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Senior boys be ambitious!! 自動車メーカーの不正に思う、シニアの生き方提案
◎自動車メーカーの検査不正問題。またもや感が否めません。
今回の不正対象車は500万台以上に上りますが、各社は自社基準で別途試験をしているため安全性に問題はないと主張しています。(2024年6月時)
日本ではここ何年も、自動車業界に限らず、様々な業界でほぼ定期的と言っていいほどに虚偽の審査結果報告事件が起きています。
細かな状況を知る由もない私ですが、報道された内容から今回の型式認定にまつわる不正には大きく二つの分断があることが読み取れます。ひとつには行政機関と民間企業の分断、もう一つは開発、現場の幹部と大企業トップの間の分断です。
■ 企業と行政の間の大きな分断
私が、まず第一に不思議に思うのは、自社基準では問題ないが、行政の型式認定基準では不合格という点です。政府基準が本来必要なレベル以上に厳しい、すなわち基準の乖離があるなら、企業側と行政側が建設的な対話を重ね、必要以上に厳しい基準があれば柔軟に見直すべきです。しかし、長年そうした努力がなされなかったことは、お互いに波風を立てずに、もめごとを起こさずにいたという表面上の「協調」姿勢が続き、Win-Winの解決を導けなかったといえます。企業側担当は定年を待ち、監督官庁の官僚は任期おわるのを待つといった分析・批判もありえるでしょう。
□ 企業内部での分断
もうひとつの分断は、不正の事実を隠して、偽りの報告をし続ける幹部と会社上層部の分断です。今回の事件でのトップの発言は、まったく責任感を感じるものではありませんが、知らないほうが責任を回避できるという意図が透けて見え、分断は明白です。
利益目標達成のために、一部の現場幹部が不正をしている(たとえば、開発が進んだ段階で不合格にすると膨大なやり直しコストがかかるので、見逃す、数字を改ざんする)。組織防衛の名の下に不正を容認し、上層部への報告を歪めるなど。
□ 再発防止策の実効性の低さ
このような分断は、日本で長年続いているように思います。
これほど長く続いているのですから、超大企業のトップはさすがに知らないとしても、企業内では、かなりの人数の人が知っていたのではないかと思います。
おそらくしばらく経つと以下のような再発防止策が叫ばれると思います。
トップダウンでコンプライアンス重視の経営方針を徹底する: 経営陣から「いかなる理由があっても不正は絶対に許さない」という強いメッセージを発し、不正を見逃した場合の処罰を明確にすること。
内部告発制度の実効性を高める: 不正を知った社員が上層部に直接通報できるホットラインを設け、通報者の保護を法的に担保する。匿名性を確保し、不正を公表した場合の解雇等の不利益を防ぐこと。
第三者による定期監査を実施: 企業外部から独立した有識者で構成される監査チームを設置し、定期的に生産現場や開発プロセスを細かくチェックする仕組みを整備する。
成果主義から脱却し、プロセス重視の評価に転換 納期や数値目標ばかり追求するのではなく、製品の安全性や法令遵守を最重視したプロセスを重視した評価制度に転換する。
企業文化の変革:上意下達の権威主義的な組織文化から脱却し、現場の声に耳を傾け、フラットな風通しの良い企業風土を構築する。
しかし、私は、これらのことはすべて、絵にかいた餅のようで、実効性はないと思います。企業不正が続いていることから少なくとも即効性はないことは明らかです。私に限らず、いわゆる”酸いも甘いも嚙み分けてきた”シニアの方は共感されると思います。
■ 実行性がないのは、損失、特に収入を損失する恐怖から。
□ 社員の側の恐怖
いかなる理由があっても不正はだめとはいっても、会社の存続がかかわるときは躊躇される、あるいはホットラインそのものが匿名性の確保や通報者保護が形骸化したり、処遇上の不利が起きるなどのため、これらは進みにくいと思われます。第三者委員会も、本来は中立的で厳正な調査が求められるはずですが、そうした体制が整備されていないのが実情です。経営者の「お友達」が実施していることも多く、経営陣の意向に基づく「パフォーマンス」に終始する例が多く、第三者委員の報酬は企業からもらっているためからなのか噴飯物の報告書もたくさんあります。
