「翼をさずける」というポジショニング?
本題に入る前に。
昨年11月から20年ぶりにサブスクの室内ゴルフ練習場に週1~2回通っています。なぜ、20年ぶりかというと、20年前にある出来事がありゴルフを封印していたからです。その話しは別の機会にするとして、昨日、その練習場にいった際、あまりに人が少なかったので・・・
私「今日は人が少ないですね~」
店員「みなさん、突然キャンセルされたようです」
私「コロナですか?」
店員「・・・」(睨まれる)
なぜ、睨まれたんだろうと不思議に思い、その後、黙々と練習に励み、家に返ってきた時に、はっと気づきました。
私の「コロナですか?」という発言は、「コロナ感染者が出たのですか?」と捉えられた可能性があるかもしれないと。
私自身は「コロナ感染拡大のため緊急自体宣言が出ているからですか?」と
伝えたつもりだった。それなのに「コロナですか?」って・・・。
いったい、どれだけ略しているんだ。
その後、
「コロナ感染拡大のため緊急自体宣言が出ているからですか?」-
「感染拡大のため緊急自体宣言が出ているから」=「コロナですか?」
【捉えられる可能性として】
「コロナですか?」+「感染者が出たの」=「コロナ感染者が出たのですか?」
このような言葉の意味の変遷が頭に浮かび始めた。
特に今、店員さんにとってナーバスな時期なのに、傷つけてしまったかもしれない・・・。
このような誤解を招くことは、今までもたくさん起きていたのかもしれない・・・。
自分の反省として、備忘録として記載することにしました。
ここまで略してしまうのは、私だけかもしれませんが、みなさんも「略し過ぎ」にご注意を。
今回は前置きが長すぎました。
さて、本題に入ります。
写真をご覧ください。
みなさんもご存知のレッドブルですね。
赤い牛が角を突き合わせたロゴでお馴染みのエナジードリンクです。
マーケティングの世界では、よくポジショニングのお手本とされるブランドです。
創業者のディートリッヒ・マテシッツ氏が、レッドブルを思いつく、きっかけとなった話しもよく知られています。
1980年代に、ディートリッヒ・マテシッツ氏は、日本の高額納税者のリストを見ることがあり、その内の1人が大正製薬の当時の会長でした。知人にこの人はどのような人かを聞き、製薬会社で、ドリンク剤「リポビタンD」で稼いでいるということを知りました。日本ではなぜドリンク剤のビジネスで高額納税者の上位に出てくるまでになるのかと疑問が湧き、調査をしていくと、日本やアジアでは、ドリンク剤の巨大市場があることを発見します。
このように、レッドブルは、大正製薬の「リポビタンD」からインスパイアされたというわけです。レッドブルは、日本企業がきっかけになったということで、身近に感じるとはいえ、今は「リポビタンD」を遥かに凌ぐブランドになったわけですから、日本人としては、嫉妬する感情もあるかもしれませんね。
レッドブルは「リポビタンD」からインスパイアされたとはいえ、従来のエナジードリンクの「疲労回復」というイメージに対し、「飲むと強くなる」「力を発揮する」というイメージで勝負しました。
その象徴的なキャッチコピーが「レッドブル、翼をさずける」。
「翼をさずける。」ですよ。自己啓発が行き過ぎた(?)というか、宗教的な印象にもとれるような、エッジのきいたキャッチコピーですよね。
創業者は、レッドブルは単なる飲料ではなく「エキサイティングな体験」「スリルや冒険そのもの」と定義しています。
創業時から、明確な戦略があって、レッドブルのスポンサーは、オリンピックで競技されるようなスポーツではなく、少し過激で若者が熱狂しているスポーツであるスノボ、マウンテンバイク、ハングライダーなどに関連する企業でした。
このような企業のスポンサーになって積極的にイベントなどにも関与することによって、レッドブルのエキサイティングなイメージを醸成するのに大いに役立ったのです。
レッドブルは商品の具体的な機能については一切語っていません。デザインやキャッチコピー、スポンサー活動などを通して、イメージ、価値、イデオロギーを消費者の心に訴えかけ続けてきたのです。
その結果、エキサイティングな体験をもたらすエナジードリンクというポジションを生み出すことで、高単価の商品であっても、年間50億本を超える売上をあげるほどに成功したのです。
このように、同じカテゴリー商品と比べると断然高い。だけど売れているわけです。とても強いブランドができているというわけです。
強いブランドが構築されると価格に大きな違いを及ぼすモチーフとして、
「関サバ」「レッドブル」と続けて見てきました。
「ブランドとは何なのか?」の問いの答えにつながる思考が深まったところで、次回は、「何のためにブランディングするのか?」いわゆるブランディングの目的について考えてみたいと思います。