都市探偵

都市計画、都市交通、市街地開発が専門の都市プランナー「都市探偵」です。大学では都市計画専攻、技術士(建設部門/都市及び地方計画)で、政令指定都市勤務の後、建設会社に勤めながら、技術士事務所において活動しています。これらの記事が、少しでも皆様の「気付き」にお手伝いできれば幸いです。

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都市計画、都市交通、市街地開発が専門の都市プランナー「都市探偵」です。大学では都市計画専攻、技術士(建設部門/都市及び地方計画)で、政令指定都市勤務の後、建設会社に勤めながら、技術士事務所において活動しています。これらの記事が、少しでも皆様の「気付き」にお手伝いできれば幸いです。

最近の記事

全国の電柱は約3600万本!桜の木と同数!~無電柱化の日は11月10日~

11月10日は「無電柱化の日」  こんにちは。来る11月10日は「無電柱化の日」だそうですね。  「111」と3つ並んだ「1」を電柱に見立てて、それを「0」にするという意味で11月10日としているとのこと。  阪神淡路大震災や東日本大震災では倒壊した電柱によって緊急車両が通行できない状態になりましたし、2019年の台風15号では千葉県などで約2,000本の電柱が損壊、90万戸以上が停電という被害がでました。  このように地震や台風などの災害時には「電柱の倒壊」が問題になり

    • 50周年を迎えた「横浜都市デザイン」を振返る

       大学などで都市計画・都市デザイン・社会工学などを専攻した方々は、授業の中で「横浜の都市デザイン」を聞いたことがあるのではないでしょうか。  また、みなとみらい21地区など横浜の都心部を訪れた方々は、意識する・しないにかかわらず、例外なく何らかの「横浜都市デザインの作品」を目にしているはずです。 「横浜都市デザイン50周年記念事業」   今から半世紀前、1960年代後半の都市問題に対処するため、1971年に横浜市役所「都市デザイン担当」が設置されて始まった横浜の都市デザイン

      • 丹下健三展でその半生を振り返るとともに「都市軸」を考える

         先日(2021年9月中旬)文化庁国立近現代建築資料館にて開催されている展覧会「丹下健三:戦前からオリンピック・万博まで 1938-1970」(以下「丹下健三展」)に行ってきました。  7月から開催されていたのですが、なかなか上野方面に行く機会が無く、先日上野駅から電車で福島県に行く機会があったので、やっと行くことができました。 文化庁国立近現代建築資料館(会場)  会場の文化庁国立近現代建築資料館ですが、湯島天満宮(湯島天神)の向かいにある国の湯島地方合同庁舎敷地の一角に

        • 「首都高速道路と日本橋の景観をめぐる言説史」をたどりつつ「景観への感性」を考える 【その2 後編】

          変容する「景観への感性」の中で我々は何を考えるべきか  「首都高速道路と日本橋の景観をめぐる言説史」をたどりつつ「景観への感性」を考える 【その1 前編】では、日本橋と首都高速道路をとりまく景観論争、そして首都高地下化事業についてのお話をしました。   景観の善悪を判断しているのは、そのときの(ある意味では一時的な)「時代における景観の感性」であって、「今後ともその感性が妥当であるという保証は全くない」ものだということを、この事例に限らず、我々は常に心に留めておく必要がありま

        • 全国の電柱は約3600万本!桜の木と同数!~無電柱化の日は11月10日~

        • 50周年を迎えた「横浜都市デザイン」を振返る

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        • 「首都高速道路と日本橋の景観をめぐる言説史」をたどりつつ「景観への感性」を考える 【その2 後編】

          「首都高速道路と日本橋の景観をめぐる言説史」をたどりつつ「景観への感性」を考える 【その1 前編】

          「ファイバーシティ: 縮小の時代の都市像」における「日本橋と首都高速道路」  先日の記事「『ファイバーシティ』が頭から離れない ~都市の線状要素、そして縮小の時代のメガロポリス像を考える~」では、「日本橋と首都高速道路」についての大野秀敏氏の(当時の)見解をご紹介しました。 「ファイバーシティ: 縮小の時代の都市像」(著:大野 秀敏・MPF:2016年)に関連して、「首都高速道路のうち日本橋付近(日本橋区間)は景観についての議論を経て、日本橋付近の首都高高架橋が撤去(地下化

