「単なるサバ」と「関サバ」の違いとは?
本題に入る前に。
ほぼ毎朝、約1時間のウォーキングを妻としていますが、その〆として、Youtubeを音源にラジオ体操第1第2を続けてまじめにやってます。ラジオ体操第2の初めのあたりで両腕をガンバポーズする体操がありますが、そのポーズをおじさん(自分もおじさんだが(汗))から2度見されました。
少し遠くなので音が聞こえず「いい大人が何をやってるんだろう?」と思ったのではないかと、やけに恥ずかしくなった今日この頃です。
さて、本題に入ります。
前回、「なぜ、このコロナ時代に、ブランディングが必要なのか?」
を歴史的な観点から考えてみました。
今回は、コロナ時代は、ブランディングが必須な時代ということは分かった。でも、「そもそも、ブランドとは何なのか?」という問いを考えてみたいと思いますが、その前に、強いブランドが構築されると価格に大きな違いを及ぼすという、よく使われるモチーフを挙げて、思考を深めてみたいと思います。
「単なるサバ」と「関サバ」の比較です。
写真にある金額は、時期によって変動するので現在の金額とは言えませんが、「単なるサバ」と「関サバ」では、値段が10倍以上違うことがあります。
「関サバ」は、豊後水道で漁獲され、大分県大分市の佐賀関漁港で水揚げされたサバのことです。水産品の高級ブランドとして知られていて、地域団体商標も取得しています。
さて、「豊後水道」に泳いでいるサバが何匹かいるとしましょう。
その内の一匹は、佐賀関漁港で水揚げされた
その内の一匹は、佐賀関の対岸の佐田岬漁港で水揚げされた
その内の一匹は、別の漁港で水揚げされた
それぞれ値段が全く違います。値段が10倍以上違ってくることもあります。
同じ豊後水道に泳いでいるわけですから、サバ自体に何の違いがあるのでしょう?
水揚げされる港によって違うのは、なぜなのでしょう?
冷静に考えてみると、とても不思議な現象です。
このサバの話しはよく使われますが、ブランドの価値が価格に大きな影響を及ぼした比較的分かりやすいモチーフといえるでしょう。
佐賀関漁港で水揚げされたサバは、鮮度管理を徹底し、そのサバのみ「関サバ」と呼ぶことを許してきたのです。もちろん、商標も取得し、もし別の地域から捕れたサバを「関サバ」と呼んでいたら、それらを徹底的に排除するなどして、守り抜いてきました。
「関サバ」ブランドが取り組んできた鮮度管理の徹底の一例を上げると・・・
必ず一本釣りをすることで、魚の身に傷がつくにくくする。
釣ったらすぐにいけすに放ち生きたまま漁港まで運ぶ。
漁港では「活け絞め」「神経抜き」といった丁寧な処理を施す。
鮮度が高いまま全国に届くように細心の注意と工夫をする。
このような鮮度管理を徹底的をやりぬくことで、本質的な価値作りが可能となるということが、まずは土台にあります。
その土台の上に「関サバ」商標により、ブランド・マネジメントを徹底したわけです。もちろん一朝一夕でブランドはできません。これを長年かけて徹底し続けたことで、強いブランドができたのです。
とはいうものの佐賀関の対岸の佐田岬漁港で水揚げされた「岬(はな)サバ」も、一本釣りですし、同じような鮮度管理の徹底をしています。でも、価格に大きな差が開いています。
財布やバッグだって、同じことが起きています。
同じ革素材を使い、同じ職人が作っているのに、10万円の財布もあれば、1万円の財布もあります。
同じ魚のアジ、同じ革製品の財布なので、機能的価値は、変わらないはずです。
ではいったい何が違うのでしょうか?
違いは、情緒的価値といえるでしょう。
では、この情緒的価値とは何なのでしょうか?
機能的価値と情緒的価値の違いを知ることは、ブランド価値を知る上で、とても重要なことなので、近いうちに深めていきますね。
次回は、強いブランドが構築されると価格に大きな違いを及ぼすモチーフをもう少し見てみることによって、「そもそも、ブランドとは何なのか?」に問いの答えにつなげる思考を深めてみたいと思います。