さらに具体的に書くと、一般社員は内部告発などすれば、必ずばれて自分に返ってくると言うことをわかっています。日本社会では組織を潰すと言う事は許されないと感じています。内部通報者の安全など実際には守られていない身近な例を見ています。いつの間にか左遷されたり、クビになったりしますし、通報の結果、会社が大きなマイナスを受けるのに、そのままで良いはずがない、と言う使われる側の論理が社員の頭の中を駆け巡ります。
□ 経営者側の恐怖
経営者側にとっても大きな恐怖があります。
まず、コンプライアンス重視の経営方針を徹底といっても、トップ自身が短期的な業績にプレッシャーを感じていれば、躊躇するでしょう。社会的信頼や評判、あるいは売り上げなどを失う恐怖があります。経営者はたくさんの人をリストラしなければならないかもしれませんし、場合によっては会社の破綻もあるかもしれません。
個人にとっても組織にとっても経済的な痛手を受けるのです。私はこの経済的な損失に対する恐怖感、これがある限り、この種の不正の根絶は難しいと思います。
■ 物心ともに豊かさを実感できる環境作りが不可欠だが、簡単ではない。
かといってこんな状況を放置すれば、いずれ日本全体が劣化してしまいます。
こうした現状を打開するには、経済的合理性のみを追求する企業風土そのものを変革することが重要なのは間違いありません。しかし、経済的合理性を無視した社会は成り立たず、何らかの経済的インセンティブは不可欠です。また、不正を制裁の恐れだけで抑止するのは本末転倒で、健全な社会と言えるのかという観点もあります。明治以降、連綿と続いている官民の関係や企業内風土を変えるのは容易ではなく、大変な時間がかかると思います。
■ シニア、シニア予備軍は新天地を目指そう!
健全な社会を実現するには、一人一人が経済的な不安から解放される必要があるわけですから、私の提案は、シニア予備軍とシニアこそ、ノマドワーカーを目指そうということです。ノマドとは、フリーランスや独立事業主であり、さらに場所や会社に囚われない働きかたをする人のことをいいます。
生活に窮し、雇用も不安定な環境下では、企業も個人も経済合理性を優先せざるを得ません。
私は一人一人が経済的損失の恐怖から抜けられないと、組織を守るために不正を続けると思います。
そこで、段階的に進めるために、シニア予備軍とシニアに提案したいのは、副業を持つことです。副業からスタートして、経済的独立を目指すことです。その意味では最近はやりのFIREと同じような主旨ですが、私の提案はやりたいことを適切な準備期間をもって始めましょうということです。
■ 一万時間の法則
ここで安心してほしいのは、一万時間の法則というのがありまして、簡単に要約すれば、どんな職業でも一万時間ほど研究、研鑽を続ければ何らかの専門家になれるというものです。1万時間のために7年くらいはかかるとよく言われていますが、だれであっても、ある程度の知識や技量がある分野であればもちろん一万時間もかからないでしょう。さらに、自分のやりたいことができる、なりたい自分になれるなら、真剣度も増し、そもそも努力とは感じずに準備できるのではないでしょうか?
しかも、シニアにはそれよりも若い世代に比較して、時間的自由も、これまでに身に着けてきた知識やノウハウなどの知見がありますし、お金も多少かけられるでしょう。シニア準備世代にしても、まず個人レベルの金銭的不安が和らげば、不本意な勤務を続ける可能性を減らせます。組織の維持を重要視する日本社会の閉塞感が改善される一助となります。マズローの欲求階層説をもちだすまでもなく、人々は物質的欲求を超えた高次の価値観を持てるようになるでしょう。
このような社会風土が十分に醸成されればそのとき、組織の自浄作用も働くようになり。その人の人生観にあわせて、ノマドワーカーになるのもよし、組織人として貢献するのもよしと考えます。