          「首都高速道路と日本橋の景観をめぐる言説史」をたどりつつ「景観への感性」を考える 【その1 前編】

          「アフターコロナの都市像」を考えるとともに、都市計画の原点を振り返る

           どうやら都市計画の専門家であっても、「公衆衛生は都市計画の原点である」という事実を、多くの方は長いこと忘れていたらしいですね。  私も都市計画の授業で、「イギリスやドイツにおける近代都市計画の萌芽は公衆衛生の確立にある」ことを習った覚えがありますが、忘れていました。  ロンドンのコレラの拡大を一つのきっかけとし、ハワードが前世紀はじめにスリーマグネット(都市・田園・田園都市)のコンセプトを示し、田園と都市の長所をミックスした田園都市の可能性を説いたこと、などですね。  大学

          「アフターコロナの都市像」を考えるとともに、都市計画の原点を振り返る

          技術士試験(第二次試験)受験生の皆様へ ~直前対策のアドバイス~

           日本技術士会のサイトに「令和3年度第二次試験の実施について(7日前周知)」が公表されていました。  受験されるかたのほとんどは「総合技術監理部門を除く技術部門」でしょうから、筆記試験日は7月11日(日)だと思います。  そこで、受験生の皆様が「この1週間に何をすべきか」を考えてみました。  私も数年前には受験生で、平成30年度に第二次試験に合格しました。  驚かれるかもしれませんが、さらにその前の2年間は技術士試験(第二次試験)の委員で、建設部門のうち「都市及び地方計画」

          技術士試験(第二次試験)受験生の皆様へ ~直前対策のアドバイス~

          「ファイバーシティ」が頭から離れない  ~都市の線状要素、そして縮小の時代のメガロポリス像を考える~

           「ファイバーシティ: 縮小の時代の都市像」(著:大野 秀敏・MPF)を読了しました。  本書は東京大学大野研究室の研究活動をまとめ2016年に出版されたもので、共著者のMPFは大野研究室のOB会「Metropolis Forum」とのことです。    なお、大野秀敏氏ほか現代の建築家の活躍については、note記事「『建築家のもがき』を垣間見つつ、その理論を学ぶ」を読んでいただきたいと思います。 https://note.com/toshi_tantei/n/ncc05267

          「ファイバーシティ」が頭から離れない  ~都市の線状要素、そして縮小の時代のメガロポリス像を考える~

          企業誌 [approach](竹中工務店)が面白い

          「approach」を読むようになったのは5~6年前からでしょうか。 大学以来の友人が竹中工務店に勤務していて、私の職場に来た際に「approach」を持ってきてくれました。以来、愛読しています。 この企業誌の魅力は、ゼネコンの発行している季刊誌にしては、とても対象を広く設定して特集を組んでいることです。 [approach] の多彩な特集 現在(2021年6月)の最新号は、[approach] 2021 夏号 で、特集は「石垣を築く ――穴太の技」です。さらにバックナン

          企業誌 [approach](竹中工務店)が面白い

          「建築家のもがき」を垣間見つつ、その理論を学ぶ

           東京大学建築学専攻Advanced Design Studies(T_ADS)による「もがく建築家、理論を考える」を読了しました。  私は都市プランナーと称していますが、都市計画・都市交通や市街地開発が専門で土木系のプランナーなので、建築系の方々に比べると「センスの悪い」(笑)プランナーだと思います。  このため「センスの良い図面を描き」「プレゼンもスマートな」建築家諸氏、中でも高名な建築家が「もがいている」といわれても、本書を読むまでは、想像もつきませんでした。  本書は

