロハ・フロム・ハワイ」
久しぶりのオーチャードホール。これから加藤登紀子さん「エターナルコンサート2022 時を超えるもの」です。
今回の加藤登紀子さんのオーチャードホール「加藤登紀子eternal concert 2022 時を超えるもの」。凄かった! 1972年から半世紀に渡る登紀子さんと、僕たちの「自分史」であり、21世紀になってもなお、最悪の災厄が起きてしまった2022年の現在の戸惑いと怒り。そしてウクライナの人々への想い、これまで音楽や言葉で先人たちが紡いできた「平和」への切実な願いが込められたステージでした、
それを2時間のコンサートの中に凝縮。クライマックスの「百万本のバラ物語」の力強さ。アンコール、ジョン・レノンの「イマジン」を登紀子さんの日本語訳で歌うことの意味。ピート・シガーの「花はどこへいった?」の詩に、改めて胸が揺さぶられる。
登紀子さんの選曲、構成、語り。いずれも「何かをしなければならない」という想いの発露でした。ウエルメイドなショーでありながら、強烈で明確な平和へのメッセージが貫かれている。登紀子さんの「覚悟」が、僕たちに伝播して、最後の客席とステージの一体感は、何にも変えがたい至福の時でした。
考えてみたら、僕は、中川右介さん、玉置泰紀さんとは、加藤登紀子さんが引き合わせてくれたのです。久しぶりに揃った「三馬鹿トリオ」を前に、登紀子さんが目を細めて喜んでくれたのが、何よりも嬉しかったです。
オーチャードホールから帰宅。49年前のハワイ、ホノルル・インターナショナル・センターからの衛星中継「アロハ・フロム・ハワイ」を娯楽映画研究所シアターのスクリーンでパブリックいやパーソナル・ビューイング^_^ エルヴィスが歌うビートルズ「サムシング」が、絶品!
バズ・ラーマン監督『エルヴィス』が素晴らしすぎて、久しぶりにエルヴィス・プレスリーのライブ映画を連続視聴。1972年の全米15都市ツアーのドキュメンタリー『エルヴィス・オン・ツアー』に続いて、6月17日(金)と18日(土)は、1973年1月に全世界中継されたサテライト・ライブ「アロハ・フロム・ハワイ」を娯楽映画研究所シアターで、スクリーン投影。パブリック・ビューイングならぬパーソナル・ビューイングを5.1ch爆音(ヘッドフォンだけど)上映。
6月19日(日)『オーケストラの妻たち』(1942年・未公開・アーチー・メイヨ)
6月19日(日)の娯楽映画研究所シアターは、ハリウッド・ミュージカル史縦断研究。全盛期のグレン・ミラー楽団をフィーチャーしたミュージカル・メロドラマ『オーケストラの妻たち』(1942年・未公開・アーチー・メイヨ)をアマプラからスクリーン投影。