          「建築家のもがき」を垣間見つつ、その理論を学ぶ

          ブラタモリから「縄文海進」や「千葉県は島」説を考える

           先日(2021年5月22日)放映されたブラタモリは、千葉県館山市の特集でしたね。  お題は「房総リゾート・館山はどうできた?」でしたが、「鋸山から見える館山のモコモコした地形の秘密」「大地震の痕跡を海岸で発見!」「館山の「隆起」は日本トップクラス!その秘密はプレートにあり!?」などもテーマでした。  番組の中では、海岸の波に削られながらフィリピン海プレートに押されて館山付近が隆起し、段丘状の地形が形成されていることを検証していました。  その中で、「段丘の最上部が、縄文時

          ブラタモリから「縄文海進」や「千葉県は島」説を考える

          「平成都市計画史」を読んで都市計画に携わった30年間を考える

           「平成都市計画史~転換期の30年間が残したもの・受け継ぐもの~」(饗庭伸/花伝社)を読了しました。  私なりの結論を先に述べさせていただければ、「今後、都市計画史を研究したい方」「現在、都市計画に関係する業務(開発事業など)に携わっている方」「これまでに経験したまちづくりなどを、都市計画制度の中で振り返ってみたい方」等々、いずれの方々にも強く推薦したい図書です。  私自身、サブタイトルにある「転換期の30年間」にどっぷりと都市計画と付き合ってきた人間なので、著者の見解など、

          「平成都市計画史」を読んで都市計画に携わった30年間を考える

          東京都市圏パーソントリップ調査から都市や社会の変容が見えてきた

            昭和43 (1968)年から10 年毎に実施されてきた「東京都市圏パーソントリップ(PT)調査」ですが、最新の第6回調査では、「東京都市圏の総人口が増加しているにも関わらず、総移動回数が減少に転じる」という驚くべき結果が出ていました。 東京都市圏パーソントリップ(PT)調査   パーソントリップ調査とはどのような人がいつ、何の目的で、どこからどこへ、どのような交通手段で移動したかについて調査し、一日のすべての移動を捉えるものです。  東京都市圏とは東京都・神奈川県・埼玉

          東京都市圏パーソントリップ調査から都市や社会の変容が見えてきた

          「東京の都市づくりのあゆみ」を読んで東京都市圏の都市計画を考える

           東京の都市計画については、都市計画法・建築基準法制定100周年にあたる2019年6月に「東京の都市づくりのあゆみ」(東京都都市整備局)、「東京の都市づくり通史」(東京都都市づくり通史編さん委員会/東京都都市づくり公社)が公表・出版されています。  今回は「東京の都市づくりのあゆみ」(東京都都市整備局)をご紹介します。 「東京の都市づくりのあゆみ」(東京都都市整備局) 「東京の都市づくりのあゆみ」は、令和元(2019)年6月、都市計画法・建築基準法制定100周年を迎える節目

          「東京の都市づくりのあゆみ」を読んで東京都市圏の都市計画を考える

          「東京の都市づくり通史」を読んで東京都市圏の都市計画を考える

           東京の都市計画については、都市計画法・建築基準法制定100周年にあたる2019年6月に「東京の都市づくりのあゆみ」(東京都都市整備局)、「東京の都市づくり通史」(東京都都市づくり通史編さん委員会/東京都都市づくり公社)が公表・出版されています。  今回は「東京の都市づくり通史」をご紹介します。 東京都都市づくり公社  「東京の都市づくり通史」を発行した「東京都都市づくり公社」をご存知ない方もいらっしゃるかもしれません。  大原正行 理事長(公益財団法人 東京都都市づ

          「東京の都市づくり通史」を読んで東京都市圏の都市計画を考える

          庭園を観に行こう

          「密にならない庭園」へ ゴールデンウィークも残念ながらコロナ禍の終息(せめて収束)を願う日々になりました。 緊急事態宣言もあって、密になる飲食・イベントが制限されています。 このような中、「密にならない庭園」はいかがでしょう? ただし休園中の場合もあるので、開園しているかを確認してから訪れてください。 「日本ガーデンツーリズム」登録庭園 そんな時に、参考になるのが、国の「日本ガーデンツーリズム(Japan Garden Tourism)」に登録された庭園や公園です。 この

          庭園を観に行こう